宮田華子
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。
ウェブ:http://matka-cr.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/
※記事内容は2021年11月27日時点の情報によるものです。
日に日に寒さが増すロンドン。10月中は何とか我慢していたものの、11月に入り、我が家も観念してヒーターをつけ始めました。
イギリスの一般的な室内暖房は、パネル型のラジエーター。家中に張り巡らされたパイプの温水がパネルを通り、室内を温めます。
イギリスのコロナ感染数の拡大は日本でも報道されていると思います。加えもう1つ、エコ・エネルギー供給会社(略称:エコエネ)の相次ぐ倒産・業務停止も現地では大きなニュースになっています。ガス卸値価格の沸騰に小規模エコエネが耐えられなくなったために起こっている問題です。
BREAKING: Bulb Energy, which supplies 1.7m customers, collapses into administration https://t.co/OclPIrEpKJ
— The Guardian (@guardian) November 22, 2021
エコエネ最大大手の「Bulb」も11月22日に倒産を発表。これまでに20社以上が倒産しています。
我が家も小さなエコエネ会社と契約していましたが、10月に業務停止となり、大手エネルギー供給会社に吸収されました。まだアカウントの移行手続き中ですが、移行完了後、再びエコエネへの乗り換え手続きをしなくてはなりません。
持ちこたえてくれるエコエネがどこなのか?の見極めが難しそうですが、どこに乗り換えても電気・ガス料金は絶対に上がります。
暖房必須の時期にそんな不安なニュースはあるものの、現在世の中は「2年ぶりのクリスマス」に盛り上がり中。とても賑やかな雰囲気に包まれています。
テムズ川の南岸、「Hay's Galleria」のクリスマスツリー。
昨年2020年のクリスマスはなかったも同然でした。クリスマス直前にイギリスの大部分の地域で「クリスマス期間中の移動&他世帯と集まること」が禁止となったからです。
昨年12月、クリスマス直前の週末に撮影した写真。ロンドン中心部だというのに、人影まばら。
イギリスのクリスマスは「恋人と過ごす日」ではありません。年に1度、普段はバラバラに暮らす家族が集合して一緒に過ごす、日本のお正月にあたる期間です。
昨年の秋、「感染抑制のための行動規制」がとても厳しかったことを思い出します。そんな「家族や友人に会えない」日々をじっと耐えたのも「クリスマスには緩和がある」と信じていたからなのですが、残念ながらクリスマスはキャンセルになってしまいました。
その記憶が強烈にあることから「今年は“普通に”クリスマスを祝える」と世の中、浮足立っているのです。
感染者数が上昇している現状については、多くの専門家が警笛を鳴らしています。しかしブースターワクチンの接種開始と特効薬の認可に加え、死者数があまり上昇していないとことから、(現段階では)イギリス政府はクリスマス期間の行動規制は行わない方針です。
不安はあるものの、人々の「2年ぶりのクリスマス」への期待と興奮は、街を歩くだけで伝わってきます。11月末の週末、ロンドン中心部はクリスマス用のショッピングをする人達でいっぱいです。
ロンドン中心部の大通りの1つ、リージェント・ストリートのイルミネーションは今年も大きなエンジェル。
リージェント・ストリートのほど近くにあるカーナビ―・ストリート。両脇にショップがびっしり立ち並んでいます。すごい人混みでした。今年のイルミネーションのテーマは「蝶」。
こんなにぎっしりの人混みなので、感染がやや…心配ではあります。
高級ブランド街として知られるニュー・ボンド・ストリートにて。ツリーの前に集う人々の笑顔にほっこりします。
例年はハロウィンが終わると街の装いが本格的にクリスマスに模様替えします。しかし今年のハロウィンは控えめな印象で、10月中からすでにクリスマス一色でした。そのぐらい「熱量高め」でクリスマスにまっしぐら…の印象です。
この時期ロンドン各所で催されるクリスマスマーケット。寒空の下ですが、暖かな雰囲気です。
クリスマスマーケットでは、プレゼント用品店だけでなく、飲食店も多数出店します。買い物に疲れると、座って食べられるコーナーで一休み。
クリスマスを待つ時期には、プレゼントのショッピングだけでなく、ツリー購入や飾りつけ等、楽しい準備がたくさんあります。
こちらは昨年購入した我が家の生木の小さなツリーです。今年も生木を購入予定です。
