File No.79Garage T.Iさん work:プラントエンジニア

無限の達成感を求め、
無骨に嗜好の頂へ。

車やバイク、ジムにキャンプ……趣味をとことん楽しめ自分時間に没頭できるガレージは、大人の至極の遊び場。そんなガレージを彷彿とさせるリノベーションシリーズ「Garage」に、自らの生き方を重ねて入居を決めたのがIさんだ。

「もともとリノベーションの部屋を探していて、REISMの物件をいくつか見ていたんです。どの部屋もすごく良かったんですけど、ラフに生活ができそうだなって思えた「Garage」が一番自分に合っているなって。仕事にも行きやすい場所でもあったので、この部屋に決めました」

天井からレールを吊り下げた倉庫風のペンダントライトに、ヴィンテージ感が漂うフローリング。すのこラックを施したキッチンに、パテ跡がワイルドさを演出するコンクリート壁。インダストリアルなデザインながら所々に木目調を取り入れた空間は、ハードになり過ぎず力みを感じさせない。Iさんの言うラフな生活ができそうというのも頷ける。

「面倒くさがりな性格で片づけが苦手なんです。だからなのか、綺麗に収まり過ぎていると何だか落ち着かなくて。この部屋は、趣味の登山道具やキャンプ道具を雑多に置いても気にならない。洗濯物を畳まずそのままかけられるオープンクローゼットも最高で(笑)。色んな意味で、無骨な感じが性に合ってました」



この部屋に越して来る前は、会社の寮で生活をしていたIさん。その頃から登山とキャンプにはまり、道具もかなり揃えたのだとか。

「アウトドアが好きってわけではなかったんですけど、やってみたらがっつりはまりました(笑)。特に登山は、初めて登った山から見た景色が本当に綺麗で。大変ではあったんですけど、達成感も心地よかったんです。その時の経験が忘れられなくて、少しずつ道具を揃えていきました。今では定期的に登りに行ってます」

休みの日には、登山をはじめキャンプに自身の車で行くという。アウトドアがきっかけで車を持ち始めたのだろうか?

「会社の寮が結構不便な所にあって車が必須だったんです。今は休みの日や登山の時にたまに乗るくらいなんですけど、この便利さを知ったら手放せなくて。寮にいた時は、車のほかにバイクを2台所有していたんですよ。さすがに一人暮らしをするのに2台持つのは大変だと思って1台売ったんです。家賃負担がなくて、食事の提供までしてもらえた寮での生活は本当にありがたかったですね」

聞けば、1週間かけて一人で北海道をツーリングしたこともあるというほどのバイク好き。自らの意思で行動する、根っからのアクティブ派だ。

「黙々と何かをするのが楽しいんです。だから料理を作るのも好きで。でも面倒くさがりな性格なんで、簡単な料理をたくさん作って何日も同じものを食べることも多くて。4日連続ガパオライスってこともありました(笑)。本当は掃除も面倒くさいんですけど、片づけないとルンバが掃除をしてくれないので床に物を置かないように意識してます」

はまったら、とことん没頭。面倒くさがりも、言ってみれば好きなことがはっきりしていて、無理なく取り組めるということ。何事も自分のペースで前に進む、Iさんの意志の強さの強さが垣間見えた。



(上)寮時代から使っているというコンテナボックスには、登山道具やキャンプ道具がぎっしり。「残雪期の登山に必要不可欠なピッケルやスパイクがついた登山靴など、用途に応じて入れるものを分けています」(左下)「右のヘルメットは今乗っているバイク用。左はオフロードバイクに乗る時に使っていたもの。バイクは売ったんですけど、ヘルメットは残してます」(右下)鍵やマスクなどがかけられる有孔ボードはIさんが取り付けたそう。インダストリアな空間に木の温もりが良いアクセントになっている。

