賃貸借契約の手続きにおいて、特に大切なステップのひとつが、賃貸を借りるにあたって必ず受けなければならない重要事項説明だ。
かつては対面で受ける必要があった重要事項説明だが、「IT重説」の運用がスタートし、オンラインでも説明を受けられるようになった。ここでは、そんなIT重説について紹介する。
賃貸借契約を結ぶには、不動産会社の担当者から重要事項説明を受ける必要がある。重要事項説明とは、その物件の品質や機能、または契約を結ぶにあたって重要な事柄に関する説明のこと。入居希望者は、賃貸借契約を結ぶ前に、必ずこの説明を受けなければならない。
かつては担当者と直接会って重要事項説明を受ける必要があったが、2017年10月から「IT重説」の運用がスタートし、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末を利用して、オンラインで重要事項説明を受けられるようになった。
なお、IT重説を行えるのは、賃貸借契約に関する取引のみとなっている。また、対面・オンラインにかかわらず、宅地建物取引士が入居希望者に対して説明を行うものと定められている。
IT重説が行われるタイミングは、対面での重要事項説明と同じだ。ここでは、重要事項説明を含めた、一般的な賃貸借契約のプロセスを確認しておこう。
<一般的な賃貸借契約のプロセス>
1. 不動産会社へ行く、または問い合わせる
2. 内見
3. 入居申込み
4. 入居審査
5. 重要事項説明(IT重説)
6. 契約
7. 入居
IT重説なら、不動産会社を訪れずに賃貸借契約を完了できる。忙しくてなかなか不動産会社に行く時間が取れない人や、不動産会社から遠い場所に住んでいる人も、IT重説によって賃貸借契約を結びやすくなった。
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不動産会社の担当者と対面しないことで、どのようなメリットとデメリットが生じるのだろうか。ここからは、IT重説のメリット・デメリットについて詳しく見ていこう。
<IT重説のメリット>
・時間がないときでも重要事項説明を受けやすい
IT重説は、通信環境とITツールさえあれば、どこからでも重要事項説明を受けられる。不動産会社を訪れなくても済むため、忙しい人はもちろん、高齢者や体が不自由な人も負担を軽減できる。
・遠方の賃貸を借りるときに役立つ
IT重説なら、今住んでいる場所から遠い場所にある賃貸を借りるときも、移動の手間や交通費をかけずに、スムーズに賃貸借契約を進められる。
<IT重説のデメリット>
・ITツールが必要
IT重説を受けるには、パソコンやスマートフォン、タブレットといった端末と、テレビ電話用のアプリケーションを用意する必要がある。このようなITツールを所持していなかったり、使い方に慣れていなかったりする場合は、かえって手間がかかってしまう可能性もある。
・通信環境の影響を受ける
IT重説を受けるにあたって通信環境が悪いと、相手とのコミュニケーションがうまくいかなくなってしまう。テスト通話をして、安定した通信環境を確保した上で臨みたい。
すべての賃貸物件が、IT重説に対応しているわけではない。物件によっては、IT重説に向いていないところもあるというのが、その理由だ。
IT重説に向いているのは、対面で話さなくても、品質や機能、契約条件などがわかりやすい物件。例えば、新築や築年数の浅い物件は、品質や耐震性が保証されているため、入居希望者への説明を行いやすい。
また、契約件数の多い大手の不動産会社であれば、サポート体制が充実しているところも多く、安心してIT重説を受けられる可能性が高い。
一方、築年数が古い物件や、品質や設備について詳しく説明する必要がある物件の場合、IT重説に対応していないことも多い。このような物件は、担当者から対面で説明を受け、納得した上で契約を進める必要がある。
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最後に、IT重説を申し込み、賃貸借契約を完了させるまでの流れについて確認していこう。
IT重説を申し込むと、実施の前日までに、不動産会社から重要事項説明書、賃貸借契約書、進行表などの書類が郵送またはメールで送られてくる。受け取った後、IT重説までに必ず目を通しておこう。
不動産会社からの案内にしたがって、IT重説で使う端末(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)を用意し、アプリケーションを導入しよう。
事前に受け取った重要事項説明書を手元に用意して、IT重説を受けよう。音声や映像などが途切れてしまわないように、通信環境の良い場所を選ぶことが大切だ。
IT重説が終了し、契約を進めることを決めたら、不動産会社に契約書類一式と必要書類を返送しよう。その後、鍵の受け渡しをすれば、賃貸借契約が完了する。
IT重説と聞くと、一見難しいもののように思うかもしれないが、実際はスマートフォンやパソコンで行うテレビ通話や会議とほとんど変わらない。
自宅にいながら重要事項説明を受けられるIT重説は、多くの人にとってメリットが大きい。入居したい物件がIT重説に対応している場合は、検討してみてはいかがだろうか。
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