預金には、さまざまな種類があることをご存じだろうか。普通預金と定期預金、外貨預金などは、よく耳にする預金の種類だ。しかし、実際にはこれ以外にも、多くの預金商品が用意されており、用途に応じた使い方ができるようになっている。
預金の中には、通常よりも高い金利で運用できるものや、税制優遇のあるものも存在している。ここでは、預金の種類とそれぞれの特徴を解説する。
預金の種類は、大きく次の9種類に大別することができる。
普通預金は、自由に入出金ができる預金を指す。普通預金口座は、通常の社会人生活を送っている人であれば、誰もが1つは持っている預金口座だろう。銀行に口座を開設した場合、最初に作ることになるのが普通預金口座だ。給与振込の指定や引き落とし口座の指定に利用されることも多く、普段使いに適した口座といえる。
無利息型普通預金とは、決済口座とも呼ばれる利息がつかない預金だ。それ以外の条件は、普通預金とさほど変わらず、引き落とし口座として指定することもできる。なお、無利息型普通預金口座に預けている資金は、全額が預金保護の対象となる。通常は1金融機関ごとに1,000万円までが対象であるため、多額の資金を保有している人にとっては、安心できるというメリットがある。
1年や3年など、最初に期間を指定してまとまった資金を預け入れるのが、定期預金だ。車の買い替えや進学など、決まったタイミングでまとまった費用が必要になるというときに、資金を定期預金にしておくと、うっかり使ってしまう心配がなくなる。
定期預金の中には、毎月積み立てた預金額が一定額を超えた場合に定期預金に振り替える「積立定期預金」や、一定額以上を預けることを条件に金利優遇を行う「大口定期預金」といった商品も存在している。さまざまなバリエーションの中から、自分の希望に合った貯め方ができる商品を選ぼう。
貯蓄預金は、預入額が一定の金額を超えたときに金利の優遇が受けられる預金商品だ。規定の金額以下の場合、通常は普通預金と同水準の金利になることが多い。金利の優遇が受けられなかったとしても、元本割れするリスクはなく、入出金も自由に行うことができる。ただし、給与の受取りや公共料金の自動引き落としに利用することはできない。
仕組預金とは、金融機関の定めに従って運用される預金のことだ。例えば、「預入期間は5年間、その後、毎年1年、最長10年間預入期間が延長される可能性がある」という特約がついていた場合、金融機関の判断で満期日が決まることになる。また、外貨建ての場合は、為替レートによって、満期時の受取り通貨が指定されるタイプの仕組預金もある。
仕組預金は、普通預金よりも高い金利が得られることの多い預金だが、さまざまな制限を受けるというデメリットがある。どのような条件があるのかを十分に理解した上で利用したい。
通知預金は、引き出しを行う際に事前の通知が必要な預金だ。通常、預け入れてから7日間は据え置き期間となり、その後は少なくとも2日前に事前通知の上、一括で引き出すことができる。
まとまった資金を短期間運用するのに適した預金で、「不動産の購入や結婚資金として貯めたお金を必要なときまで預けておきたい」という場合などに利用される。
納税準備預金は、所得税や住民税のような税金を納付するための資金を預けるために利用される。税金納付のために引き出された場合、利息にかかる税金が免除されるという優遇制度がある。それ以外の目的で引き出すこともできるが、その場合は、通常どおり利息には税金が課税される。
当座預金は、おもに法人が小切手や手形を振り出すために利用する預金で、利息がつかない。ただし、全額が預金保護の対象となる。
外貨預金は、日本の通貨「円」ではなく、諸外国の通貨で預金を行う。円預金よりも金利がいいという特徴があるが、預金保護の対象にはならず、為替レートによっては元本割れが起こる可能性もある。
このように、預金商品にはさまざまな種類がある。上記のほかに、住宅ローンと連動させた預金や、目的を限定して貯められる目的別預金などを「預金の種類」に加えることもできるだろう。金融機関によって提供されている預金の種類が異なるため、自分の利用している金融機関の預金商品を一度確かめてみることをおすすめする。
数多くある預金の種類の中で、個人が利用するケースが特に多いのは、普通預金と定期預金だろう。これらをまとめて管理できる口座に、「総合口座」がある。
総合口座では、普通預金と定期預金といった預金口座と、公共債(国債など)の買い入れをまとめて管理できる。さらに、普通預金や定期預金に預け入れた資金を担保に、自動融資を利用することもできる。「引き落としのタイミングで普通預金のお金が足りなくなってしまった」というときも、定期預金に残高があれば自動融資されるので滞納の心配がない。
預金の種類にはかなりの数がある。そのため、それぞれの預金について特徴を一覧にまとめた。
利息の有無 | 預金保護 | 引出 | 普通預金と比較した場合の利息(×は無利息) | |
---|---|---|---|---|
普通預金 | 有 | 対象 | いつでも | ― |
無利息型普通預金 | 無 | 対象(全額) | いつでも | × |
定期預金 | 有 | 対象 | 事前に定めた期間経過後 | ◯ |
貯蓄預金 | 有 | 対象 | いつでも | ◯ |
仕組預金 | 有 | 商品によって異なる | 事前に定めた期間経過後 (一定期間の中で延長される可能性がある) |
◯ |
通知預金 | 有 | 対象 | 事前通知が必要 | ◯ |
納税準備預金 | 有 | 対象 | 原則として納税に必要なときのみ | ◯ +税金優遇あり |
当座預金 | 無 | 対象(全額) | いつでも | × |
外貨預金 | 有 | 対象外 | 商品によって異なる | ◎(ただし為替レートの影響を受ける) |
利息の有無や金利、引き出しの自由度などを考え合わせて、希望に合った預金の種類を選ぼう。
とはいえ、低金利時代の昨今、多少の金利優遇があったとしても、円預金で多くのリターンを見込むのは難しいだろう。また、納税準備預金などの特殊な預金は、取り扱っている金融機関が限られている。預金商品の種類を知った上で、今の自分にとって何が最適なのかを検討することが大切だ。
金利についても、「普通預金よりも優遇される」ことが事実であっても、金融機関ごとに普通預金の金利は大きく異なる。A銀行の定期預金金利よりも、B銀行の普通預金金利のほうが高いこともありうるのが、今の銀行の現状だ。
知識のベースとして預金の種類や特徴を知っておくことは大切だが、それだけに振り回されることなく、多くの情報を集めて賢く預金を利用していこう。
低金利時代の中、特定の種類の預金を利用するためだけに、銀行口座を新たに開設するというのは、あまりメリットの大きいことではない。
預金の種類を知った上で、現在利用している金融機関の取扱商品を確認してみよう。自分の現状に合わせた預金を使い分けることで、資産運用や資産管理がより行いやすくなるはずだ。
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