File No.82Boho Miki Yoshidaさん work:フリーランス美容師

異国と心の内を繋ぐ、
リバティアーチの誘い。

英国のロックバンドQUEENの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」。伝記映画のタイトルにもなったこの曲は「放浪民の狂詩曲」という意味があり、自由奔放に生きる放浪の民と、形式にとらわれない自由な楽曲が組み合わされている。

REISMのシリーズにも、型にはまらない自由を表現した部屋がある。自由奔放なボヘミアンスタイルと都会的なニューヨークスタイルをミックスした「Boho」だ。テラコッタ調のタイルに柔らかなラインが印象的なアーチ開口、ギャラリーとしても楽しめるディスプレイシェルフ。ナチュラルさもありつつアーティスティックな造りは、同じ感覚を持つものを引き寄せる。

この部屋の住人Yoshidaさんは、フリーランスの美容師。美を追求するアーティストであり、形式にとらわれない働き方を実践していて、まさに「Boho」と同じスタイル。

「タイルを使っていたりアーチ型の入り口がある海外っぽい雰囲気が好きで、そんな部屋に住めたらって想いがあったんです。この部屋をはじめて見た時、やさしい色味のタイルにアーチの入り口、木の使い方、すべてが理想通りで、内見後すぐに決めました。もともと表参道にあるヘアサロンの社員として働いていてフリーランスに転身したんですけど、職場にも近かったっていうのも良かった点ですね」



部屋に入ると、「Boho」にぴったりなセンスの良い小物が並び、まるで異国に来たかのような錯覚に陥る。

「持っていたものがこの部屋の雰囲気に合っていたので、家にあったものをそのまま持ってきました。籠や小物はヴィンテージショップで買うことが多かったです。取っ手付きの籠は代々木上原にあるARCHWAY(アーチウェイ)のもの。中が見えないので、色々詰め込んでます(笑)」

隅々にまで“好き”で埋め尽くされ、この部屋での暮らしが楽しくて仕方ないのがわかる。

「この部屋に越してきて2年ちょっと。実は、結婚を機に部屋を出ることになって。少しずつ物を整理しているんです。雑貨が並んでいる棚も、もともとはテレビを置いてて。冷蔵庫と電子レンジと一緒に弟にあげました」



運命の出会いによってこの部屋の住人となったわけだが、実生活でも運命の相手との出逢いがあったとは!

「新しい生活は楽しみではあるんですけど、この部屋から出るのはやっぱり寂しいですね。次の部屋は白を基調にしていて、どちらかというとカッコいい系。旦那さんの希望で決めたんですけど、私の好みではないです(笑)」

茶目っ気たっぷりに、本音を語ってくれたYoshidaさん。この記事が出るころには引っ越しを終えて、新たな地で生活を送っているという。

「残り1ヵ月、それまではこの部屋での暮らしを楽しみたいです」

今回はいつもとは違い、思い出としてこの部屋での暮らしを語ってもらう。自由奔放と都会的なスタイルがミックスされた「Boho」の住人だ、型にはまらない見せ方は、むしろ得意であろう。思い出が詰まったこの部屋を、アルバムをめくるように紐解いていこう。



(上)一目惚れだったというテラコッタ調のタイル。麻ひもで編んだスリッパとタイルはピタリとはまり、異国情緒をより醸し出している。(左下)絵画が好きだというYoshidaさん。ピクチャーレールにはお気に入りのポストカードが。飾り方にもセンスを感じる。(右下)「麻ひもがついたラックはもとから持っていたもので、右の飾りはこの部屋に合わせて買いました」

何気ない日常を振り返る
幸福な時間旅

一日一日、愛おしみながら、この部屋での暮らしを楽しむYoshidaさん。これだけ素敵な部屋だ、たくさんの友達が来たのではないだろうか。

「ご飯を食べに来たり、泊まりにもよく来ていました。はじめてこの部屋に入った時、『可愛い部屋だね~』ってみんなすごく褒めてくれて。両親が家に来た時も、『いいお家だね、オシャレでいいね』って言ってくれたんです。この辺はカフェやオシャレな居酒屋も多いので、ご飯を食べたりお茶にもよく行ってました。駅からもそんなに離れていないし、本当に住みやすかったですね」

