自分の財布の中に入っているクレジットカードの枚数が何枚か、すぐに答えられるだろうか。1枚しか持たないという人もいれば、10枚以上を保有して使い分けている人もいる。クレジットカードを複数持つことには、どのような意味があるのだろうか。
ここでは、クレジットカードを複数持つことのメリット・デメリットと、注意点についてまとめた。
日本の大手クレジットカード会社、株式会社ジェーシービーの「【クレジットカードに関する総合調査】2018年度版 調査結果レポート」によると、クレジットカードの保有率は84%に上る。
クレジットカードを持っている人の平均保有枚数は3.2枚、普段持ち歩く平均枚数(平均携帯枚数)は2.1枚となっている。
また、クレジットカードを1枚だけ持っていると答えた人は23.7%だった。つまり、クレジットカードを保有している人の8割近くが、複数保有していることになる。
ただし、平均保有枚数と平均携帯枚数のあいだには、1枚以上の差がある。クレジットカードを複数利用している人も、すべてを持ち歩くのではなく、使い方や利用頻度に応じた使い分けをしているといえるだろう。
まずは、クレジットカードを複数持つことで得られるメリットを見てみよう。
クレジットカードには、それぞれ異なる特徴がある。国際ブランドの違いや、クレジットカードを利用することで特典が受けられる特約店・優待店の違いなどだ。異なる特徴のクレジットカードを複数持っておけば、それぞれの特徴の「いいとこどり」ができるだろう。
複数のクレジットカードで、JCBやVisa、Mastercardといった異なる国際ブランドを選んでおけば、利用できる店の幅が広がる。
また、クレジットカードのポイント還元率は通常0.5~1%程度だが、それとは別に、ポイントが上乗せされる提携ショップや提携サイトが用意されている場合が多い。すべての買い物で同じクレジットカードを使うのではなく、ポイント還元率に応じてクレジットカードを使い分ければ、より高い還元率を得られる。
クレジットカードには、海外旅行保険が付帯されているケースが多い。クレジットカードを複数保有していて、それぞれに海外旅行保険が付帯されている場合は、「死亡」と「後遺障害」の保険金額は、最も高い金額、それ以外の「疾病治療」や「傷害治療」「救援者費用」などは、各保険の合算額を上限として補償される。
海外旅行保険の付帯条件には、「利用付帯」と「自動付帯」の2種類がある。
利用付帯の場合、旅行に関する費用をクレジットカードで支払うことで保険が適用される。一方の自動付帯は、クレジットカードを持っていれば自動的に保険が適用される。
例えば、海外旅行保険が利用付帯されるクレジットカードAの疾病治療の限度額が200万円、海外旅行保険が自動付帯されるクレジットカードBの疾病治療の限度額が100万円だったとしよう。
この場合、クレジットカードAを使って旅費を支払うことで、AとB両方のクレジットカードの海外旅行保険を利用できるようになる。万が一、海外で病気になってしまったとしても、それぞれのカードの限度額の合計である300万円分が補償されるため、治療費の心配を軽減させることができるだろう。
海外旅行保険は、お金を支払って加入することもできるが、クレジットカード付帯の保険であれば無料で利用できる。その分、補償額が低いという難点があるが、それも、クレジットカードを複数持って保険を重ね掛けしておくことで、ある程度カバーすることができるのだ。
クレジットカードを頻繁に利用していると、限度額を超えてしまって使えなくなることがある。このようなときも、複数のクレジットカードを保有していれば、限度額を超えていない別のクレジットカードを使って決済することが可能になる。紛失や盗難など、万が一のときも、複数のクレジットカードがあれば、当面の支払いに困ることはないだろう。
クレジットカードの明細書は、簡易家計簿として利用することもできる。そのため、クレジットカードごとに使用用途を分ければ、家計管理に活用することもできるだろう。
カードAは個人的な支出用、カードBは生活費用、カードCは会社の立替金といった具合に使い分ければ、1ヵ月の請求額を見ただけで何にいくら使っているのかが一目瞭然だ。引き落とし口座も別々にしておけば、立替金と生活費が混ざってしまうおそれもなくなる。
クレジットカードを複数持つことには、メリットだけでなくデメリットもある。どのような点が問題になりうるのか知っておこう。
クレジットカードを複数持つということは、それだけクレジットカードの管理も必要になるということになる。引き落とし口座が複数あるのであれば、それぞれの口座に必要な金額を入金しなければならない。
さらに、引越しをした場合、すべてのクレジットカードの住所変更手続きをする必要がある。保有枚数が増えれば増えるほど、こうした管理の煩雑さも増していく。
クレジットカードには、ショッピング枠とキャッシング枠がある。このうち、キャッシング枠の利用に関しては注意が必要だ。
複数のクレジットカードでキャッシング枠を利用していると、実際にキャッシングをしていなかったとしても、「キャッシングをできる状態にある」ということで、ローン審査に影響が出る可能性があるといわれている。マイカーローンや住宅ローンを利用しようとしたときに、審査に通過できないリスクを高めてしまうのだ。利用する予定のないクレジットカードのキャッシング枠は、「0」に設定しておくことをおすすめする。
年会費無料のカードだけであれば何枚持っていてもコストがかかることはないが、年会費がかかるクレジットカードの場合は、保有しているだけで固定費がかさむ。年会費がかかるクレジットカードを申し込む際は、年会費をペイできるだけの魅力があるのかを検討したい。
クレジットカードは、複数持っていても、そのままで得ができるというたぐいのものではない。メインカードとサブカード、インターネット通販用と日常使い用、電子マネーチャージ用など、それぞれの特徴に合った使い方を意識することが大切だ。
また、紛失リスクを軽減させるためには、ひとつの財布にすべてのクレジットカードを入れるのではなく、分散して保管するようにしたい。
なお、一度に複数のクレジットカードを申し込むと、審査に影響が出る可能性がある。複数のクレジットカードを持つ場合も、すべてを一度に申し込むのではなく、時期をずらして審査を受けよう。
クレジットカードを何枚も持つことに対して、漠然とした不安を抱いている人もいるかもしれない。だが、複数のカードを持つことが直ちにリスクにつながるわけではない。それどころか、家計管理や節約に役立つ面もある。
複数のクレジットカードをうまく管理し、使い分けていくことができれば、クレジットカードのメリットをより大きく利用することができるだろう。自分の管理能力とライフスタイルに合ったクレジットカードの枚数について、改めて検討してみよう。
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