「アドベントカレンダー」を用意するのも楽しい準備の1つです。
「アドベント」とはイエス・キリストの誕生を待ち望む期間「待降節(または降臨節)」のことです。11月30日(聖アンデレの日)からもっとも近い日曜日から4週間がアドベントに当たります。
アドベントカレンダーは、紙製のものから箱型、立体型、そして手作りのものまでいろいろあります。Photo by Elena Mozhvilo
この時期専用のカレンダーが「アドベントカレンダー」です。1から24,または25の数字が並び、 数字の部分の小窓や箱の中にちょっとしたプレゼントが入っています。12月1日から毎日1つずつ小窓や箱を開け、中に入っているものを楽しみながらクリスマスの日を待ち望む気持ちを盛り上げます。
アドベントカレンダーは元々、子供たちにイエス・キリストの降臨を教えるためものでした。しかし今では大人用のもの、高級志向のものも多く、本当にさまざまな種類のものが販売されています。
定番は小窓や箱にチョコレートが入ったものです。スーパーでは子供用の5ポンド程度(約760円)のものもたくさん販売されていますが、こちら↓はチョコレートブランド「Love Cocoa」のちょっと贅沢版です。
大人も嬉しいシックなイラストのカレンダーは25ポンド(約3800円)。大粒のチョコが小窓の中に入っています。
こちら↓はロンドンの老舗デパート「Liberty」の「“ビューティー”アドベントカレンダー」。
こちらは女性用ですが、男性用のグルーミング製品が詰まったアドベントカレンダーもあります。
デパートの外観が描かれた観音開きの箱を開けると、Libertyプリントの布地が貼られた引き出しが登場。1つ1つの引き出しの中に、女性用ビューティー&ウェルネス製品が入っています。お値段は225ポンド(約3万5000円)と高額ですが、844ポンド相当(約13万円)の品が入っている…という豪華版です。
こちら↓も高級デパート「Fortnum & Maison」の「紅茶缶入り木製アドベントカレンダー」。24個の扉に小さな紅茶缶が入っています。
紅茶ブランドとしても有名なFortnum & Maison ならでは、です。
我が家の今年のアドベントカレンダーは、Fortnum & Maisonで購入したこちら↓です。
残念ながら、紅茶や豪華グッズ入りのものではありません…。
3D立体型で、窓の中には特に何も入っていないただの紙模型です。しかしFortnum & Maisonの建物そのままをカレンダーにした可愛さに魅かれ、購入しました。
紙模型なのに、17.95ポンド(約2700円)もするのです。さすがFortnum & Maisonらしい値段設定ですが、数年前から気になっていたので今年は思い切って買いました。丁寧に畳んでおけば数年持ちそうなので、来年も飾ります。(Fortnum & Maisonのサイトのキャプチャ画面より)
今から飾るのが楽しみです!
赤くライトアップされたFortnum & Maisonの外観とクリスマス用に装飾されたショーウィンドウ。毎年外から眺めるだけでクリスマスの雰囲気を楽しめます。
我が家は日本人2人家族なので、クリスマスに帰省する実家がイギリス国内にはありません。嬉しそうに実家に向かう友人たちを見ながら、外国人として生きることの一抹の寂しさを感じる時期でもあります。
とはいってもクリスマスが楽しみなことは変わりません。同じ境遇の友人たちと過ごしたり、目一杯ご馳走を作って2人でお腹がはち切れるほど食べたりと、毎年楽しく過ごしています。
今年は2年ぶりに他世帯と交わってテーブルを囲めるクリスマス。どんな風に過ごそうかなと思っていましたが、家を購入したばかりの友人カップルが「ぜひクリスマスには我が家に来てね!」と誘ってくれたので、今から楽しみにしています。
2人へのプレゼント、何にしよう…と「考える時間」も楽しいものです。Photo by Sandra Seitamaa
クリスマスの準備を少しずつ進めながら、ふとした瞬間に1年を振り返ったり、来年のことを考えたり。12月は慌ただしく過ぎるものですが、そんな風に立ち止まる時間を見つけられるのも12月の良さだと思います。
今年も記事を読んで下さってありがとうございました。毎月、読んで下さる方の顔を想像しながら、楽しく書かせていただいています。
来年もロンドンの空気を伝えられる記事が書けるよう、頑張りたいです。
まだまだコロナの状況が心配ですが、引き続き注意しながら過ごしたいと思います。
皆様も、どうか楽しい年末年始をお過ごしください。
Happy Festive season!
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