File No.070Brick S.Iさん work:人事

心と生活を整えるため、
丁寧に作り上げるリラックスする時間と空間

「さまざまなサイトで検索する中でREISMに辿り着き、他にも部屋の間取りで気になるところがあったけれど、ここが1番使い勝手が良さそうで1K、金額的にこの部屋が私にぴったりでした」

そう語るIさんが特に決め手だと感じたのが大きな二つの窓。この窓のおかげで常に日当たりが良く風通しも良い。加えて広めのウォークインクローゼットに大好きな洋服をたくさん収納できるのも好ポイントだった。

「打ちっぱなしとブリックと木の色々なマテリアルのミックス感がいいし、ライトも自分の落ち着く明るさに調光できて便利ですね。秘密基地感というか、自分だけの場所って感じが好きなんです」

Brickの醸し出す雰囲気を生かしながらも自分らしい空間へとアップデートさせているIさん。この部屋に住み始めて2年3カ月目だ。

「ナチュラル系が好きなので基本的にはウッドベースで揃えています。ドライフラワーなどもあわせてアクセントに。もともとBrickの雰囲気は好きだったので、家具を揃えてさらに自分の好きなテイストにしています。その中でも自分の好きな小物を飾ることでオリジナリティとアクセントを足していますね」

「右はトイレットペーパーの芯に紙を薄く巻いてできてる円錐を2つ重ねた花瓶。大阪旅行のときに見つけて感動し購入しました」

テレビ台とテーブルはハンドメイドやクリエイター作品を購入・販売できる Creemaというサイトで購入。希望の幅などを伝えて作ってもらったのだそう。「個人の方がやってるので値段が抑えられるのがいいですよね」



まとまりを感じるお部屋の中で、目を引くアロマディフューザーやフレグランス、キャンドルなどのセンスが効いた小物たち。シンプルですっきりとしたインテリアに見えるが、Iさんは「今のお部屋の状態は少し物が多く感じる」と言う。

「ここに引っ越す前に住んでいた部屋は無機質な感じだったのですが、ここは開放感がありリラックスする空間になってると思います。少し物が多いと自分では感じるので、さらにシンプルな住まいというものを意識するようになりました。もともと物が多いと思考がぶれてしまうタイプで、物を捨てた時の方が研ぎ澄まされる感じがあるんですよね。やっぱりものを持つことってエネルギーが必要。だから、本を読むことなどもっとインプットすることに重きを置きたいです。ビジネス本は読んだら売ってしまうのですが、暮らしを豊かにしてくれる本は手元において、気分が落ち込んでいる時に読んで自分の感性を取り戻すという作業をしますね」

自分の好きなもの、フィットするものを厳選して手元に置いておくこと。ライフスタイルの在り方と密接にお部屋作りがされることで、自分が心地良いだけではなく生活の質そのものを一段引き上げてくれるのだろう。

最近は樹木希林の『一切なりゆき』を読んで、生き様がかっこいいと感じたという。
「砂時計は7分。使い勝手がいいわけじゃないけど、夜瞑想するときに使います。SHIROとDIPTYQUEのフレグランスは優しいような爽やかな香りで、よく使うものをここに置いてます」



玄関先の棚はシューズラックであり、小物をディスプレイするインテリアスペースでもある。「思い出のものや、好きなもの、鍵、家出る時思い立ってアクセサリーを変えたいとき用にスタメン以外のものはここ。サンフランシスコに留学していた際に購入した本も飾っています」



セルフケアをテーマに、リズムのいい生活

「朝は筋トレとストレッチをすること、ご飯を作り置きしておくこと、夜寝る前に本を読むこと。お風呂ではケータイを見ずにデジタルデトックスをしてます。風通しがとてもいいので、春と秋の気温がいい日の夜は窓を二つとも大きく開け放して落ち着く時間を作っています。これはこの部屋に住んでさらに気づいたいいところですね」

この部屋に住んでからさらにリラックスする空間と時間を作っているとのことだが、こうした生活スタイルになったのはきっかけがあったのだろうか。

「在宅が増えたことでセルフケアや生活を整えることを意識したというのはあります。ずっとこの部屋にいるので、どうやったらもっと豊かな時間を過ごせるか考えていますね。休日はNetflixを見たり、本を読んだり、友人と遊んだり。あとは旅行が好きで、この前は箱根に行きました。公園のような手頃な場所も気持ちいいのですがもっと人がいなくて、五感を刺激してくれるから小鳥の囀りや、森林の香りを感じられるような自然が好き。なかなか遠くまで出かけられないときはYouTubeで森林の動画を見ています。アロマを炊くこともリフレッシュの一つで、香りは私の中で大切にしています。お風呂やベッド、お部屋にAesopのルームスプレーをかけたり、アロマオイルを炊きながらソファに座って目をとじて瞑想してみたり。最近は韓国の方のVlogを見ています。無音なんですが、流しているだけで私も料理しようと思えるんですよね」



