最近では、賃貸契約で行われる重要事項説明をオンラインで行う、「IT重説」を導入する不動産会社が増えている。では、IT重説の後に行われる不動産の賃貸借契約も、オンラインでできるのだろうか。
賃貸契約をオンラインでする場合の流れと、そのメリット・デメリットについて解説する。
賃貸契約におけるIT重説は2017年から本格運用されていたが、賃貸契約自体は書面での署名と捺印が必須だった。しかし、2022年5月から、賃貸物件の新規契約もオンラインでできるようになった。
例えば、遠方への引越しを予定している場合、契約書に署名、捺印するために、引越しが決まる前に、最低でも一度は不動産会社を訪問しなければならなかったのが、その必要もなくなり、物件の検索から内見、重要事項説明、契約まで、すべてオンラインで完結できるようになったのだ。
ただし、すべての不動産会社がオンライン契約を導入しているわけではないため、利用の際は不動産会社に確認が必要となる。
引っ越したい物件は、不動産会社のウェブサイトなどで検索できる。気に入った物件が見つかったら、その不動産会社に申し込めば連絡が来るだろう。そこで、具体的な要望などを伝えれば、申し込んだ物件以外にも紹介してもらうことが可能だ。
不動産会社への申込み後から、賃貸物件のオンライン契約までの流れを説明する。
不動産会社からの連絡は、一般的に電話やメールだ。その後、オンラインで相談したい場合は、ビデオ通話アプリなどを利用できる不動産会社もある。利用する場合は、あらかじめ物件の具体的な希望条件などをメールなどで連絡しておくといいだろう。
オンライン内見は、アプリやビデオ通話用ツールで不動産会社の担当者から物件を紹介してもらえるサービスだ。写真だけではわからないポイントを重点的に見学できる上、場合によっては物件の共用部分や近隣の状況も確認してもらえる。
オンライン内見はここに注意!知っておきたいメリット・デメリット
オンライン内見をして、その物件が気に入ったら入居申込みを行う。この申込みもオンラインでできる。申込みの際には、契約者本人や連帯保証人の年収がわかる収入証明書類といった個人情報も提出する必要がある。不動産会社は、提出された書類をもとに審査を行う。
IT重説とは、賃貸借契約の手続きにおいて、特に大切な項目である「重要事項説明」をオンラインで受けることをいう。重要事項説明とは、該当物件の品質、機能のほか、家賃や契約期間など、契約を締結するにあたって重要な事柄に関する説明のことで、賃貸借契約を結ぶ前に必ず受けなければならない。
IT重説を受けたら、賃貸借契約を締結する。オンライン契約の場合、IT重説といっしょに行う場合が多いため、事前に契約に必要な書類などを確認しておこう。
なお、賃貸借契約がオンラインではない場合、不動産会社に出向いて契約をするか、郵送でのやり取りとなる。郵送でのやり取りとなる場合、契約締結までに時間がかかることもある。
賃貸契約をするために必要なものは?手続きの前に準備したいこと
賃貸物件の相談から内見、契約までの一連の流れを、すべてオンラインで完結する場合、どのようなメリットやデメリットがあるのだろうか。それぞれ具体的に見ていこう。
賃貸物件をオンラインで契約するメリットの多くは、手間や時間を省けることにある。具体的なメリットは下記のとおりだ。
・費用を削減できる
契約のためにわざわざ不動産会社に行く必要がなくなるため、移動の費用が必要ない上、契約書を郵送するための費用もかからない。
・日程調整がしやすい
契約自体には時間がかからないため、空き時間で契約締結ができる。
・契約書の作成が簡単になる
契約書を作成するために何枚も住所や名前を書いたり、捺印したりする必要がない。契約書を作成する時間を削減できる。
・重要書類を管理しやすくなる
賃貸借契約書はもちろんのこと、重要事項説明書といった重要な書類をパソコンなどで保管できるため、紛失や破損を避けられる。また、必要なときにはすぐに内容を確認できる。
賃貸物件のオンライン契約にはメリットが多数あるが、一方でデメリットもある。特に、オンライン内見では下記のような点に気をつけたい。
・物件のデメリットがわかりにくい
例えば、物件周辺のにおいや日当たり、最寄り駅から物件までの道のりの状況などは、オンラインではわかりにくい。その場に行かないとわからないような点については、詳しく説明してもらおう。
・ネット環境を整える必要がある
内見やIT重説の際は、ネット環境に不具合があると、大切なことを見逃したり、聞き逃したりする可能性がある。賃貸物件をオンラインで契約する際は、ネット環境をしっかり整えておきたい。
これまで、紙で契約書をやりとりする必要のあった賃貸借契約がオンラインでできるようになると、不動産会社に行く必要がなくなるため、時間や費用が節約できる。さらに、日程調整がしやすくなるため、契約後の引越しの見通しも立てやすくなるだろう。
今後、多くの不動産会社でオンライン契約を導入すると予想されるが、オンライン契約のメリットだけではなく、デメリットについてもしっかり認識しておこう。
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