宮原亜矢
ロサンゼルス在住ライター。ラジオ、雑誌、テレビ、ウェブなど様々な媒体で洋楽(主にロック)を紹介。2000年代前半から毎年1−2回は欧米のフェスやコンサートに足を運び、フォトグラファーを兼任することも。2011年から拠点をロサンゼルスに移すと、米中西部出身のアメリカ人と砂漠で出逢って国際結婚、コンテンポラリーアートを紹介する業務にも着手するなど良い意味で想定外の人生を歩むことに。様々な面で文化の壁、言葉の壁にぶつかりながらもLife Is Beautifulを実感している。
インスタグラム:https://www.instagram.com/ayarchyintheus/
ツイッター:@ayamiyahara
現地時間3月27日に開催された第94回アカデミー賞はウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックに平手打ちをするというパプニングによって違う意味で大きな注目を集めてしまいましたね…。結果ウィル・スミスは今後10年間授賞式の出禁を言い渡されるという結果になってしまいました。ウィル・スミスを擁護する声が見られる日本と違い、アメリカは概ねスミス氏の行った平手打ちという暴力行為が94回を数えるアカデミー賞の歴史初のことであり、年齢限らず視聴するテレビでその瞬間が放送されたことによるショックを覚えた人が少なくなく、今回のスミス氏へのアカデミー側の判断に異論を唱える声はあまり見られません。その後行われたグラミー賞でも本編の前に開催されるプレミア・セレモニーでフルヘルメットを装着して登壇したコメディアンのプレゼンテイターが「コメディアンがステージに上がる時にはヘルメットを着用するように言われたので」とジョークを言う場面もあり、観客から苦笑のような笑い声が響いていました。その方はその後すぐにヘルメットを外して受賞者の名前を発表していましたが…。
ウィル・スミスが騒動に関する謝罪文を自身のインスタグラムに掲載。「せっかくの素晴らしい時間を私のせいで汚してしまったことを深く反省しています」との言葉に様々な想いが去来します…。歴史に残る回となりました
そんな今年のアカデミー賞授賞式でも紹介されていたのが、昨年オープンしたアカデミー・ミュージアム。ロサンゼルスを代表する有名美術館LACMA(Los Angeles County Museum of Art)に隣接するこのミュージアムは早くもハリウッド映画ファンの方々にとってはマスト・ヴィジットな場所になっているんです。
今回はそんなアカデミー・ミュージアムをご紹介しようと思います。
アカデミー・ミュージアムがオープンしたのは2021年9月30日。1939年建立のサバン・ビルを改装して新たに蘇ったこの建物は、建造中も道行く歩行者やドライバーたちの目を奪い、オープンの日を心待ちにしていました。
なんといってもこの球体テラスが素敵なんです。
アカデミー・ミュージアムのインスタグラムから空撮写真を。クラシックな外観を残したまま、後部にある近未来的な球体のテラスのコントラストが素敵。もちろんアメリカでも古い建物を壊して更地にし、骨組みから建て直すこともありますが、こうやって古き良き建物への敬意を示す姿勢は私がアメリカに住んでいて感心する点です。権威ある映画芸術科学アカデミーの象徴的な場所としてもぴったりですね
中に入るにはコロナワクチン接種証明書を見せてリストホルダーを着けてもらった後にこうしてデジタルチケットをスキャンしてもらって中に入ります。入場は予約制。ギフトショップのAcademy Museum Storeとレストランやカフェは予約がなくても入ることが出来ます。入場料は大人25ドル、62歳以上は19ドル、17歳以下は無料。年会費100ドルを払えば入場料は無料になりますし、その他様々なプランが料金プランがあります
映画と芸術、そして科学に特化したミュージアム、ということで展示も単に過去の名画にまつわるものだけでなく、バックスクリーンがどのように撮影されたのか、など映画制作者のみならず映画ファンにとっても驚きと学びの場所となっているのが印象的でした。
展示『バックドロップ:アン・インビジブルアート』は、アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作のひとつ『北北西に進路を取れ』(1959年)の象徴的な背景であるラシュモア山にスポットを当て、その芸術性と論争の的となっているイメージの両方を考察する興味深いもの。同作品のファン、監督のファンのみならず思わず時間を忘れて立ち止尽くしてしまいました
展示『ストーリー・オブ・シネマ』映画制作の芸術と科学を探究するというこの展示。数々の名画が後に与えた世界への影響などを紹介しながら、往年の名画たちの貴重な衣装も楽しめます。画像でご紹介したのは上から『オズの魔法使い』(1939年)、『アス』(2019年)、『ミッドサマー』(2018年)
アカデミー賞授賞式で受賞者が書かれた紙が入った封筒= Winner envelope。『ドラキュラ』(1992年)で衣装デザイン賞(*受賞は1993年)に輝いた石岡瑛子さんのお名前がこんな風に書かれていたんですね!
入場料とは別に15ドル払う必要がありますが、その価値はあると思うのがこちらのThe Oscar®︎ Experience。メールアドレスを登録して、順番が回ってきて名前が呼ばれたらステージに登壇。スタッフからオスカー像を渡された後に受賞のスピーチ体験をしてその模様を録画したものをもらえるというアトラクション。中の撮影が禁止なので入り口だけお見せしますね
撮影禁止といえば宮崎駿監督の展示もそうだったので外壁の写真だけ。このスポットには次から次に撮影したい人が訪れて、かつ私が訪れた時は閉館時間が迫っていたため、こちらの写真を収めるので精一杯。監督のお名前が見切れてごめんなさい!)でも入場を待つ人々が列をなしておりその人気ぶりが伺えました。展示は監督の色使いや風景のスケッチを反映して、柔らかく美しい世界でした
そして最上階。有名歌手バーブラ・ストライサンドの名前がつけられた橋を渡って例の球体デッキへ。快晴の日が多いロサンゼルスだからこその抜けのいい空間。時間が許すまでここでのんびりとハリウッド映画に思いを馳せるのもいいですね
ミュージアムは他にも映画鑑賞用のシアターも備えられていますしギフトショップも賑やか。コロナ・パンデミックの状況が落ち着いたらぜひ足を運んで頂きたいロサンゼルスのおすすめスポットです。
Academy Museum|
https://www.academymuseum.org
6067 Wilshire Boulevard, Los Angeles, CA90036 U.S.A.
営業時間|日曜―木曜:10:00AM – 6:00PM、金曜&土曜|10:00AM – 8:00PM
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