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最終回：私の好きなロンドン

宮田華子　
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化＆社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット（マンション）を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。　
ウェブ：http://matka-cr.com/　
インスタグラム：https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

※記事内容は2023年3月9日時点の情報によるものです。

「今日は暖かいな」と思う日もあるものの、またすぐに凍るような寒さに逆戻り。気温の上ではまだまだ冬真っ只中のロンドンです。昨日（3月8日）は朝雪が降りました。

雪化粧されたビッグベンとロンドンアイ（観覧車）。

しかし寒いものの、着実に日は延びています。

12月22日の冬至までは15時半には暗くなっていましたが、本日の日没は17：54とのこと。夕方になると「まだ明るい～」と毎日しつこく思っています。写真は我が家の近くで17時頃撮影。

確実に春に近づいているようです。

あっという間の5年間

2018年5月から始まった当連載ですが、今回が最終回です。

5年弱の間には個人的にも世の中的にもさまざまなことがありました。特に3年にもわたるコロナ禍により、人々の暮らしも、社会も大きく変わったと実感しています。

コロナ禍はすっかり終わったように見えるイギリスですが、ロシアによるウクライナ侵攻が終わらないため、フライト状況の不安定は続いています。私個人の実感として、日本からの出張者はずいぶん増えているな…と感じていますが、観光客はコロナ禍以前とは程遠い感じです。

でも…きっと、その内状況は変わるはずです。以前と同じように日本から飛行機に飛び乗り、イギリスや欧州に旅行できる日がくるはずです。そのときに少しだけでも参考にしていただけたら…と思い、今回は「私の好きなロンドン」を各カテゴリーからご紹介します。

あくまで個人的な「大好き」リストですので、大いに私見が入っています…（笑）

大好きなカフェ

カフェについては何度もこのコラムで取り上げましたが、ちょっと時間があるとすぐにカフェに入りたくなるほどカフェ大好き＆コーヒー大好きの私です。チェーン系からスペシャリティコーヒーを提供するカフェまで、カフェ百花繚乱時代のロンドンですが、2つの視点からおすすめしたいカフェをご紹介します。

■コーヒーも食事もどちらも美味。近隣住民でいつも混雑「Juliet’s Quality Foods」

ロンドン南部、Tooting Broadway駅から徒歩8分の場所にあるカフェ。フィルターコーヒー（スウェーデンのロースター「Koppi」の豆を使用）とエスプレッソベースのコーヒー（ドイツ・ベルリンのロースター「Barn」の豆を使用）は全く違う味わい。コーヒーの奥深さが分かるカフェです。

そしてフード類も充実。ここでしか食べられない創意工夫に富んだとびっきり美味しい軽食が揃っています。土日の朝は、ブランチをもとめて近隣の人たちで溢れています。
Instagram: https://www.instagram.com/julietsqualityfood/

■インテリア&雰囲気押し「V&A Café」

インテリア＆雰囲気を楽しむカフェとしてすぐに思いつくのがV&A（ヴィクトリア＆アルバート博物館）内のカフェ。ウィリアム・モリス、ジョージ・ギャンブル、エドワード・ポインターがデザインした圧巻のインテリアを楽しむことができます（飲食は、カフェサービス業者「Nenugo」のものです。味は悪くないですが「普通」です）。セルフサービススタイルなので、どれだけ長く滞在してもほっておいてくれるのも好きな理由。贅沢な空間でゆっくりくつろげます。
Web: https://www.vam.ac.uk/info/va-cafe/

大好きなミュージアム／ギャラリー

大英博物館やナショナルギャラリー等、世界に名を馳せるミュージアムが多数あるロンドン。常設展はほぼ無料なので、気軽に行ける場所でもあります。大規模ミュージアムはほぼすべてのガイドブックに掲載されているので、下記は少し規模の小さい場所を選びました。

■イギリスの「暮らし」が見えるミュージアム「Museum of Homes」

過去から現在まで、イギリスの「家」と「暮らし」をフィーチャーしている博物館。時代ごとの展示はインテリアや道具類等の詳細も再現されているので、目に留まるポイントが多すぎます。

併設のカフェのインテリアも素敵。小さなミュージアムですが1日中遊べます。
Web: https://www.museumofthehome.org.uk/

■時代をけん引するコンテンポラリーアート・ギャラリー「White Cube Bermondsey」

ロンドン中心部からやや東部にある、大物現代アーティストが数多く所属する有名なギャラリーですが、入場無料です。ギャラリーとしてはとても広く、開放感がある素晴らしいアートスペースです。
Web: https://whitecube.com/

大好きな公園

■ロンドン最大、広大な国立公園「Hampstead Heath」

ロンドン中心部からやや北にある巨大な国立公園です。夏になるとこの公園で野外コンサートが開催され、またいくつもある沼はプール代わりに使われています。公園内にある邸宅「Kenwood House」は美術館になっており、フェルメールの『ギターを弾く女』、レンブラント晩年の作品『自画像』などの名画を所蔵していることで知られています。都市にある公園とは思えない「大自然」を満喫できます。
Web: https://www.hampsteadheath.net/

