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宮田華子
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。
ウェブ:http://matka-cr.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/
※記事内容は2022年5月30日時点の情報によるものです。
やっと明るい陽射しの日が増えてきた5月末のロンドンから、皆様こんにちは。
こちら↓はロンドンの中心部「オックスフォード・サーカス」の風景です。
現在たくさんのイギリス国旗が飾られていますが、これはエリザベス女王在位70年「プラチナジュビリー」の祝賀イベントが6月第一週の週末(6月2~5日)に行われるからです。
ガーディアン紙の報道によると、4日間で1458の公式イベントが行われるとのこと。
Meet PJ the corgi, our Jubilee emoji!
— The Royal Family (@RoyalFamily) May 26, 2022
PJ will appear whenever you use #PlatinumJubilee #HM70 #PlatinumPartyatthePalace ⁰#PlatinumJubileePageant ⁰or #TheBigJubileeLunch and we’re hoping that as many of you as possible will use PJ to help celebrate the Jubilee here on Twitter. pic.twitter.com/UyNVwCN9n9
「プラチナジュビリー」の絵文字も作ったそうで…。女王の愛犬(コーギー犬)をモチーフにしており、名前は「PJ(プラチナジュビリーの頭文字)」。
ディスプレーがプラチナジュビリー仕様になっているお店も多く、ロンドン中心部は華やかです。
高級デパート「Fortnum & Maison」の店内。巨大なクラッカーでお祝いです。
プラチナジュビリー関連の日本の報道で「祝賀ムードに沸くロンドン」的な文言をよく見かけます。しかし現地に住んでいると「ちょっと違う…」と毎回思い、違和感があります。
イギリス全体が「女王おめでとう~!」という雰囲気かというと…別にそんなことはないのです。
でもどこか浮足立った感じがあるのは、ジュビリーに伴い「4連休」になること、そして「パーティモード」になっているからなのです。
6月第一週目の週末は、通常の祝日に今年だけのジュビリー祝日がプラスされ、月~金で働く人は4連休になります。元々イギリスは祝日が少ない国なので「4連休、嬉しい!」という雰囲気は満々に漂っています。
加え、6月はもっとも降水量が少ない月です(日本と反対ですね)。パーティ大好きイギリス人たちは、連休を利用し「庭でバーベキューパーティ」「公園でピクニック」「自宅でホームパーティ」等、友人達との楽しいイベントを計画しています。またイギリス各地で大小さまざまなジュビリー記念のストリートパーティも予定されています。
https://twitter.com/CoppullPrimary/status/1530201495563640832ジュビリー週末に先駆け、全国の小中学校で野外パーティが行われています。こちらはイングランド北部、ランカシャー州チョーリーにある小学校&幼稚園のパーティ。
つまり「(女王のジュビリーには興味がないけど)便乗して飲みまくりっ!」ということなのです。この辺のイギリスのニヒルな感じ、私はいつも「いいな♡」と思います。
そんな人々の「のんびりモード」とは異なり、リテイル業界は「ジュビリー商戦」盛り上げに必死です。というのも、このジュビリーウィークエンドに人々は大量に食品や酒類を購入するので、稼ぎ時なのです。現在の計算ではイギリス全土で8億2300万ポンド(約1324億円)、イギリス在住者一人あたり83ポンド(約1万3000円)の購買が見込める…というのですから、すごい経済効果です。
各スーパーがジュビリー特設コーナーを設け、お酒やおつまみ、お菓子など「パーティに大活躍」のフード&ドリンクに力を入れています。
可愛いグッズもたくさん販売されているので、ついつい目が行ってしまいます。
高級スーパー「M & S」のジュビリー仕様エコバッグ。こちらもコーギー犬がモチーフ。
こちらは大手高級スーパー「Waitrose」が出しているジュビリー記念エコバッグ。(Waitroseサイトのキャプチャー画像)
5月末のロンドンの一大イベントと言えば世界最大の園芸展示会「チェルシーフラワーショー」です。パンデミックにより2020年はバーチャル開催、2021年は9月に延期されましたが、今年は通常通りの日程に戻り、5月24~28日に開催されました。
Unmissable and iconic, the RHS Chelsea Flower Show, sponsored by @thenewtsomerset, returns until 28 May. Here’s a taste of some of the highlights so far…
— The RHS (@The_RHS) May 25, 2022
Book tickets at https://t.co/lvE6Uw7rwG 💐 pic.twitter.com/CgpiXDLop4
ロンドンの高級エリア「チェルシー」にある「ロイヤル・ホスピタル・チェルシー」で開催。女王もオープニング前日の5月23日に来場しました。
チェルシーフラワーショーのチケットは高額(40.85ポンド/約6600円)ですが、毎年争奪戦なのでなかなか購入できません。ですが同時期に同じチェルシー地区で開催される「誰もが楽しめるイベント」があります。それが「チェルシー in ブルーム」です。2006年から始まったイベントで、高級リテイルが店舗(主にエントランスとショーウィンドー)を花で飾ります。路上から見られるのでもちろん無料です。
「チェルシー in ブルーム 2022」のポスターデザイン。
今年のテーマは「British Icons(イギリスの象徴)」。ポスターの真ん中に女王がいることからも、ジュビリーを意識したテーマです。今年は90以上の店舗が参加し、街を花々で彩りました。
私は最終日の5月28日にこのイベントに行ってきました。最寄り駅の1つである地下鉄「Sloan Square」の駅を出ると、目に飛び込んでくるのはユニオンジャックの旗・旗・旗。
