宮田華子
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。
ウェブ:http://matka-cr.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/
※記事内容は2021年6月25日時点の情報によるものです。
6月初旬に熱波がやってきて暑かったロンドンですが、6月後半は涼しい日が多く、現在は「暖かい」ぐらいの気温が続いています(6月25日の本日、最高気温は21度)。
6月のイギリスはバラの季節です。Regent’s Parkのローズガーデンより。
先ずは少しだけコロナ近況から。
イングランドの緩和ロードマップが発表された3月時点では「順調に感染終息が進めば、(最速で)6月21日にソーシャルディスタンス策を全解除」と言われていました。しかし、5月の緩和以降感染者数が増えたため、最終緩和は「少なくとも4週間」延期になりました。
現在の予定では、コロナの最終緩和は7月19日?(またはそれ以降)と言われています。
本日18時にボリスが会見するようですが、イングランドのソーシャルディスタンス策撤廃は6/21ではなく、少なくとも4週間遅れるとのこと。もう十分緩和しているので、今の緩和でも「このままで大丈夫なの?」って思ってるぐらいだから、延期で全然いいです。そうしてください。https://t.co/gQpzaqFHOR
— 華子です in London (@hanakolondon_uk) June 14, 2021
6月14日にジョンソン首相が会見し、イングランドの最終緩和の延期が発表されました。
感染者数はやや上がっているものの、イギリス在住成人(=18歳以上)の8割以上が「少なくとも1回目のワクチン接種」を終えているため、実は死者数は増えていません。
現在感染が拡大しているのは子どもと10~20代の若者層です。現在ワクチン接種は「18歳以上」まで降りてきています。早く安心してパーティーをしたい若者たちが、列を作ってワクチンセンターに並んでいることから、数週間内にこの層にもワクチン効果が出て、感染が抑制されると考えられています。
イギリスの若者は案外保守的じゃないと知り、結構嬉しい。
— 華子です in London (@hanakolondon_uk) June 20, 2021
UKの若者が割と選挙に行く事との親和性を感じる。イギリス人はシニカルだけど、未来のために些細だけど出来ることはしようと思うってことかなと。
↓ワクチン対象年齢が18歳以下になり、接種のために列を作る若者。https://t.co/7CxWK8YWUj
雨の中、ワクチンセンターに列をつくる人々。
私は先日2回目のワクチン接種を終えました。引き続き注意して行動していますが、少しほっとした気持ちです。
いつも通り長い前振りでしたが、今回の本題はここからです。
現在住んでいる小さなフラット(=日本でいうマンション)を購入したのは2015年の7月です。早いものでもう6年経つのですが、実は入居初日から…というか、正直に言えば購入前の下見のときから気になっていたことがありました。
それはこの家の居間と2つの寝室の床がフローリングではなく、カーペットだったことです。
リノベ前の写真です。
このフラットはリノベしたての状態で販売されたのですが、廊下、キッチン、バスルーム以外の3室に薄いベージュの同じカーペットが敷き詰められていました。
色が薄いので、汚すのがひたすら心配でした…。
本当は「全室フローリングの家」を希望していました。しかし希望条件すべてに叶う物件はなかなか見つからず、紆余曲折あってこの家を買いました。
入居前にフローリング工事をやってしまおうか?とも思ったのですが、「リノベしたて=真新しいカーペット」だったので「もったいない…かな?」と躊躇してしまいました。「ロンドンは冬が長いし、カーペットの方が暖かい。しばらくはこのままでやってみるか」と妥協して生活をスタートさせました。
その後、この判断を深く後悔することになりました…(涙)。
カーペットの色そのものは嫌いではなかったのですが、色が薄いので食べこぼしをしたら完全にアウトです。我が家のキッチンはテーブルを置くスペースがないので、食事は居間に運んで食べています。ラグを2枚重ねで敷いたり、その下にビニールシートを敷いたりしながら「何とかカーペットを汚さない」工夫をしてきたのですが、まあまあストレスだったのです。
コロナ禍で家で過ごす時間も増えました。たった2人とはいえ、人口密度が高くなれば家も汚れ、シミの危険も増加します。「そろそろ…やるか」という気持ちになったので、4月中旬のある土曜日、近所のフローリング専門店に相談に行きました。
お店訪問の翌週に店主のDさんが、見積もりのための採寸にやってきました。
我が家を採寸中のDさん。
メジャーで測るわけではなく、手のひらに乗る小さな機械を使って手早く採寸していきます。
この段階では居間とキッチンのフローリング化だけのつもりでした。キッチンにはイギリスで「ヴァイナル(vinyl=ビニールのこと)」と呼ばれる、ビニール製マットが敷かれていたのですが…
キッチンに敷かれたヴァイナル。一見フロ―リングに見えますが、板の模様が印刷された厚手のビニールシートなのです。
3月にキッチン床下の水漏れが発覚し、そのときの工事でヴァイナルがヨレてしまったので、何とかしたかったのです。
しかしDさんに「居間、キッチン、廊下を全部同じ板にした方が、家がずっと広く見えるんだけどね」と言われました。
リノベ前の廊下。好きな色ではなく、上手に施工されていなかったこともあり、Dさんの営業トークに心が動きました。
初リノベなので経験値がゼロの私たち。見積もりを比較し、じっくり考えた上で、「居間&キッチン&廊下」を一気に同じ板に張り替えることにしました。その後もう1度お店に行き、見本をいろいろ見た上で、板を決めました。
予算と扱いやすさの面からリアル木材ではなく、ラミネート板を使用することは決めていました。しかしこの時点では色はまだ迷っており、脳内候補は3つありました。
①木目を生かしたブラウン
②無垢材のような明るい色
③現在流行のブラック系!
