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いつの時代も世界をリードし、エンターテインメントにファッション、アートやグルメまで、魅力的なスポットが数多く点在する。そんな、刺激的で多様な文化が交差する街、ニューヨーク。
念願だったニューヨークへの異動が叶い、3年間の海外勤務を経験したSさん。街も人も刺激的で、中でも天井が高くて広々とした部屋での暮らしがとても気に入っていたそう。そんな中、日本への帰国が決まり、真っ先に考えたのが住居選びだったという。
「海外での暮らしに慣れ、いわゆる、どこにでもあるようなありふれた部屋は考えられなくて。デザイナーズやリノベ物件を中心に探していたんですけど、その時にこの部屋を見つけたんです。オンラインの内見でしたが、磁器のタイルを使用していてすごくオシャレで。1LDKタイプの間取りというのも気に入りました。それに、以前住んでいた場所から近くて、住み慣れたエリアというのも良かったですね」
Sさんが決めた部屋というのが、グレーの磁器タイルを床に敷き、ブラウンに染色された木貼りの壁が印象的な「Organic」。数あるOrganicの中でも珍しい1LDKの間取りで、リビングとベッドルームとゾーニングできるレア物件。

「廊下からリビングとキッチンにかけて磁器タイルを使用していて、どことなく海外の雰囲気がして気に入っています。廊下横の部屋はベッドルームとして使用しているんですけど、生活空間と寝室が分けられるので、メリハリがついていいですね」
日本の生活にもだいぶ慣れたという。この部屋での暮らしをはじめるにあたり、自分の中の決め事があったそう。
「部屋にテレビを置きたくなくて、代わりにプロジェクターを置こうと決めていました。この部屋はピクチャーレールがついていたので、そこに設置してよく映画を観ています。つまみを作ってビールを飲みながらが定番で(笑)。もう1つは、週1~2日在宅で仕事をするんですけど、そのために仕事用のデスクを置くのが嫌で。部屋に合うカフェテーブルを買って、そこで仕事をするようにしました。小さいけど十分仕事ができるし、テーブルとしても使えるのですごく便利。重宝しています」



部屋の中心には3人掛けのソファとオットマン、十分な大きさのテーブル。リビングを主張する場に仕事用のテーブルがあったら、やはり違和感があっただろう。コーナーにカフェテーブルを置くことで、ワーキングスペースが収まりよく確立されている。
デザインとして植物を壁に飾り、その上に馴染むようにプロジェクターを設置する。ただ置くのではなく、その空間に合うことが大事なのだという。
「ニューヨークにいたときに花を買う習慣ができたので、引っ越してきたらも植物をたくさん置きたくて。プロジェクター下に飾っているのは造花なんですけど、花屋を営んでいる友だちに作ってもらいました。部屋に緑があると気持ちがいいんですよね」


窓辺には時季の植物を飾り、ハンギンググリーンが部屋を気持ちよく彩る。緑のある暮らし、これも引っ越す際に決めたルールだとか。
「海外での暮らしは大変なことも多かったけど、自然に触れることや体を動かすことの楽しさ、プライベートの時間を充実させること、そういった何気ないことの大切さに気づけた時間でもありました。ここでの暮らしも、そうできたらいいなって思っています」
磁器タイルに異国を重ねた、Sさんの生活ははじまったばかり。ニューヨークとは違った、刺激が待っているに違いない。
日本に戻って久々の東京暮らし。知った街が様変わりしたように、生活する上でSさんの心にも変化があったという。
「ニューヨークのマンションにはジムがついていて、定期的に運動をする習慣がついたんです。日本での生活でも取り入れたいと思って、ジムに通って走ったり、隣の駅まで走ったりしています。往復で25分くらいなんですけど、走った後はスッキリして気持ちがいいんですよね。運動してから仕事をすると集中して取り組めるので、私には合っていて。それに10時過ぎには寝るようになって、ものすごく調子が良いんです」
生活習慣が変わったことで、心身ともに充実しているのだろう。Sさんの明るく快活な印象はここからきていたのだと合致した。
「運動もそうなんですけど、料理もよく作るようになりましたね。ニューヨークは本当に物価が高いので、毎日外食していたらパンクしてしまう。節約のために料理を作っていたんですけど、日本に帰ってからも続けています」