駅の斜め前にあるスクエアに飾れたユニオンジャック。
駅前の売店でも旗が売られていました。
そしてすごい人混み! 最終日であることに加え、気温19度と暖かい日だったこともあり、すごい人出でした。
まさに人だらけ・・・。
「ラルフ・ローレン」のディスプレーはバスケットと野の花をイメージしたもの。とても素敵なのですが、皆が群がって写真を撮っているのでなかなかシャッターチャンスに恵まれませんでした(涙)。
道そのものが人で溢れているのですが、所々、さらに「もわっ」と人だかりができています。それが「チェルシー in ブルーム」に参加している店舗の印です。
皆順番を待ってディスプレー前で記念撮影するので、どうしても人だかりができてしまうのです。
今回の「チェルシー in ブルーム」、ディスプレーは大きく分けて2つの種類がありました。1つは、テーマどおりのジュビリーや「ザ・イギリス」を意識したものです。
スキンケアブランド「Dermalogica」の前に飾られた、赤いロンドンバスと地下鉄のサイン。
ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のカバーをモチーフにしたディスプレー。右下に女王の絵が入ったフレームがあります。「何だかちょっとお墓みたい」と皆笑っていました。
女王の横顔をかたどったもの。女王の横顔はお札やコインに使われているので、イギリス在住者にとってはおなじみです。
「ベスト・フローラル・ディスプレー」に選ばれた「Hackett」のエントランス。「ロイヤル押し」のパンチのあるデザインが目を引きました。
ユニオンジャックカラーの「MINI」。華やかさが見事。
コーギー犬、大人気!
一目で「イギリス」を感じられるディスプレーが目を楽しませてくれました。
もう1つは、野の草花を意識したものです。「チェルシーフラワーショー」の今年のテーマは「Wild(野の草花)」でしたが、現在、「自然」をイメージさせる花や草木がトレンドになっています。
The Cadogan Hotel前のフラワーボックスタワー。
淡い色の花々とバスケットに囲まれた赤ちゃん。可愛すぎる…。
↓こちらは大人気&大混雑だった、「不思議の国のアリス」の「うさぎの穴」をモチーフにしたトンネルです。
アリスが転げ落ちる「うさぎの穴」を木の枝やドライフラワーを多用して表現。ティーカップも紙製で、ナチュラルだけでなくエコも意識しています。
こちらは↓「うさぎの穴」と同じ「Duke of York Square」あった別の花のトンネル。花の香りが漂うような素敵な空間でした。
「野の花」というにはちょっと華やかすぎるかも…ですが、季節柄、ピクニックと「野の花」をイメージさせるディスプレーがたくさんありました。
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美しいディスプレーを紹介していると枚挙にいとまがありません。無料で楽しめる本当に素敵なイベントでした。来年は比較的混雑しない平日に行かねば…と心に誓いました。
こんな「賑やかし自転車」にも遭遇!
チェルシーにある王室御用達高級食材店「Partridges」。中に入ると女王がお出迎え。等身大なこともあり、遠目で見ると本物のようで一瞬ドキッとします。
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ロイヤルベイビーの誕生やロイヤルウェディングが話題になると、熱狂的な王室ファンの姿がメディアに映ることがありますが、これは一般のイギリス人の姿とは違います。
多くのイギリス人(&イギリスに暮らす人々)にとって、王室は「ずっとそこにいるけれど、あまり関係のない人」です。しかし「嫌い」とも思っておらず、アンタッチャブルな存在というわけでもありません。
最近王室は何かとゴシップ(アンドルー王子やハリー&メーガン夫妻)が多く、メディアも一般市民も手厳しく批判しています。
BBCニュース - アンドリュー英王子、性的暴行訴訟で原告と和解 和解金と「多額の寄付」で合意 https://t.co/s1VZUK4sPR
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) February 16, 2022
こちらは記憶に新しいはずです。
そんな風に普段は冷めた目で王室を見ているのに、「でもパーティは楽しいよね!」という適当さ(笑)がイギリスらしいな思います。
私自身は4連休中にパーティ参加の予定はないですが、6月4日にBBCで生放送される「プラチナジュビリー・コンサート」を視聴したり、のんびり過ごしたいと思っています。
We are proud to reveal a first look at the staging for The BBC’s Platinum Jubilee Party at the Palace.
— BBC Studios (@bbcstudios) May 6, 2022
The concert for Her Majesty The Queen’s Platinum Jubilee, will be produced by @BBCS_Events and broadcast live on @BBCOne & across the @BBC on the 4th of June.@StufishStudio pic.twitter.com/i3HvzcXXBa
50周年のときも、60周年のときも行われたバッキンガム宮殿でのジュビリーコンサート。今回もいまどきのミュージシャンから往年のスターまで幅広く豪華なラインナップです。正直、女王はミュージシャンたちを知っているのでしょうか…(笑) こちらは今回のBBCの予告動画。
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6月はイギリスがもっとも美しい季節です。バラをはじめ、様々な花が美しく開花します。イギリス旅行を考えている人に「(時期を選べるなら)6月がおすすめ」といつも言っているほどです。
今年は「チェルシー in ブルーム」で一足先に花々を楽しめましたが、ジュビリーウィークエンドが終わった頃、本格的な花の季節は始まります。今から心待ちにしています。
「チェルシー in ブルーム」公式ウェブサイト
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