木の温もりとフレキシブルな家具選びが秀逸。経年変化を楽しむ暮らし

ひとり暮らしのいいところは、何事においても自由なこと。
好きな部屋を選び、好きな家具を置く。
どこで寝てもいいし、どこで仕事をしてもいい。
木の質感を活かした部屋に、天然素材の家具を集めて、ゆったりと自然を感じる空間に。
一人暮らしだからこそこだわりたい、経年変化を楽しむ暮らし。

リノベーションならではの異素材の組み合わせ

バーチ材やシナ材など、温かみある無垢の木を使ったsozaiシリーズの部屋。
その名の通り、床や壁を心地いい素材でつくった自然派な空間。
特に居室と水回りの間に造られたシナ材壁は、ぐるっと玄関の方へと続き、部屋の雰囲気を作っている。
居室の壁は調湿効果もある漆喰が使われ、一つとして同じにならない自然素材ならでは左官仕上げになっている。
そんないろいろな表情を見せてくれる部屋に合わせたのは、天然木のテーブルやラタン素材の家具。
一つ一つ個体差があるからこそ、ひとり暮らしの中で永く育てていきたい。

部屋に置く家具は主役を決める

東京でのひとり暮らし、そんなに広い部屋に住むわけではない。
本当に必要なモノと自分の生活を彩ってくれる趣味のモノ、両方ともをしっかり厳選すれば約9帖のこの部屋でも、こんなに自分らしいスタイルを演出できる。
部屋の主役は大型の北欧風のソファベッド。
大きな家具は部屋の顔になるから、自分らしいおしゃれなものを選びたい。
床や壁とはひと味違う素材の木製フレームに、ライトグレーの座面・背面がスタイリッシュ。
本物のベッド用のマットレスが採用されているから、座り心地はもちろん、ソファーベットなのに寝心地も抜群。
急な来客や恋人が泊まることになっても、安心してベッドをかせるクオリティ。
一人でも簡単に座面を伸び縮みさせることができるから、1日の中でシーンに合わせてソファーにもベッドにも変化させて使える。
ベッドをドーンと置くより圧迫感がなく、座るも寝るもくつろぐも、気分に合わせて自由に使えるアイテムがひとり暮らしにはちょうどいい。

フレキシブルな家具で暮らしに自由度を

ひとり暮らしの住空間は、決して広くない。
広くないからこそゾーニングをして、寝る・食べる・くつろぐ・仕事する・収めるなど、機能を分けて空間づくりをした方が暮らしやすい。
特に収納は部屋のあちこちに散らばすよりも、一括収納したほうが探し物もなくなって便利。
この部屋は居室手前に大きめのウォークインクローゼットがあるから、居室にはできるだけ棚や引き出しは置かない。
居室に唯一置いた収納は、大型家具ではなく古材でできたざっくりとした木製ボックス。
いくつか積み上げておくことで、棚のような機能を持たせて、収納はもちろんディスプレイにも一役買ってくれる。
バラバラに使うのも良し、横長にも縦長にも置けるし、裏表にすればちょっとしたローテーブルのような使い方もできる。
入れたいモノや置きたいモノに合わせた向きや組み合わせで、ちょっとここに収納が欲しいの希望を叶えるのがおしゃれなボックス。
ボックス使いが上手くなると、ひとり暮らしの空間づくりがこなれてくる。

永く愛用して一緒に暮らしていけるラタン素材

ラタンは、籐(とう)というヤシ科の植物のことで、柔らかく曲げたり編んだり加工がしやすい素材のため、インテリアやファッションアイテムなどに幅広く使われている。
ラタンはしなやかで耐久性が高く、お手入れすれば半永久的に使えるのが特徴。
冷たい夏素材の印象だが、実は冬も自然の温もりでひやっとせず使用できる季節を問わない素材なのだ。
実家の家具を思い出すと、ひとつくらい家に籐家具があったのを思い出すのではないだろうか。
この部屋のスタイリングには、ラタン×ガラスのコンビネーションがおもしろいコーヒーテーブル、ラタン×鏡を組み合わせたラック付きミラーを使用。
木と漆喰のナチュラルな部屋に馴染み、軽くて持ち運びもしやすく、掃除や部屋の模様替えの際に簡単に動かせるのもひとり暮らしには嬉しいポイント。
使うほどに味が出るのもラタンの魅力のひとつ。
永く使って経年変化で深みのある飴色になっていくほど、どんどん愛着が湧いてくる。
素材を選んでひとり暮らしでも、ワンルームでもできる、丁寧な暮らしを楽しもう。

ひとり暮らしだからとコンパクトにする必要はない

ひとり暮らしをはじめるにあたって、本来注意してほしいのは「大は小を兼ねない」ということ。
多くの家電や多くの食器、日用品や道具を買い集める必要はなく、まず必要最小限で暮らしてみるのがベター。
でも、今回はひとり暮らしには少し大きめのダイニングテーブルを選んだ。
家でやることが増えた近年の暮らしで、テーブルは大きくてもデメリットはない。
テレワークなら、パソコンも資料も十分に広げられるスペースはメリット。
背景に漆喰の白壁が広がっていたら、すっきり整った印象だって持ってもらえる。
毎日のご飯も、ランチョンマットを敷いて花を飾れば、ビストロみたいにちょっとスペシャルに。
人が来たら、テーブルの位置を少しだけソファー側に寄せてみる。
天然素材のチェアとスツールを向かい合わせに置いて、ちょっと素敵なおつまみとお酒でリラックスなおもてなしタイム。

ひとり暮らしって、仮暮らしや一時的なものじゃない。
実家を出てから5年10年と続くもの。
初めてひとり暮らしをする時に買った木製スツールが、オイルで研かれて永く大事に使われている様なんて最高。
共に経年変化という成長をとげられるモノ選びをしてみよう。