リビングへつながる廊下横には、ルーバーに仕切られたキッチン。備え付けの棚にはセンスの良い食器が並び、ステンレスバーには様々な調理道具が並んでいる。
「和食を作ることが多いんですけど、あとはお酒に合うつまみですかね(笑)。友だちがきたときにも振舞うけど、やっぱりつまみ系が多いです」
笑いながら手際よく料理をするSさん。食欲をそそる香辛料の香りが室内を包みこむ。
「ニューヨークにいたときも、友だちを呼んだりローカルの人とご飯によく行ったりしていました。友だちの友だちがきて、いつの間にか私も友だちになったりして。芋づるでつながっていった感じです(笑)。仕事仲間やローカルの子と一緒に旅行にもよく行きました。中南米のグアテマラやアリゾナのグランドキャニオン……色々行ったんですけど、せっかくアメリカにいるんだから50州すべて行こうと思って時間をかけてまわりました。最後に訪れたのはハワイ州。観光地でしょ……と思っていたけど、やっぱりハワイは最高でした(笑)」
ほかにも、ケニア、エジプト、モロッコ……世界中を飛び回り旅行を楽しんだという。この取材後もニュージーランドへの旅行が決まっているそう。
「せっかく日本に戻ってきたから、国内旅行も楽しみたい。まだまだ行きたいところがたくさんあるので、時間がいくらあっても足りないです(笑)」
世界各国のほかに、日本の47都道府県も加わった。旅行にかける熱量は、ニューヨークにいたときよりもさらに大きくなっているようだ。


(左)玄関からリビングへと続く廊下の壁にはアート作品が飾られ、ギャラリーのような雰囲気。「この絵は、ブルックリンで活動している中山誠弥(なかやままさや)さんの作品。ニューヨークにいたときに友だちになって購入したものなんです。今、もっと大きい絵をオーダーしているので、届くのが楽しみで」(右)「実はこれ、私が書いたものなんです。大学の学部が書道科で、そのときに書いたものを飾っていて。額に入れたらそれっぽく見えるかなって(笑)」
グレータイルのリビングに、作業のしやすい独立型のキッチン。これだけでも十分に魅力的だが、この家にはさらにもう一部屋、存在する。
「もう一部屋はベッドルームとして使っていて。洋服ラックや棚がついているので、生活感のあるものはこっちに置いています。見てみますか?」
案内された部屋は4畳あり、セミダブルのベッドを置いても広々。ベッドの上には、リビングのソファと同じくHARDING柄が印象的なペンドルトンのブランケットが。



「落ち着いた色味のソファや家具を置いてシンプルにまとめているので、ワンポイントでペンドルトンを取り入れようと思っていたんです」
ラワン材の壁の奥はウォークインクローゼットになっていて、収納も充実。壁にはIKEAで買った鏡を貼り、フィッティングのチェックもこの場で行っているという。
「ベッドの前にも備え付けのラックがついているので、細々したものや仕事関係のものはこっちに置いています。収納スペースがたくさんあって大きな家具を買い足さなくてよかったので、それもすごく良かったですね」
一人暮らしには贅沢なほどの広々とした造り。それを余すことなく十分に堪能している。Organicでの暮らしがSさんに合っているのがよく分かる。
「この部屋のような海外っぽい造りも好きなんですけど、いつか古民家に住んでみたいって思いも実はあって。都心から少し離れた田舎で暮らして、古民家でのんびり……とかいいですよね。そこには犬がいて、広い庭で駆け回っているとか理想です」
これから先、そういった暮らしを視野に入れているのだろうか?
「いつかはしたいですけど、また海外で仕事したいって気持ちもあって。ロンドンやシンガポールへの異動が叶うなら行ってみたい。だから、古民家暮らしはもう少し先ですかね……」
はじまったばかりのOrganicライフ。海外のホテルのような造りの中で、異国を感じながらSさんの心地よい暮らしは続いていく——。


(左)洗面台やトイレがある水回りも、ホテルライクな空間に。「部屋のイメージに合わせて、シンプルにまとめています。消音とウォシュレットがついた便座は引っ越してきたときに取り付けました」(右)洗面所のドアに掛かっていたバスローブ。まるで海外のホテルのよう。
Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata

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