生活の中に美意識が息づく、文化と緑を楽しむ「目黒」の暮らし

JR山手線をはじめ、東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線が乗り入れる目黒駅。都心の主要エリアへアクセスしやすい便利な駅でありながら、駅を少し離れると目黒川や数々の寺社、豊かなミュージアムホテルや庭園の緑が広がっている。徒歩で行ける範囲に「白金台駅」や「中目黒駅」もあり、それぞれの駅周辺の華やかさとその間をつなぐように、こだわりショップが点在しているのが目黒の魅力だ。江戸時代のリゾート地として人気を集めた目黒は、今も昔も「坂」の街だが、目的地をひとつに絞らず気の向くまま歩くことで、この街らしい楽しみ方が見えてくる。

都会の利便性と歴史が織りなす、よくばりな街



駅前には、駅直結の「アトレ1・2」、高くそびえ立つ目黒セントラルスクエアをはじめ、たくさんの商業施設や飲食店が立ち並ぶ。西口を出た先にある「権之助坂」は、坂全体がアーケードのようになっていて、小さな飲食店や飲み屋さんが所狭しと並んでいる。坂の途中にはドン・キホーテの小型ディスカウントストア「ピカソ」もあり、この地域に住む人にはありがたい存在。食料品のスーパーはプレッセ、成城石井、ザ・ガーデンが駅直結にあり充実しているが、いずれも高級志向なので、少し足を延ばしてマルエツを利用するのもいい。



また目黒川沿いには桜並木が続き、春になると「桜まつり」が開催され、花を眺めながら歩く人で大変な賑わいをみせる。秋には「目黒のさんま祭り」が開かれ、季節を問わず川沿いの遊歩道は人々を惹きつけてやまない。



神社仏閣もたくさんあって、山手七福神めぐりも楽しめる。「目黒不動(瀧泉寺)」は、境内の木々や堂宇が落ち着いた空気をつくる目黒を代表する寺院のひとつで、恵比寿神が祭られている。趣のある池と庭園が美しい「蟠龍寺(ばんりゅうじ)」には弁才天、行人坂の途中に位置する「大圓寺(だいえんじ)」には大黒天が祭られている。ほかにも目黒通りと山手通りの交差点にある「大鳥神社」は、目黒区最古の神社とされ、例大祭や酉の市の時期には多くの人が訪れる。変わり種スポットとしては、世界的にも珍しい「目黒寄生虫館」も一度は訪れてみたい場所だ。

芸術と文化のスパイスが交差する場所





目黒の暮らしには、美術館や映画館などアートとカルチャーも日常に溶け込んでいる。東口を出て白金台方向に進むと、首都高速と隣合わせとは思えない緑豊かな「東京都庭園美術館」が現れる。茶室と情緒にあふれる「日本庭園」に加え、様々な美術作品が点在する「西洋庭園」があり、春夏秋冬それぞれ異なった表情で迎えてくれる。美術館の本館は、1933年に皇族朝香宮家の自邸として建てられた建物で、アール・デコ様式の意匠を随所に見ることができる。建物そのものがひとつの作品のようで、扉や照明、装飾の細部を眺めながら歩くだけでも十分に楽しめる場所だ。美術館内には、庭園を眺めながら過ごせるcafé TEIENやTEIEN Restaurant comodoも併設されている。



目黒駅から目黒川を越え、住宅街の方へ歩いた先にあるのは、「目黒区美術館」だ。地域に根ざした美術館として、近現代美術を中心に、企画展やワークショップ、関連イベントなどを展開している。大規模な美術館とはまた違い、展示との距離が近く、作品をじっくり味わいやすいのが魅力だ。映画好きなら、「目黒シネマ」にも立ち寄りたい。目黒駅西口からほど近い場所にある、長く親しまれてきた名画座だ。新作を大きなスクリーンで観る映画館とは違い、過去の名作や特集上映、監督・俳優に焦点を当てた企画など、その時期ならではのプログラムに出会える。2本立てや特集上映が組まれることもあり、映画を1本観て帰るというより、その日のテーマに浸るような時間を過ごせる。こういった映画館が地域からなくなっていくなかで、目黒シネマはとても貴重な映画館と言える。