都心へのアクセスも良く、大きな公園や緑道もあり自然環境にも恵まれている。カフェや飲食店だけでなく、スーパーや薬局など日常的に使う店も充実し、住みやすかったというのが良くわかる。

「家にいることがすごく楽しかったですね。普段はソファで寛ぐことが多かったんですけど、折りたたみ式の机を出してご飯を食べたりメイクをしたり、音楽を聴いたり……クロスステッチをすることも。今は忙しくてなかなかできていないけど、落ち着いたらまたやりたいですね。完成するとクリムトの接吻になるんですけど、そこまでいくには程遠いです(笑)」

「この部屋の雰囲気が本当に好きなんです。だから、REISMの物件で2人用がないか探したこともあったんですけど、なかなかなくて(笑)。こういった部屋で広さがあったら最高なんですけどね……」

なるほど、これは参考になる意見。REISMの人に向けてどんどん発言していけば、それが実現する可能性もなきにしもあらず……。

「そんな風に感じている人は多いんじゃないかなって(笑)。次に住む家は今とはまったく違うけど、その部屋に合ったオシャレを楽しめたらって思っています」

この部屋での暮らしを思い出しながら、未来の自分を重ねるYoshidaさん。「Boho」で過ごした時間、残りの時間は、何にも変えられない宝物。そして、これからはじまる新たな生活も、希望と喜びに溢れ、かけがえのない宝物になるに違いない。

(左)「オシャレが好きな母の影響で、ファッションや雑貨に興味を持ちました」。ショップのようなディスプレイにオシャレな服たちが並ぶ。お母様のファッションセンスはしっかり受け継がれている。(右)ARCHWAY(アーチウェイ)で買ったという籠には、タオルや生地がぎっしり。「蓋がついているので、隠したいものをさっと入れることもあります(笑)」

夢に託した、
理想の部屋のカタチ

部屋を見渡しながら、何気ない日々を思い出すYoshidaさんを見ていると、この部屋での暮らしがいかに大事だったかが良くわかる。また「Boho」のような部屋に住みたいという想いはないのだろうか。

「自分で1から考えた、理想の家に住みたいって想いはあります。やっぱりテラコッタ調のタイルがあって、木も要所に取り入れた部屋にできたらいいですね。旦那さんもいるので自分の希望だけってわけにはいかないので、自分のお店を持つことができたときは、こういった雰囲気にできたらいいなって思ってます」



なんて素敵な夢! 自分の好きなテイストで固めた理想の空間で働けたら、毎日が楽しいに違いない。場所など決めているのだろうか。

「あくまでも希望ですけど、表参道から2駅くらいの場所でできたらいいなって。中目黒とか代々木上原が希望というか理想です。色々生活も変わるのでどうなるかわからないですけど、早いうちに叶えたいですね」

フリーランスの美容師として表参道のヘアサロンで勤務するYoshidaさんのインスタmiki_yoshida__(@miki_yoshida__)を見ると、その人をイメージした様々なヘアスタイルが並ぶ。アーティスティックで、でも日常にも溶け込むヘアスタイルは、センスだけでなく人を想うYoshidaさんの人柄も表現されている。

「フリーランスになって1年ちょっと。不安もあったけど、私を信頼して来てくれる人たちに支えられて自信もつきました。自分のことに集中できる時間もできたし、この働き方にして良かったと思っています。今までの経験を活かして、色んなことにも挑戦していきたいですね」

これから始まる新たな未来。「Boho」で培った型にはまらない自由な発想は、リバティアーチを抜けて無限の可能性へと広がっていく。



(上)キッチン雑貨もセンスに溢れたものばかり。「新しいお家に送ってしまったのでだいぶ減ってはいるんですけど、コップやお皿は色物や柄物を選んでポイントになるように収納していました」(左下)ヴィンテージショップのようなオシャレな玄関。ビアンキ(Bianchi)の自転車が絶妙な空間を作り出している。(右下)「玄関横には、大好きなクリムトの絵を飾っています」ドライフラワーと絵のやさしい色味がマッチ。ちょっとした空間も、自分好みに表現するセンスは流石。

Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata