クレジットカードや電子マネーなど、現金を使わない決済方法が利用できるシーンが増えてきている。このような「キャッシュレス」決済を利用することには、どのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。
キャッシュレス決済の現況と併せて紹介する。
2016年現在で、キャッシュレスの決済比率は、韓国96.4%、イギリス68.6%、中国65.8%、カナダ56.3%、アメリカ46.0%であるのに対し、日本では19.9%と低い割合となっている(一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2019」)。
そこで政府は、「未来投資戦略2017」で、キャッシュレス決済を2027年6月までに4割程度まで上昇させることを目指すとしている。消費税増税のタイミングに合わせて、キャッシュレス決済のポイント還元を予定するなど、キャッシュレス化を推進する政策が積極的にとられているといえるだろう。
それでは、キャッシュレス決済を行うことで、どのようなメリットを得ることができるのだろうか。代表的な6つのメリットを紹介する。
財布から現金を取り出し、店員に渡し、おつりをもらうというステップを経ることなく、タッチしたりカードを渡したりするだけで、簡単に支払いを済ませることが可能になる。ただし、実際のステップは、利用する店舗のシステムやキャッシュレス決済の種類によって異なる。
例えば、30万円の家具を買おうと思っているとき、その分の現金を持ち歩くというのは不用心だろう。キャッシュレス決済であれば、利用限度額やチャージ金額といった枠の中で自由に買い物を楽しむことができる。財布の中に今いくら入っていただろうかと、残金を心配する必要も無用だ。
キャッシュレス決済では、「どこの店で買い物をしてもポイントが貯まる」ということが多くなっている。のだ。
キャッシュレス決済を意識的に利用すれば、家計簿をつけなくても、何にいくら使ったのかを把握したり、毎月の家計予算管理をしたりすることが容易になる。
例えば、プリペイドカードに毎週10,000円チャージして1週間を過ごすようにすれば、自然と残金を意識した支出ができるようになるだろう。また、利用履歴を見れば、いつ何に支出したのかが一目瞭然だ。
ネットショッピングをするとき、キャッシュレス決済用のクレジットカードやプリペイドカードがないと、銀行に振込をしたり代引きを依頼したりしなければならず、その分の手数料がかかる。キャッシュレス決済を使うことで、手数料を節約し、家にいながらにしてその場で決済を完了できる。
キャッシュレス決済をメインに利用していれば、給料日に毎月の生活費として、銀行などに現金を引出しに行く必要がなくなる。給与口座を利用料金の引落口座に設定しておくだけで、毎月の生活費が賄える。
キャッシュレス決済には、デメリットも存在している。利用する際は、メリットだけでなくデメリットとその対処法についても考えておきたい。
SuicaやICOCAといったICカード乗車券に代表される交通系の非接触型ICカードは、盗難された場合、チャージしてある金額を使用されるおそれがある。また、クレジットカードも盗難やスキミング、番号情報の流出といった被害に遭うおそれがあるだろう。
ただし、クレジットカードは不正使用に対する補償制度が整っているため、発覚次第、カード会社に連絡をすることで、被害額を補填してもらうことが可能だ。クレジットカード以外の一部の電子マネーでも、同様のサービスを利用できるものがあるため、チェックしておこう。
キャッシュレス決済は、意識的に利用すれば節約や家計管理に役立てることができるが、意識せずになんとなく使っていると、使いすぎてしまうことがある。
特に、後払いのクレジットカードの使用や、電子マネーで自動チャージを設定している場合、思ったよりも使いすぎていることに気付いて青ざめるということも。計画的に利用する自信がない人は、その都度チャージを行うなどの工夫が必要だろう。
キャッシュレス決済の普及率が低い日本では、クレジットカードやICカードを利用して支払いを行おうとしても、そもそも店舗が対応していない場合がある。
キャッシュレス決済にはいくつもの種類があるため、自分が保有しているキャッシュレス決済用のシステムと店舗が対応しているシステムが合致しないということもあるだろう。いくつかの決済方法を持っておくとともに、ある程度の現金は持ち歩いていたほうが安心だ。
キャッシュレス決済は、通信網や電気系統に問題が起こると使えなくなってしまう。もちろん、店舗のキャッシュレス決済用の機器が故障した場合も使えない。
一方、現金であれば、たとえ店舗のレジが故障していたとしても受け付けてもらえるだろう。そのため、日頃の買い物はキャッシュレスで行っていたとしても、災害時やマシントラブルが起こった際は、現金を利用しなければならない。
現金であれば、お互いの財布からお金を出し合って割り勘をするのも簡単だが、キャッシュレス決済の場合そうはいかない。それぞれ個別に会計をしてもらうか、一人が代表して支払い、それ以外の人は現金で支払うという形になりがちだろう。
もっとも、一部のQRコード決済システムなどには、割り勘が簡単にできるシステムが搭載されている。その場にいる全員がこのシステムを利用しているのであれば、むしろ現金よりも簡単に割り勘が可能だ。
キャッシュレス決済には、メリットもデメリットもある。どのように利用するのか、また、どの種類のキャッシュレス決済を使うのかということと併せて、現金とうまく使い分けていくことが大切だ。そうすれば、節約や家計管理に結び付けることもできるだろう。
キャッシュレスは、日々進歩し続けている新しい決済方法であるため、常にアンテナを張って情報収集するとともに、政策にも注目していきたい。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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