ひと休みしたい、目黒のカフェあれもこれも





ランチをするにもお茶をするにも、選び放題なのが目黒のカフェ!でもまず訪れたいのは、2,500点もの日本画や美術工芸品に彩られた唯一無二のホテル「目黒雅叙園」だ。1階にあるカナデラウンジは、壮麗な吹き抜けのアトリウムに抱かれたカフェラウンジ。高い天井と華やかな装飾、都心とは思えない庭園に囲まれた空間は、駅近くにいながら日常から離れたような贅沢な気分にさせてくれる。一流ホテルの価格ではあるが、大切な待ち合わせや、少し優雅に過ごしたい午後には最適の選択だ。



駅の西口方向、目黒駅前ビルの2階にあるのは「PARLOR NOON」。青い屋根が印象的な2階建ての建物で、1階には同じ系列の定食系レストランNOONがある。階段を上がった先は18席ほどのこぢんまりしたパーラーで、白を基調とした落ち着いた雰囲気の空間が広がっている。お昼12時過ぎのオープン直後に足を運んだが、客席はほぼ女性で満席。1人で訪れている人も多く、カフェやスイーツそのものを楽しみに来ている常連さんが多いとわかる。季節のフルーツを使ったパフェや、フルーツを添えた紅茶のパンナコッタなど、見た目にも心が弾むスイーツが人気だ。

家具と暮らしの道具を探す、目黒インテリアストリート



目黒通りには、家具・照明・雑貨を扱うショップが集まる「目黒インテリアストリート」と呼ばれる一帯がある。アートを鑑賞し、カフェでひと休みしたあとは、気になる家具や植物を眺める至福の時間を過ごそう。新品の家具だけでなく、ヴィンテージやアンティーク、デザイナーズ家具や古い暮らしの道具など、得意分野が異なる店が点在するので、時間をかけて気になったお店を一つずつ見て回ってほしい。「ARTICLE」は、ヨーロッパを中心としたヴィンテージ家具や雑貨の直輸入セレクトショップだ。「STANLEY’S」はオリジナルソファを中心に世界にひとつだけの家具を真心込めて制作している。「FILM」は、数十年もの時を経た現在も色褪せない優れたデザインや質の高いヴィンテージ家具をセレクトしている。

一人暮らしこそ植物に囲まれて過ごしたい



目黒通り沿いには、センスのよいフラワーショップやグリーンショップもある。特に「(e)vol」は、スタイリッシュな空間の中に、鮮やかで色とりどりの生花やプリザーブドフラワーが美しくディスプレイされており、一歩足を踏み入れるだけで目を奪われる。花を引き立てるおしゃれなフラワーベースもたくさん扱っていて、家に連れて帰りたくなる草花に溢れている。





さらに目黒通りを自由が丘方向に進んでいくと、「Tokyo garden」が見えてくる。グリーンショップとカフェが一体になったユニークな店で、店内には大型の観葉植物や季節の草花が並び、小さな森の中に入り込んだような雰囲気が広がっている。たくさんのグリーンに囲まれた贅沢なカフェスペースで、同じ建物内にあるパティスリーのスイーツを食べることができるのもポイントが高い。植物や花を選ぶために訪れるのはもちろん、植物に囲まれた空間でランチやお茶を楽しむ目的で立ち寄るのもよい。インテリアストリートを歩く途中にここでひと休みすれば、家具や空間の中に植物を取り入れるイメージも自然と膨らんでくる。

洗練された街並みと、歴史や緑が残る親しみやすさ。
そのどちらも併せ持った「目黒」は、おしゃれに暮らしたい人にもってこいの街だ。