すぐ近くにはなんでも揃う商店街や大型スーパーがあり、治安の良い住みやすい街にあるシリーズ「Brick」の物件。
どこかゆったりとした時間の流れる街に調和する、落ち着いたブラウンで統一したブリックタイルと木床が大人の空間を演出。目地を広くとることでハッキリとした存在感が生まれたブリックタイルと、美しく表れたオーク材の組み合わせがほんのり倉庫の風情を醸し出し、まるで大人の隠れ家のようなリノベーションを実現させている。
「転勤の辞令を受け、いそぎ物件を探し始めた矢先にこの部屋に遭遇し、一目で気に入り決定。辞令からわずか1か月弱の間に不思議なほどトントン拍子に決まりました。」
なんといっても、部屋の明るさと解放感に魅かれて即決したというH.Tさん。日当たり良好なうえ壁の白が活きているため、部屋にいる間はほとんど照明を点けなくても良いほど。さらに嬉しいことに、寒い時期でも暖房効率が良くとても暖かい。
ブリックの壁のデザイン性だけでなく、照明の形やレール部分やドアなどにはシックな黒を配色し、細部まで徹底的にこだわっているこの部屋の造りと雰囲気が、「好きすぎてしょうがない。もう動きたくない。」とH.Tさんはと言う。
大きな窓から差し込む明るい陽光の中で、心からリラックスして暮らせる部屋は、かつてないほど素晴らしい暮らしをもたらしてくれた。
「接客の仕事なので、時には心身ともに疲れる時もあります。それでもこの部屋に帰ってくると、『フッ…』と何かが落ちるんですよね…。」
まさにきっちりとオンオフの切り替えができる環境。この部屋に来てまず、空間にぴったり合う家具を探すのはとても楽しい作業だった。好みとニーズにばっちり合うものが見つかるまでは、絶対に“イマイチ気に入らない間に合わせのモノ”は買わないようにしているH.Tさん。そのこだわりはじつに徹底している。
部屋の中心に鎮座しているクラフト作家によるハンドメイドの杉古材テーブルに出会うまでの一年間は、前の家で使っていた小さなベッドサイドテーブルを代用品として使いながら、自身も小さくちぢこまって生活していた。
「テーブルが来てからというもの、家に居る時は大半をこのテーブルスペースで過ごしている。イスも、これ以上増やすつもりはないので呼べる友人の数はせいぜい4人が限度。」
ベッドも、奥まったスペースにピタッとジャストフィットさせるためヘッドレストのない低めのモノをチョイス。
人に見られる仕事なので、身だしなみをきちんとするために大きな全身鏡を置いているが、鏡に映り込む風景ですら立派なインテリアの一部になるのでとても気に入っている。どこを取っても完璧な自分仕様の部屋だからこそ、心と体にたまった雑多なモノが「フッと落ちる」。リセットのために欠かせない、大切な空間だ。
「友達が来た時は、ずーっとキッチンに立っていろいろやってます。極力、外へ出るより家に居たいので家飲みがちょうど良いんです。」
この部屋へ来てからというもの、仕事以外で外へ出る機会がめっきり減った。どこかへ出かけていても、3時間ほどで帰りたくなる。部屋では、仕事などは一切せず、テレビをつけずただひたすら本を読んだり食事を楽しんだりと、自分だけの静かな時間を楽しむ。シンプルだけど最高の時間をH.Tさんはこの部屋で実現し、満喫している。
実はH.Tさんの知り合いには以前からREISMのリノベーション物件に住んでいる人が数人ほど居て、実体験や評判は聞いていたがその仲間に自分がなるとは思っていなかったようだ。
「インテリアコーディネーターの資格を取っていなければ、こんなお洒落な部屋に住むこともなかったと思う。つくづく出会いですね。」
納得のいくモノだけを厳選して置き、要らないモノはどんどん捨てていく。現在は完璧な状態にカスタマイズしており、あとちょっとだけやってみたいのは、壁に照明を当ててもっとアーバンな雰囲気にすること。
照明ひとつでも、H.Tさんはまた楽しく時間をかけてこだわることだろう。住人は、大好きな部屋だからこそ厳選した大切なモノだけを置く。部屋は、そんな人の心に居心地の良さで応える。まるで密な時間を共有しながらゆっくりと調和し一体化していく幸せなパートナーのようなものだ。
Text: Yuzuka Matsumoto Photograph: Yoshinori Tonari
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