おすすめのアフタヌーンティ

■エレガントかつモダン「The Langham（ホテル）のPalm Court」

日本から友人やお客様が来たときや、何らかイベントごとがあるとアフタヌーンティに誘われることがあります。

現在日本で「ヌン活」が流行っていますが、イギリス人＆在住者が年中アフタヌーンティをしているわけではありませんので誤解なきよう（笑）。イギリスに住んでいてもアフタヌーンティはそこそこ特別な機会です。

とはいえ20年もロンドンに住んでいるので、いろんなお店のアフタヌーンティを経験しました。現在までのベストは「アフタヌーンティ発祥の地」と言われるLangham Hotelのティールーム「Palm Court」のものです。1人75ポンド（現在のレートで約1万2000円。12.5％のサービス料は別途かかります）もしますが、モダンとクラシックが程よく共存し、おしゃれな演出が楽しめます。
Web: https://palm-court.co.uk/

大好きなレストラン

大好きなレストランが多すぎて迷いに迷いましたが、せっかくロンドンに来るなら、「モダンブリティッシュ」を味わってほしいと思い、「旬のイギリス料理」を味わえる2店を紹介します。

■大胆かつ繊細、モダンブリティッシュ先鋭の味が楽しめるお店：Lyle’s

このお店は誰を連れていってもとても喜ばれます。ランチはアラカルトがありますが、ディナーはテイスティングメニューのみ。素材の味を美味しく食べさせる大胆な料理を美しく繊細な盛り付けで演出。1皿1皿驚かせてくれます。

豆の濃い味を黒パンで引き締めつつ、ふんわりかかったチーズで芳醇さをプラスした一皿。

無機質なインテリアも逆にインスタ映えします。
Web: https://www.lyleslondon.com/

■骨太な味をワインと一緒に「Llewelyn’s」

ロンドン南部、「Herne Hill」という地区にある小さなレストランです。骨太な味の料理には工夫がたくさん仕込まれているので、カジュアルですが「家庭料理」とは異なる「このお店だけの味」。美味しいワインと共に味わえます。

先月このお店に行ったときに食べた前菜の牛のタルタル。パン・ド・カンパーニュ（←超絶美味♡）の上に乗せて食べましたが、エンドレスで食べられる美味しさでした。

地下鉄最寄りではないので観光客にはちょっと行きづらい場所ですが、行って後悔しないお店です。
Web: https://llewelyns-restaurant.co.uk/

大好きなパブ

パブも…「大好き」がありすぎます。パブは「第二の我が家」のようなもの。お酒が飲めても飲めなくても、ちょっと立ち寄り、1杯で何時間でもいられ、思い思いの方法で時間を過ごせる素晴らしい場所です。私は1度に「ビールなら1/2杯」または「ワインならグラス1杯がやっと」程度しか飲めないアルコールに弱い体質なのですが、そんな私でさえ「パブがなくなったら、イギリス生活の楽しさが半減してしまう…」と思うぐらい、大切な場所になっています。

パブだけで本が1冊かけるぐらいリストアップできますが（笑）、涙を飲んで下記2店を選びました。

■秘密の隠れ家的場所「Holy Tavern」

18世紀の建築物の中にある、当時の雰囲気をそのままにした有名なパブ。店内は本当に狭いのですが、とにかく雰囲気が素敵です。イギリスの古い建物を堪能しながら、ゆっくりしたひと時を過ごせます。

4つの小さなスペースに分けられた店内。冬は暖炉の火で店内はポカポカ。美味しいビールに加え、気の利いたおつまみも味わえます。
Web: https://theholytavern.com/

■食事も美味しいおススメのガストロパブ「The Drapers Arms」

ビールだけでなく食事も美味しいパブのことを「ガストロパブ」と言います。「The Drapers Arms」は「ベスト・ガストロパブ in London」的な記事に必ず取り上げられるパブの1つです。

ランチもディナーも美味しいのですが、1番のおススメは日曜日のオーブン料理メニュー「サンデーロースト」。

お肉とヨークシャープディング、そしてカリッと焼き上げられたポテトに、たっぷりグレービーソースをかけて食べてください！
Web: https://www.thedrapersarms.com/

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約5年に渡り、楽しく書かせていただきました。Reismさんの歴代担当者さん、そして読んで下さった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

ロンドンの暮らしは大変なこと＆ままならないことがたくさんあります。でもそれでも住み続けているのは、苦労以上に魅力的な街だからです。

コロナが完全に終息し、そして平和が訪れたとき、ぜひロンドンに遊びに来てください！　上記の場所に丸眼鏡の小柄な日本人がいたら、それはきっと私です（笑）。

ご愛読ありがとうございました。
感謝を込めて
宮田華子