2023年、イギリスのインテリアトレンドとは?

宮田華子 
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。 
ウェブ:http://matka-cr.com/ 
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/

※記事内容は2023年1月10日時点の情報によるものです。

遅いご挨拶ですが、みなさま、あけましておめでとうございます。
本年がみなさまにとって良い年になりますように。

わたしの新年は、今年も「イギリスで手に入るもの」で作る、「おせち“風”」の食事で始めました。

「三つ葉たっぷりお雑煮」が好みですが、イギリスに三つ葉はないのでパクチーで代用しています。

黒豆と昆布巻き等実家から送ってもらった「日本純正」のモノも入っていますが、あとは何となく重箱に入りやすいものや「おせち“風”」と思えるものを作っています。いくらはイギリスでも販売しています。

イギリス的にはお正月はあまり重要ではなく、クリスマスが終わると実家から戻って数日通常通り働き、30日午後からまた休んで大晦日の「友人たちとのパーティに備える」というのが年末年始の過ごし方です。

私も大晦日は夜友人宅に行き、ビッグベンの周りであがる花火をテレビで鑑賞しました。

昨年は王位交代があったので、エリザベス女王とチャールズ三世をフィーチャーした部分もありました。こちらは硬貨のデザインにもなるチャールズ三世の横顔。(@BBC - Youtubeのキャプチャ画面)

元旦はイギリスも祝日ですが、例年は1月2日から「普通の日」。今年は元旦が日曜日だったため、2日が振り替え休日となり、3日から学校も会社も始まりました。

イギリスのインテリア「今年のトレンド」とは?

今回はイギリスの2023年インテリアトレンドについてまとめたいと思います。

毎年この時期「今年は何が流行る?」的記事がメディアに溢れます。インテリア関係もそうした情報がたくさん出ていますが、昨年からの流れも踏まえた上で2023年のトレンドを予想してみたいと思います。

①ゴールド系のインテリアパーツ

昨年、特にキッチン関係にゴールドやブラス(真鍮)に火が付きはじめましたが、このトレンドは今年一気に伸びそうな気配です。

白いタイルにゴールドの差し色。 @victorianplumbinguk - instagramのキャプチャ画面

シンクの蛇口や戸棚のハンドル(取っ手)等のパーツ類に使われる色は、シルバー(クロム合金)がもっとも一般的なのは現在も同じです。しかしトレンド的にはゴールドや渋みのあるブラスがどんどん伸びています。

棚受け金具もゴールド系が人気です。

使い方を間違うとキラキラしすぎてチープに見えるゴールド系ですが、同じゴールドでもスモーキーな色合いだったり、またはゴールドが薄めに発色しているアイテムであれば、洗練度がアップするのが特徴です。

②無垢材の家具&インテリア

インダストリアルなデザインのインテリアが長く人気でしたが、現在じわじわとナチュラルテイストに寄ってきています。シンプルな質感の無垢材(もしくは無垢材に見えるラミネートや合板)を使った壁や床、家具の人気が今年さらに高まりそうです。

@designmilk - instagramのキャプチャ画面

ウッドパネルは70~80年代にも流行ったそうですが、当時はこちら↓のようなカントリースタイルの温かみのある形状が人気でした。

「ぽってり感」を感じる、厚みのあるウッドパネルのキッチンやクローゼットが主流でした。

現在人気なのは、表面の艶出しが抑えめ、パネルの装飾も最小限にとどめたデザインものです。

@themodernhouse - instagramのキャプチャ画面

こちらはイギリスでもっとも注目されているインテリアデザイナー&メーカーのセバスチャン・コックスとキッチンウェアブランド「deVOL Kitchens」が開発したキッチンコレクション。@devolkitchens - instagramのキャプチャ画面

こちらはイギリスでもっとも注目されているインテリアデザイナー&メーカーのセバスチャン・コックスとキッチンウェアブランド「deVOL Kitchens」が開発したキッチンコレクション。