↑我が家とは別モノの素敵なお家の例で恐縮です…w。
かなり迷いましたが、サンプルにかなり理想に近いナチュラルな木目調の板があったので、無難ですが①に似たブラウンに決定。
本物の木みたいに見えますが、木目は印刷です…のラミネート。
そして6月中旬の工事日の予約をしました。
予約から実際の工事まで2カ月ほどあったのですが、楽しみな反面、ちょっと暗い気持ちにもなりました。工事するスペースに置いてある家具や荷物を、今回工事をしない2つの小さな寝室に移動させなくてはならなかったからです。
我が家は庭もベランダもない、小さなフラットです。6月は天気が良い時期なので、庭があれば「ちょっと外に置いておく」ことも可能なのですが、我が家の場合は不可能。
居間のソファー(クッション類はすべてどける)と棚(飾ってあるものはすべてどける)は置いたままでもOKと言われましたが、廊下においてある収納棚(巨大!)や玄関の靴箱(背が高い上に重い!)などはすべて移動しなくてはなりませんでした。
分かりづらいのですが、玄関脇の写真です。正面は靴箱(重い!)、右のカーテンの裏は巨大な収納棚が置かれた納戸なのです。
ソファー周りを片付け中。物がないとすっきりしていいですね。この後右のサイドテーブル、ソファーのクッション、左のベンチ、下に敷いてあるラグも撤去。ソファーの骨組みと白い棚だけ残して、空っぽにしました。
収納棚や廊下の隅に「とりあえず」と取ってあるものを断捨離しまくった2カ月。それでも、家具の大きさが小さくなるわけではないので、
お見苦しいのでぼかしております。
寝室はこんなにパンパンに! これからお金をかけてリノベするというのに、「一刻も早く広い家に引っ越したい」と思ってしまいました。
6月中旬、ロンドンに突然熱波がやってきました。そんな暑い日に工事が始まりました。工事を行うのはフローリング店のDさんではなく、彼がアレンジしたいかにも力持ちそうなブルガリア人のフローリング専門ワーカーさん(職人さん)2名です。
初日は午前9時半から作業開始。前半は工事に使う機械&工具類と施工用素材の搬入、
1つ1つがものすごく重く、私には道具箱1つ動かせませんでした。駐車スペースが遠いので、搬入に時間が掛かったものの、ワーカーさんに、文句も言わず頑張ってくれました。
そして既存のカーペット(居間)&ヴァイナル(キッチン)&フロア板(廊下)の撤去作業でした。
ワーカーさんの1人、マッチョマン(←ブルガリアの名前を私が正しく発音できなかったため、このニックネームで呼んでました)がカーペットをカッターでガシガシ切ってはがしていきました。
我が家のカーペットを見たマッチョマンが「頑張って綺麗に保ったね~」と褒めてくれましたが、次の瞬間、大型カッターでビリビリガシガシ、大胆に切り始めました。褒められた直後だけに…何だか可笑しかったです(笑)
廊下の板とクッション材を剥がす作業も順調に進みました。
廊下のフロア板と下に敷いてあったクッション材を除去。
キッチンのヴァイナル除去とりかかった時、問題発生。ヴァイナルの下の敷板の痛みが、予想外にひどかったのです。
敷板が漏れた水を吸ってしまい、腐っていました。
夏場になるとキッチンがほのかに臭っていたのですが、そうかここだったのね(笑)。
傷んだ敷板をはがし、袋につめていきます。床の最下層に粘着してしまっているのでなかなか剥がれず、ワーカーさんたちはかなり難儀していました。
痛んでいなければ敷板は除去しなくてよかったのですが、ここまでひどいと全除去しなくてはなりません。痛んでモロモロになった敷板剥がしは時間が掛かりました。
剥がした後、床の土台部分を完全に乾燥させないと下地を敷けないので、キッチン作業はひとまずここまでで休止。後は最終日に行うことになりました。
剥がしたカーペットや板は一時、建物内の廊下に仮置き。大量です。
すべての除去が終わったタイミングでゴミ回収業者さん(これもDさんがアレンジ)が来て、すべて持っていってくれました。
バスの手前にあるのが回収業者さんのトラック。建物から車止めまでが長いのですが、ワーカーさん2人と、回収業者さんの青年1人がびっくりする早さで全部トラックに積んでしまい、写真を撮れませんでした。さすがプロ。
ここからフローリングの施工が始まります。まずフローリングする部分に下地シートを敷き詰めます。かなり厚手のビニール&アルミのシートです。
左に立て掛けてあるロール状のものが下地シートです。アルミ側を下にして敷きます。
下地を敷いた状態。隅や角の部分は、シートを切って隙間なく敷き詰めます。
これ1枚で防音、防震、断熱、防水の効果があるとのこと。冬場のことを考え、1番厚手のものを選択しました。このシートの上にフロア板を並べていきます。
今回の我が家リノベの「親方」職人として頑張ってくれたジョージさん。
下地シート敷きと板貼りの途中で初日の作業は終了(午後5時ぐらい)。「順調に進んでいるので、3日間で終わると思うよ」と、ワーカーさんは笑顔で帰っていきました。
ー
リノベーション1日目の工程は終了。
果たして3日で終わるのでしょうか・・・?
続きは「我が家初の大型リノベ「フローリング」全記録 <後編>」の記事へ!
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