「この部屋を見た瞬間、なにをどこに置くべきか?というインテリアのイメージがすぐにふくらみました。」
そう語るK.Hさんは、かつて大学で建築を学んだ後、建築会社でインテリアデザインを担当していた。リノベーションの部屋に住んだ経験もあり、REISMのサイトは以前からずっとチェックしていたという。
「Union」という名のこの部屋は、清潔感のある壁と表情豊かなパーケットフロアが特徴。コンパクトながらも水周りも機能的で、収納力抜群のキッチンなど魅力あふれる仕上がりだ。
プロの目で見ても、躯体をそのまま見せる設計の天井や無垢材の床など、シンプルながらも想像力のふくらむこの部屋。K.Hさんはひとめで気に入った。
「どこまでも自由な空間を、自分の使いやすいように改善して行く行程と作業がたまらなく好きなんです。」
与えられた形では決して満足せず、自分だけの空間に仕立て上げて行く。収納のメインとして設置した棚は、すべて自らの手作り。中に置くものに合わせて設計し、リーズナブルな材料をそろえ、作った。イチから部屋を造り上げるという気持ちとリノベーションの部屋が出会うと、とてつもないパワーを持つケミストリーを生み出す。
この部屋は、その集大成と言える。
「キッチンの位置が自分にとってベストだったので、この部屋に住む大きな決め手となりました。」
日常的によく料理を作るというK.Hさん。2口のコンロも設置され、ワンルームとしては本格的な機能的キッチンは、この部屋の中でこれぞベストポジション!という位置に存在する。
居住スペースもキッチンも、すべての空間を活用し、決して無駄にしない。モノ作りが大好きで、つねに何かを生み出しているK.Hさんは、欲しいものは自分で作ってしまえば良い、というシンプルな考えのもとソファのカバーやキッチンの棚、シンク下の収納引き出しなど、なんでも「自分の好きな、使いやすいカタチ」に作ってしまう。
この部屋には、すみずみまでK.Hさんの熱意のこもった「作品」がちりばめられている。使いやすさが凝縮された機能的な空間は、シンプルでもとても贅沢なものだと教えてくれる。
かつては大手企業に勤め、ホテルや住宅の内装などを手がけていた。今では職場も職種も変わり、この部屋から職場へも、短時間で通える。
でもK.Hさんにとって、この部屋の本当の価値は、「通勤の便利さ」だけでは計り知れないほど大きなものだった。
「この部屋は、自分にとってのオアシスなんです。水槽もあるし(笑)。心癒される空間って、本当にあるんですよね。」
休日には、近所を散策したりバザーで日用品などを見つけたりとあちこち出かけたりもするが、基本はやはり居心地の良いこの部屋で過ごすことが多いという。頻繁に遊びにくる友人たちのために、来客用フトンもたくさん用意した。
平穏な日常を過ごし、仕事の疲れを癒してくれ、安堵できる空間。住む人をまるごと包んでくれるこの部屋は、K.Hさんが自らの手で作り上げた唯一無二のオアシス。
ここで毎日過ごせる幸せをかみしめられるのは、居住空間を大切に思いながら「育てていく」住みこなしの上級者ならではの特権かもしれない。
Text: Yuzuka Matsumoto
Photograph: Yoshinori Tonari
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