Iさんの話を聞いていると、“セルフケア”というキーワードが浮かび上がってくる。自分のモチベーションを保つことを大事にしてる印象があるが、話を聞くと自分との向き合いや整えることへの意識の高さが見えてくる。

「休日に作ったおかずを平日に温めて食べることで、身体にも心にも気を遣えます。自分の中で食は自分の生活やメンタルバロメーターになってるようなところもあって。できる限りヘルシーなものを自分で作って食べる。ささやかなルーティンで生活の基盤を大切にすることには気を遣っています」

「ル・クルーゼは特にお気に入りでカレーはすぐに完成しますし、このまま冷蔵庫へ入れられるのが便利。良く作るのはトマトベースの系魚介ペーストを作って、リゾットにしたり、パスタにしたりします。いつも日曜日に夕方に作り置きしますね。あくまで自炊することを大事にしているので、健康にすごく気を使うとかストレスになるようなことはしないです。シートはブリックに合わせて、跳ね返りも防止できる!」



IKEAのライトにカゴ素材のゴミ箱を重ねてライトをDIY。暗い空間にして入浴するときはこのライトをつけてリラックス空間をつくる。

自分との向き合い、他者との繋がり

現在は自分と向き合うことを意識しながらも、仕事に置いては他者の意見やアドバイス、考え方に耳を傾け取り入れることも同じくらい大切にしていることだ。「やっぱり、私の軸には仕事がある」と語るIさんにお仕事について聞いた。

「メーカーのソリューション営業をしていた1社目は大手ならではの保守的な空気の中で、キャリアを考えたときにもっとスキルアップしながら人に関わる仕事をしたいと考えていました。刺激を求めるという意味でも、ベンチャー企業に営業として転職。今は人事として働いています」

2社目は採用支援を行うベンチャー企業だったそう。そこでの仕事を通してもっと企業の組織づくりに携わりたいと感じ半年前に現在の会社に転職をした。多様なキャリアを重ねてきた中でも大切にしていることは何をやるかよりも誰とやるかということ。

「今の会社では,刺激を受ける人が多いです。2社目でつらい時期があったのですがその時間があったからこそ、仕事における自分の価値観や、どういう人になりたいかを考えて見つめ直したことが今につながっているように思います。そのときは常に自問自答し、自分はどんなバイアスで物事を見ているかを考えていました。仕事でうまく内省できているとプライベートも内省できるんですよ。仕事だから!プライベートだから!と分けるのではなく、出会った人に対してフラットに関わりたいと思っているんです」

人との関わり方に対する新たな価値観を得られたのは、大学生時代のアメリカ・サンフランシスコでの海外留学経験も一つのきっかけだった。

「大学生のときにラオスを支援する学生団体に所属していました。そのときに、お金があれば幸せと思っていた自分の価値観が覆されて、幸せは捉え方次第だし日本はお金があるのに幸せそうに見えないなと思ったんです。他の国に住む人たちはどんな価値観をもって生きてるのか知りたくなって留学しました。いろんな国、自分と違う文化の人たちと暮らし、考えを聞くことで人と自分は大前提として違うんだ、ということを自然に受け入れられるようになりました」

「自分だけの思考や考えはたかが知れてる」と口にしたIさんはたくさん人からアドバイスや意見を聞き、それを取り入れることでアップデートを重ねている。ただ意見を聞くよりも、自分の聞きたいことや自分の意見を投げかけることで何度もラリーを重ねるのが楽しいのだ。
自分と向き合い、人との繋がりを大切にするIさんにこれからの話を聞いた。

「仕事に生かしたいと考えて個人的にコーチングを勉強しています。コーチングは目標達成するために自分の凝り固まった思考を取り除いて、方法を第三者目線から教えるものなのですが、私自身コーチングを受けたことで主観だけでは気づかない視点や新しい思考回路が生まれました。週3回3-4時間の講習を受けて非公認のコーチング資格をとったのですが、今度は認可ありの公式な資格をとれるように邁進していきたいです。いろんな人に助けられて生きてきたからこそ、私もここまできたので今度はいろんな人の悩みを聞いて背中を押せるような存在になりたい。人事として仕事面でもキャリアを積み重ねつつ、もっと人のライフスタイルをモチベートできるようになりたいです」



Text: Rika Watanabe
Photograph: Hiroshi Yahata