空や海、川をイメージさせるブルー。晴れ晴れとして広さを感じさせるその色は、冷静やクール、透明性といった意味の他に、自由、束縛を嫌う、理想…といった心理が隠されているという。
アクセントカラーを居室の一部に取り入れたリノベーションシリーズ「Plain」。Oさんが住むこの部屋は、壁一面に爽やかなブルーを施し、白で統一された建具や無垢フローリングの木の色味がノルディックな雰囲気を醸し出している。
「ずっと引っ越しをしたいと思っていて、色々と物件を見てはエア引っ越しを繰り返していたんですよ。デザイン、立地…全てが一致するところがなかなかなくて、どうしようか…と思っていたときにこの物件を見つけて。REISMのサイトを見た時から住んでみたいなって思ってはいたんですけど、実際にこの部屋を見たら思っていた以上にお洒落で。デザインはもちろん、立地、階数すべてがはまって即決めしました」
決め手となったというブルーの壁にインスパイアされ、部屋のあちこちには異なるブルーが散りばめられている。中でも目を引くのが、悠々と海の中を泳ぎ回るクジラが映し出された大型の三面モニターだろう。
「アニメを観たり映画を観たり、ゲームもよくするんですよ。だから、それに合った環境づくりがしたかったんです。アニメを観ながら株をチェックしたりと同時に色々見るから、一面じゃ足りなくて(笑)。これだけ大きいモニターを置くとなると、普通のデスクじゃ長さが足らなくて、三面のモニターが置けるようにデスクも220cm以上の横長仕様にしたんです」
「長い時間モニターの前にいるんですよ。ゲームしてたら10時間くらい座っているんじゃないかな。環境を充実させたくてスピーカーも買い足したし、椅子も良いものを買いました。居心地が良すぎて、家にいる時はほとんどモニターの前にいます(笑)」
マルチタスクを難なくこなすOさん。色々と器用にこなすので、料理の腕も相当なものなのでは?
「同時に色々できるんですけど、料理はまったくやらないんです(笑)。キッチンを使うのも1年に1~2回あるかどうかで。でも、この辺は安くて美味しいお店が多いんで、食べるのには困らないですね。路地に入るとカフェもいっぱいあるんです。コーヒーを飲みながら本を読んだりしてます」
多くの知識人や文化人が集ったこの街を、ホームとして満喫するOさん。玄関を入ると爽やかな青が目に飛び込んできて、青空の開放感がそのまま部屋へと続く。
「家に帰るのが楽しいんですよ。お洒落な部屋に好きを詰め込んで、とにかく最高なんです。もともとインドアですけど、今まで以上に家が好きになりましたね」
Oさんにとってこの部屋は、疲れを癒し安らぎを与えるオアシスなのだ。
アニメや映画鑑賞、ゲームに読書…多趣味のOさんだが、他にも余暇を楽しむとっておきのものがあるのだとか。
「趣味っていうか、自分の軸になっているのはファッションですね。洋服が好きなんですけど、特にデニムが好きで。ハマったら、とにかく収集しちゃうんです。引っ越す前はかなり持っていたんですけど、引っ越しを機にかなり厳選しました」
そう言って見せてくれたオープンクローゼットには、デニムをはじめ洗練された洋服がずらり。
「これでもかなり処分したんですよ。今あるのは厳選したものたち。結局、着るものや履くものって限られているなって。色々突き詰めていったら、“物を持たない”ってことがこの部屋には正解なんだって思ったんです。シンプルがいいって悟ったんですよ(笑)」
ミニマムな部屋には、思い思いの好きが詰まっている。けれど、決してごちゃついていない。むしろ、スッキリして見える。
「この部屋に合った暮らしを意識したんです。物を持たないってこともそうですけど、いつでも綺麗な状態を保ちたいなって。片付いた部屋だと気分がいいんです」
整頓されているのは部屋だけではない。引き出しを開けると、綺麗に収まったゲームが。
「ゲームも、楽しむってよりもコレクションって感じで。この部屋には、気に入っているゲームの他に、珍しいものやプレミアがついているものを厳選して持ってきました。プレミアがついてるものは、高い時で5万円くらいしたんじゃないかな」
「この部屋に越してくることで、身の回りの整理がかなりできた気がします。結局、パソコンの前とベッドの上にいることが多いんですよ(笑)。それなら、それに合った範囲内で物を持とうって思ったんです」
シンプルな暮らしへとシフトチェンジしたOさん。幸せを呼び込む色として表現されるブルーは、Oさんに物を持たない幸せも呼び込んでくれた。
この部屋に越してきて半年経ったOさん。自分好みの空間へと変えていきながら、同時に未来のビジョンを思い描いているそう。
「今はこの部屋での暮らしを楽しんでいるんですけど、いつかは海外で暮らしたいんです。高校の時にニュージーランドに留学したんですけど、そこでの暮らしが自分にすごく合っていて。だから、またそこで暮らしたいなって思いがあるんです」
多感な時期を海外で暮らすことで、日本では得られない刺激をたくさん受けたという。
「博物館とか、公共のものが割と無料だったりするんですよ。ニュージーランドの医療制度『GP』に加入すれば、医療も無料で受けられるんです。首都のウェリントンってところにいたんですけど、天気も比較的良くて過ごしやすい。カフェも多いんですよね。治安も良いので暮らしやすいんです」
確かに最高! これならすぐにでも行きたくなりそうなのだが…。
「すぐにでも行きたいんですけどね。ただ、海外では観られないアニメや映画がたくさんあって。ネトフリとかアマプラもあるんですけど、そこにないものも多いんです。何だかんだ言って、日本ってエンタメ最強の国なんですよ(笑)」
きっと今はまだ、“その時”ではないのだろう。この部屋に決めた時のように、全ての条件がピタリとはまる時がくるのだ。それまでは、今まで通りのびのびと生活するのだろう。そして、“その時”がきたら、自分自身が幸せの青い鳥となって思いっきり飛び立つに違いない。
Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata
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