オンラインで簡単にカスタムメイドの収納家具をオーダーできる「Tylko」。棚の数や幅を自在に調節できます。 @tylko - instagramのキャプチャ画面

③ダークカラーの壁&棚も引き続き人気

②とやや矛盾するようですが、数年前からダークカラーの壁や家具(特にキッチン家具)も人気となっており、このブームも当面続く模様です。

@thebiid - instagramのキャプチャ画面

グレーやダークグリーン等のマットペイントで壁や棚をカラーリングし、落ち着いた雰囲気を醸し出す手法です。

@neptunehomeofficial - instagramのキャプチャ画面

過度な装飾をほどこさずに「シンプリシティ」と色合いで魅せるという点では、②と共通する部分があるようです。

@thebiid - instagramのキャプチャ画面

④アンティーク風の蛇口

キッチンの場合、スワンネック型の混合栓(1柱)が定番なのは日本もイギリスも同じです。

長年の定番「スワンネック」型の蛇口。

しかし今年はこちら↓のような、レトロスタイルの蛇口に付け替える人が増えると予想されます。

@devolkitchens - instagramのキャプチャ画面

お湯と水のハンドルが別についており、お湯と水、それぞれのパイプがワークトップの上から見える構造です。最近、インテリア雑誌がこぞってこのタイプを紹介しています。

この手の蛇口を付ける人はトレンドに敏感な人なので、特にキッチンの蛇口の場合、ゴールド系を選ぶ人が多いようです。

@neptunehomeofficial - instagramのキャプチャ画面

@devolkitchens - instagramのキャプチャ画面

私もこのタイプに乗り換えたい…とかねてから思っているのですが、我が家の蛇口は1柱式(混合栓)なのです。ワークトップのパイプ穴が増えてしまうとワークトップも取り替えなくてはならないため、先送りしています(涙)。

バスルームの蛇口も基本はハンドルが1つの混合栓が定番ですが、

@victorianplumbinguk - instagramのキャプチャ画面

こちらは黒の混合栓。黒のパーツも数年前から大人気ですが、ひきつづき人気が継続しそうです。

最近こちら↓のようなハンドルが2つある混合栓の人気も高まっています。

@big_bathroom_shop - instagramのキャプチャ画面

こちらはお風呂のハンドル2つ版の混合栓。 @big_bathroom_shop - instagramのキャプチャ画面

加え、さらにレトロなお湯と水が混合しないタイプの蛇口(単水栓x2柱)も売れているのですが…

イギリスでは家の構造およびボイラーのシステム上の理由から、数十年前まではお湯と水、それぞれ別の単水栓がシンクに設置されていました。その後利便性から混合水栓が定着しました。 @big_bathroom_shop - instagramのキャプチャ画面

@devolkitchens - instagramのキャプチャ画面

この手のシンク人気がいつまで続くかは個人的には疑問です。

確かにアンティーク感はしっかり漂う2柱式ですが、以前、何十年もリノベしていない賃貸住宅に住んでいたとき、キッチンもバスルームも単水栓x2柱で大変苦労した経験があります。水は良いとしても、お湯は熱湯が出てくるので顔を洗うにもお皿を洗うにも、水と混ぜて適温にできないのはかなり不便だからです。

見た目か?利便性か?を選ぶのは難しいですが、今後の動向が興味深いです。

⑤大理石模様

コロナ禍でキッチンやバスルームの改装に精を出した人は多く、水回りのトレンドはこの2年動きが早い分野だったと感じています。

昨年に続き、白を基調にした大理石模様のワークトップやバスルームのタイルがさらに注目されそうです。

@devolkitchens - instagramのキャプチャ画面

@neptunehomeofficial - instagramのキャプチャ画面

@big_bathroom_shop - instagramのキャプチャ画面

大きめのタイルはここ数年のトレンドでもあります。

大理石模様のワークトップは、本物の大理石でできているものとラミネート(印刷)のものとがあります。ラミネートは安価で手に入り、重さも軽量なため多くの人がラミネート版を使用しています。

大理石の家具はここ数年あまりみかけなかったのですが、じわじわと復活している様子です。 @thebiid - instagramのキャプチャ画面

ちょっとおまけですが… こちらはUK在住の陶芸家Reiko Kanekoさんの作品です。

@reikokanekoceramics - instagramのキャプチャ画面

大理石模様とも通じる、白地に淡い筆模様が素敵です。今年のトレンドにぴったりのアイテムかな?と思いご紹介しました。

@reikokanekoceramics - instagramのキャプチャ画面

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新年にたてる「今年の目標」のことを、英語では「New Year’s Resolutions」と言います。1月に誰かと会うと、その話になります。

私もいくつか今年の目標をたてましたが、その1つが8月から住んでいる我が家の手入れを頑張り、より快適な家にすることです。

「木の剪定は冬の内がベスト」とのことで、先日友人たちに手伝ってもらい月桂樹を短く切りました。

ガーデニングもDIYもまだ誰かの手を借りないと出来ない初心者です。少しずつ学び、ツール類を増やし、1年生から2年生ぐらいに昇級するのが目標です。しかし現在の家は築120年。直す所が無限にあるだけでなく、せっかく直してもまた壊れるのでエンドレスゲームです。

焦らず気長に…も目標の1つに入れ、今年も仲良く家と付き合っていきたいと思います。

まだまだ寒いですが、どうか皆様ご自愛ください。