家で過ごす時間は
ラフに心地よくがテーマ

部屋のテーマと趣味がぴたりとマッチしアウトドアのイメージが強いIさんだが、普段はもっぱらインドアだという。

「家にいる時は携帯で漫画を読んだり、PCでクライミングをしている動画やバイクのツーリング動画を観てます。近くにスーパーもあるので、食材を買って料理もしますよ。休みの前の日には友達と飲みに行くこともあるんですけど、次の日は昼くらいまで寝てますね(笑)」



Iさんが住むエリアは、下町情緒溢れる観光地としても人気の街。量販店はもちろん、飲食店も充実している。話しぶりから、この街での暮らしを満喫しているのが窺える。

「週に2回在宅勤務なんで、家にいる時間も大事にしてます。PCの前にいることが多いので、使いやすさを重視してデスクは高さが調整できるものに新調しました。天板もオリジナルなんです。寮にいた時は必要なかったので、キッチン用品や調理家電を全然持ってなかったので、引っ越しを機にほぼ一から揃えました。こだわりってほどではないんですけど、部屋のイメージに合わせて黒を基調にしてます。一番こだわったのは冷蔵庫ですかね。1回に大量の料理を作るので、ストックできるように冷凍室が大きめのものを選びました(笑)」

買い揃えたというアイテムの中で特に目を引くのが、すのこ状の収納ラックに並べられたキッチンアイテムだろう。この部屋の造りが作用してか、工具がずらりと並んでいるかのよう。

「収納の仕方は動画を見て参考にしました。でも、あくまでも使うことがメインなんで、“使いやすい”ってことが重要で。見せ方を重視して生活感をなくして暮らすのは息苦しく感じるんです。だから、参考にしながらも自分が使いやすいように、置く位置や並べる順番はこだわりました」

ベストな生き方を模索しながらも、ラフであることは忘れない。Iさんのマイルールは、心地よく暮らすためのヒントが詰まっていた。

(左)生活感がありながらもセンス良くまとまったキッチン。木の温かみと黒を基調としたキッチンアイテムがマッチしている。(右)キッチン下にはワゴンを置いてスペースを有効活用。「このワゴンも調理家電やキッチン道具と合わせて黒に。良く使うラップや袋をいれてます」

困難な道のりの先にある
喜びを求めて突き進む

何事も真剣に向き合うIさん。インドアにアウトドア、バランスよく生活に取り入れ日々の暮らしを満喫しているが、まだまだやりたいことがあり目標とするものがあるという。



「会社の先輩がロッククライミングをしているのを聞いて、やってみたいと思ったんです。YouTubeでロッククライミングの動画を観たり施設で練習はしているんですけど、実際の岩場にはまだ登ったことがなくて。本格的に始めて実践してみたいですね」

登山のみならず、ロッククライミングも! 趣味もさることながら、仕事面でも変化があったのだとか。

「海外の人と一緒に仕事をする機会が増えてきたんです。今は直接やり取りしてはいないんですけど、今後は視野に入れていければって思ってて。空いている時間や電車の移動中に英語の勉強をしているんです。今はもっぱらTOEICのための勉強をしてます」

自分が目指す目的地にひたすら真っすぐ進むIさん。道のりは険しく、ゴールはまだまだ先かもしれない。けれど、どんな困難な状況でも一歩一歩前に進む。

世界的冒険家であり登山家の植村直己もこんなことを言っていた。

「山登りはたとえどんな山であろうと、自分で計画し、準備し、自分の足で登山する。その過程が苦しければ苦しいほど、それを克服して登頂して登りきったその喜びは大きい」

困難であるほど、達成した時の喜びは一塩。そこから見える景色と達成感は、何物にも代えがたい一生の宝物となるのだ。



(上)「空いた時間はなるべく英語の勉強をするようにしています。TOEICのスコアが上がると仕事の幅も広がるので、やりがいに繋がります」(左下)倉庫のような空間ながら生活感をしっかり感じられるのは、ラフさを忘れないIさんのルールの賜物。ペンダントライトの灯りが温かさを醸し出している。(右下)ハンガーラックとは別に、スーツ用のラックを設置。ショップのインテリアのようでセンス良くまとまっている。

Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata