File No.104iCafe K.Nさん work:ホテルマン&ソムリエアシスタント

365日、非日常感を味わう、
おもてなしホームバー。

2020年夏のオリンピック開催地を決める招致プレゼンテーションで、来訪者を心から慈しみ迎える日本の精神文化として紹介された言葉、『おもてなし』。

この『おもてなし』の概念は、人と人とがつながるコミュニケーションのひとつとして、幅広い分野で浸透している。中でも相手の期待を超えた感動や喜びを提供する日本のホテルは、おもてなしの象徴といえるだろう。

iCafeに住むNさんはとある日本のホテルの隅々まで行き届いたおもてなしの精神に深く感動し、会社員からホテル業界へと転職をしたという。

「旅行が好きで色んなところに行っていたんですけど、そのホテルはもう別格で。外観や内装のセンスも良いし、特別な体験ができるサービスも素晴らしくて。何より非日常感を味わえる。あまりにも感動して、脱サラしてそのホテルに就職したんです(笑)」



「学生時代は飲食のバイトをしていたので、もともと接客するのが好きで。反応がすぐに見れるのが嬉しいんですよね。ゲストとのコミュニケーションに役立つと思って、今ソムリエのアシスタントとしてワインの勉強をしているんですけど、この部屋に友だちが来たときはカウンターから手料理とともにワインを出すこともあって。人の喜ぶ顔を見るのが好きなんです」

根っからの『おもてなし』上手なNさん。この部屋に決めたきっかけも、人をもてなすことができるカウンターがあったからだという。

「REISMの物件を探していたとき、カウンターのある部屋に住もうと決めていたんです。大きなカウンターキッチンがあるKitchenシリーズと迷ったんですけど、この部屋が持つユーズド感が自分に合っているなって。木製のカフェカウンターに扉がついていて、バーっぽい雰囲気も良かったんですよね」



「この部屋は天井が高くて、広さはないんですけど圧迫感がないのも気に入ったポイントで。コンクリートの武骨な感じも良いんですよ。何より、ユーズド感のある味わい深いフローリングは他になくて。立地も良かったし、内見に来てすぐに決めました」

ランダムに貼られた足場板がラフな印象を与えるカウンター、コンクリートあらわしの高い天井、素朴な風合いの足場板フローリング、iCafeの居心地の良い空間は、人を招きたくなるのも頷ける。

「大学時代の友だちが近くに住んでいてよく家に来るので、その度におすすめのワインと料理でもてなすのが定番になっていて(笑)。イタリアンのお店で働いていたこともあるので、得意料理を振舞っています。カウンター前に椅子を置いているので、そこに座ってお酒を飲んでもらい、自分はキッチンで飲みながら料理を作る。家にいながらお店感を味わえるのも楽しいんです」

ときには小洒落たカフェとして、夜はムーディーなワインバーに。
日常を送りながら、非日常感を味わえるiCafeは、おもてなし精神が根付いたNさんにとってまさにドンピシャの部屋なのだ。

ひとりの時間は、
本と映画と波乗りを。

お家時間を満喫しているNさんだが、休みの日には外に出ることが多いという。最近はじめたというサーフィンは、今一番、没頭している趣味なのだとか。

「兄がサーフィンをやっていて、その影響でサーフォンをはじめました。うまく波に乗れたときは嬉しいんですよね。ロングボードに乗って波待ちしている時間も、気持ちが良くてリフレッシュされるんです」

ロングボードは湘南にあるサーフショップのボードロッカーに預けて、行った際に持ち出して楽しんでいるという。

「人と一緒にいる時間も好きなんですけど、自分だけの時間を持つのもすごく大事だなと思っていて。サーフィンは、誰かと行っても波に乗るときはひとり。自分と向き合える貴重な時間なんですよ」



「家にいるときは、ソファに座って本を読むことが多いですね。ベッド横の窓にぴったり収まるスクリーンを買ったので、お酒を飲みながら映画を観たりしています」

本棚を見ると、料理を作ることが好きというだけあって料理関係の本が並ぶ。その中に、建築系の本が。建築にも興味があるのだろうか。

「建築デザイナーが設計したお洒落な建物や空間を見るのが好きなんです。今勤めているホテルに就職したのも、おもてなしの素晴らしさだけじゃなく建物自体が本当に素敵で、そこに惹かれたのもあります」

アートやデザインに対する意識が強く、芸術的感性の持ち主。こっち方面に進もうとは思わなかったのだろうか。

「実は芸大出身で、写真学科だったんです。大学を卒業して編プロに就職してカメラマンとして働いたこともあったんですけど、仕事ととしてはしっくりこなかった。趣味で撮るのは良いけど、仕事になるとまた違うなって。本職ではないけど、写真を撮って何かできたらいいなと思っています」

ホテルマンとして勤めながらソムリエとしても腕を振るい、ゲストの素敵な笑顔を写真に収める。Nさんのそんな未来がふっと目に浮かんだ。

(左)映画を観るときは、カウンターにプロジェクターを設置しているという。「この位置からスクリーンに映して映画を観ているんですけど、お酒が必需品で(笑)。飲みながら設置して、お酒片手にそのまま映画鑑賞するのが最高なんです」(右)「この折りたたみの自転車は、以前住んでいたところで使っていたもの。今住んでいるエリアは交通の便が良いので出番は減りましたが、街を散策するときに乗ると気持ちがいいんです」

2年間の思い出を胸に、
新たな地への旅立ち。

iCafeに住んで約2年。カウンターのある暮らしに自分の未来を重ね、充実した日々を過ごすNさんだが、転勤が決まり近々この部屋を去るという。

「今まで都内にあるホテル勤務だったんですけど、軽井沢のホテルに異動が決まって。勤めているホテルは色々な場所にあるので、地方に行って働くことができるのもホテル勤務の醍醐味なんですよね。この部屋を引っ越すのは残念ですけど、新しい場所で働けるのが楽しみではあるんです」

そう言うと、懐かしむように部屋を見回すNさん。カウンターに飾った季節の花、キッチンに並べられた調理道具……、この部屋での思い出が蘇っているように見える。

「すごく気に入っていた部屋なので、やっぱり寂しいですけどね。でも新しい場所はキャンプ場が近くにあるので、キャンプをはじめてみようかと思ってて。サーフィンもせっかくはじめたばかりなので、月1で帰ってきて友だちに会いがてら楽しもうと思っています」

新たな楽しみを見つけ、なんだか今よりも忙しくなりそうだ。他にも何かやりたいことなどはあるのだろうか。

「旅行が好きなので、まだ行ったことがない場所に行ってみたいです。昔は海外に行くことが多かったんですけど、今は国内旅行に行くのが楽しくて。次は沖縄の離島に行きたいですね」

趣味である旅行の話をしながら、未来の自分を想像しているのだろう。声が弾み、笑みがこぼれる。では、もう少し先についてはどうだろう。今現在は賃貸という暮らし方ではあるが、今後は自分で家を持つことも考えたりしているのだろうか。

「そうですね、いつか中古マンションを買って、自分の思い通りにリノベできたらいいなと思っています。もてなすことが好きなので、人が集まれる場所にできたらいいなって。でももう少し先ですかね。それまではホテルでの仕事を全うして、頑張っていきたいです」

その言葉には、新たな地で働く自分への決意が込められているようだ。最後に、2年住んだこの部屋に一言を。

「すごく素敵な2年間でした! ありがとうございました!」

満面の笑みで感謝を述べるNさん。その姿は、おもてなしをする上でかかせない、大切な思いやりが込められていた。

Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata