2022年4月に、年金手帳の新規発行が停止となった。日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、全員が国民年金に加入する必要があり、年金加入者は全員「年金手帳」を持っている。しかし、2022年4月以降に年金に加入する人や、現在保有している年金手帳を紛失した人は、年金手帳を受け取ることができない。今後、年金に関する各種手続きがどのように変わるのか、まとめて紹介しよう。
年金手帳は、2022年4月にその役割を終え、発行が停止された。
そもそも、年金手帳が手帳形式になっているのは、「国民年金の記録」や「厚生年金の記録」を記入して履歴を確認したり、基礎年金番号を確認したりといった年金関連の情報をひとつにまとめるためだ。かつては、年金の申請や各種届出をする際には、必ず年金手帳が必要だった。
しかし、現在では、マイナンバーを利用して年金関係の届出や申請ができる。年金手帳を発行する必要性がなくなったため、新規の発行が停止されることになったのだ。ただし、マイナンバーがあれば基礎年金番号が不要になるというわけではないため、注意しよう。
年金手帳の発行は停止されるが、年金手帳に記載される基礎年金番号がなくなるわけではない。今後は、年金手帳に代わって、カード形式の「基礎年金番号通知書」が発行される。
基礎年金番号は、国民年金保険料の口座振替といった、一部の年金関連手続きをする際に必要になる。マイナンバーですべての手続きができるわけではないため、発行された通知書は大切に保管しよう。
現在、年金手帳を保有している人は、そのまま手帳を基礎年金番号の確認書類として利用できる。すでに年金手帳を持っている人には、新たに基礎年金番号通知書が発行されないため、手元の年金手帳を大切に保管しておこう。
現在、年金手帳を保有している、あるいは保有しているはずの人が、手帳を紛失してしまった場合は、再交付手続きを行うことになる。ただし、2022年4月以降、年金手帳の再発行は行われない。年金手帳をなくした場合は、手帳の代わりに基礎年金番号通知書が交付される。
現在、会社勤めをしている人は、勤務先を通して事業所を管轄する年金事務所で再交付手続きを行おう。国民年金に加入している場合は、住んでいる地域の市区町村役場の担当窓口で手続きができる。
これまでは、年金に関する手続きに基礎年金番号が必須だった。そのため、各種手続きを行う際に、基礎年金番号を確認できる年金手帳の提出が求められたのだ。
しかし、今後は基礎年金番号がなくても、マイナンバーでできる手続きが多くなる。基礎年金番号がいらない手続きと、必要な手続きについて知っておこう。
マイナンバー制度ができたことで、基礎年金番号がなくても年金関連の手続きを行えるようになった。下記については、基礎年金番号がなくても問題なく届出や請求が可能だ。
・就職・転職して社会保険に加入するとき
国民年金に加入している人が就職や転職をした場合、厚生年金への切り替え手続きをしなければならない。この手続きに基礎年金番号が必要だったため、これまでは年金手帳を企業担当者に提出して預かってもらうケースが多くあった。しかし、現在は基礎年金番号ではなく、マイナンバーでの切り替え手続きが可能になっているため、年金手帳や基礎年金番号通知書を勤務先に提出する必要はない。
・住所変更手続
国民年金や厚生年金に加入している人が引越しをした場合、住所変更手続きが必要になる。ただし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていれば、住所変更の手続きは不要だ。
なお、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいているかどうかは、「ねんきんネット」や最寄りの年金事務所で確認できる。
・ねんきんネットに登録するとき
ねんきんネットとは、インターネット上で個人の年金の加入記録や将来受け取れる年金の見込み額などを確認できるサービスだ。利用するためには登録手続きが必要だが、マイナンバーカードがあれば基礎年金番号を入力しなくても登録できる。
なお、従来どおり、基礎年金番号を利用して登録することも可能だ。
・年金を請求するとき
年金を請求する際は「年金請求書」を提出するが、この書類にはマイナンバーか基礎年金番号どちらか一方を記入すれば良い。そのため、マイナンバーがわかれば、基礎年金番号がわからなくても請求手続きができる。
年金関連の手続きの中には、基礎年金番号がわからないとできないものもある。今後、マイナンバーでできる手続きが増える可能性もあるが、2022年5月時点では、下記の手続きについては基礎年金番号が必要だ。
・会社を退職して国民年金に加入するとき
会社を退職した際は、厚生年金から国民年金への変更手続きを行う必要がある。基礎年金番号がわかる書類を、住んでいる自治体の市区町村役場に持っていこう。
・国民年金保険料の口座振替手続き
国民年金保険料は、口座振替で納めることもできる。ただし、振替のための手続きには基礎年金番号が必要だ。なお、国民年金保険料はクレジットカードでも納付が可能だが、この場合はマイナンバーと基礎年金番号、どちらでも手続きができる。
・マイナンバーがわからないときの各種手続き
マイナンバーでできる手続きについても、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合や、マイナンバーがわからない場合には基礎年金番号が必要だ。
2022年5月現在では、すべての年金関連手続きをマイナンバーだけで行うことはできない。しかし、基礎年金基礎番号とマイナンバーを紐づけることで、各種手続きが簡単に行える体制が整いつつあるといえるだろう。
さらに、マイナンバーカードを発行すれば、確定申告時の身分証や健康保険証代わりとして利用することも可能だ。マイナンバー制度やマイナンバーカードには賛否両論があるが、今後も活用シーンは広がっていくと考えられる。マイナンバーカードの発行申請から受け取りまでには一定の時間がかかるため、今後利用を検討している人は、早めに申請をしておくことをおすすめする。
※記事の内容は2022年4月時点の情報によるものです。
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