宮田華子
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。
ウェブ:http://matka-cr.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/
※記事内容は2022年9月30日時点の情報によるものです。
日を追うごとに寒さが増しているロンドンです。
秋景色の公園。美しいですが寒いです…。
個人的には「例年よりも寒い秋」と感じています。9月中旬からヒーターなしではいられないほど冷え込んでおり、外出時にはコートを着ているほどです。
室内の気温は、ボイラーとワイヤレスで繋がっているサーモスタッド(温度調節機)で管理されています。通常20~22度が適温と言われているものの、最近の気温は1桁台から15度前後。まだ9月なのに1日中暖房がついているのは避けたいので、温度設定が悩ましいです。
このままだとあっという間に冬が来そうです。
そして… 引っ越して1カ月の我が家はまだバタバタしています。週に数回は業者さんが来て、ガス、電気、水道等の工事が続いています。
数日前の写真です。気温10度、雨も降っていたのですが、玄関の枠組みの工事をビルダー(大工)さんがやってくれました。感謝です。
一通りの工事が終わり、このコラムで我が家を公開できるまでにはもう少し時間が掛かりそうです。その日を楽しみに、毎日修理・工事・片付け・手入れに励みます。
10月のイベントと言えば「ハロウィン」ですね。9月になるとハロウィン用のカボチャが販売され、またコウモリやスケルトン(ドクロ)、カボチャの形をしたおもちゃやお菓子も店頭に並びます。
各スーパーは、ウェブサイト内に特設ページを作って食品やデコレーション、コスチューム等を販売しています。(大手スーパー「Tesco」サイトのキャプチャ画像 © Tesco.com)
かなり頑張って外観部分をデコレーションしている家も見かけます。
ハロウィンの起源は古代ケルトのドルイド信仰に基づく収穫祭「サウィン」にあるというのが定説です。となるとアイルランドやイギリス周辺から始まったことになるのですが、現在のイギリスにおいて、ハロウィンは「アメリカから来たもの」という印象です。
ロンドン・メイフェア地区にあるプライベート・クラブ「Annabel’s」。昨年はホラー映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』をテーマにした、力の入ったデコレーションでした。
子どもたちが「Trick or Treat」と言いながら家々の戸を叩き、また大人たちが思い思いのコスチュームでパーティをすることは、日本もイギリスも変わりません。
一昨年のハロウィンは厳しいコロナルール下にあり、昨年は緩和期ではあったものの「Trick or Treat」やパーティを控えた人も多かったはずです。今年は規制もなく完全復活の様子ですが、コロナ禍以前から浸透しつつあった「サステナブル」「ゼロウェイスト」のハロウィンが、さらに定着していると感じています。
具体的には3つのポイントから「サステナブルにハロウィンを楽しむ」方向に進んでいます。
学校でもハロウィンのイベントが行われることもあり、力の入った仮装で頑張る子供はたくさんいます。スーパーやイギリス版100均「パウンドショップ」と呼ばれているお店には様々な安価なコスチュームが売られています。
数年前まではこうした既成服コスチュームにプラスチックが多用されていたのですが、現在は「できるだけサステナブルなコスチュームを選びましょう」という流れになっています。服飾メーカーもプラスチック含有量を減らす工夫を行うようになりました。
また子供たちに渡すお菓子袋も、プラスチック袋ではなく紙や布製を使う人が多くなっています。
お菓子をプラスチック袋に入れず、そのまま紙袋に入れたり紙で包んだり。コロナ禍では衛生上の観点から再びプラ包装需要が高まりましたが、今年はプラスチックフリーの包み方が流行りそうです。
ハロウィンの飾りつけに使われる様々なグッズも、この時期たくさん売られています。各種グッズは安価なものが多いですが、1回だけ使用して捨てるのではなく、取っておいて「毎年使用する」「来年も使う」とゼロウェイストを心がけるようになっています。
そして以前よりもプラスチック不使用のグッズが増加傾向にあります。
フェルトや布、紙を作って手作りするのもトレンドです。
学校でも子供たちが工作してハロウィングッズを作っています。
イギリスでは、ハロウィンに飾るのは大きなオレンジ色のカボチャです。
ロンドン南西部にある農場にカボチャを買いに行ったときの写真です。畑で好きな大きさ&形のカボチャを選びます。
ロンドンにある環境団体「Hub Hub」によると、イギリスではハロウィン時期に約3500万個のカボチャが販売されますが、約1450万個(約41%)は食べられることなく捨てられているとのこと。
https://youtu.be/xClQObNbVCA「Hub Hub」が展開している「カボチャを食べよう」キャンペーン動画。
実は私自身、このオレンジ色のカボチャは「飾り専門」で食べられないのだと思っていた時期がありました(恥)。数年前に朝のBBCニュースで「ハロウィン用のカボチャを食べない人が多い」と報じていて、「えっ、食べられるの!?」と知った次第です(汗)。以来毎年、しっかり食べ切っています。
イギリスのカボチャは日本の甘くてほくほくした「栗カボチャ」のような品種とは違います。甘味が少なく、水分が多い品種が主流です。
長細い形の「バターナットスクワッシュ」が、イギリスでもっとも一般的なカボチャです。
ねっとり感がないのでお菓子の使用に向かないせいなのか、イギリスで「パンプキンパイ」や「カボチャのプリン」的なものを見かけたことがありません。カボチャの食べた方としてもっとも一般的なのはオーブンで焼く「ロースト」で、次がリゾットだと思います。
キャプ:バターナットスクワッシュをオーブンで丸焼きする方法を教えてくれる「Allrecipes UK | Ireland」のYoutubeチャンネルより。
ハロウィン用の大きなカボチャも、甘味が少なくザクっとした食感です。しかし調理がしやすく、塩気のある料理に向いています。私は毎年、半分はローストやグラタンを楽しみ、残りはスープにしています。スープは調理が簡単な上に美味しいので鍋いっぱいに作ってもあっという間に食べ切ってしまいます。
<簡単「カボチャスープ」の作り方>
材料:
A)
●カボチャ・日本のカボチャ1/2ぐらいの大きさ。皮をむいて、一口大程度に切ったもの。
●タマネギ・大1個(またはポロネギ1本か日本の白ネギ2本)
●ニンニク・1片を薄切りしたもの
●月桂樹の葉・1枚
●コンソメキューブ・2個
●塩・小さじ1
●水・1カップ
B)
■生クリーム・1~1.5カップ(お好みで)
■バター・好きなだけ(たくさん入れた方が美味)
■塩コショウ・適宜
作り方:
1)Aを全て鍋に入れる。できればルクルーゼのような重い鍋を使用し、蓋をしてカボチャとタマネギが柔らかくなるまで弱火で煮る。
2)火を止め、ブレンダーで滑らかになるまで攪拌する
3)Bの生クリームとバターを加え、最後に味見し、塩コショウで味を調えてできあがり!
カボチャが固い場合は、電子レンジで1分程度熱すると柔らかくなり、切りやすく皮もむきやすくなります。このまま冷やして冷製スープとしても美味しいですし、再度温めて熱々を食べても美味しいです。
調理と言える工程は野菜を切る&攪拌するだけなので、本当に簡単です。バターと生クリームの力でこってり感を調節できます。ぜひお試しください。
===
ハロウィンが終わると、イギリスはクリスマスへ向けてまっしぐらです。10月末日から11月1日、1日で街のデコレーションが一気変わるのを見るもの毎年の楽しみです。
日本の台風のニュースを心配しながらチェックしています。気を付けようがないと思いますが、でもどうかお気をつけてお過ごしください。
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