宮田華子
ロンドン在住ライター。メディア製作会社に勤務後、2011年からフリーランスのライターに。デザイン、アート、建築、クラフト等を得意とし、文化&社会問題について日本の媒体に執筆。編集ユニット「matka」として、ウェブマガジンも運営している。2015年にロンドンで小さなフラット(マンション)を購入。日本とは異なる一筋縄でいかない「イギリス・家事情」に翻弄される日々を送っている。
ウェブ:http://matka-cr.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/hanako_london_matka/
執筆日:2021年1月5日(記事の内容は執筆日時点での状況です)
あけましておめでとうございます。
日本もイギリスもコロナ禍厳しい中での年末年始でしたが、新しい年が皆さまにとって希望に満ち溢れたものになりますように。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
この年末年始、私はひたすら籠って過ごしていました。
もともと12月23日~27日まで、イギリス全土でコロナ規制が緩和されるはずでした。しかし直前にこのプランはキャンセルとなり、私が暮らすロンドンでは一切緩和がなくなりました。別世帯の人には会うことができないため、誰も来ない&誰にも呼ばない、家に籠って静かなクリスマス~お正月を過ごすことになったのです。
Tierは3までだと思っていたら突然4までになり、ロンドンはTier4(ほぼロックダウンと同じ)になることに。この辺の変更サクッとするところがイギリスらしい。クリスマス緩和も最小限に。
— ハナコです:イギリスについてつぶやく (@uknews_murmur) December 19, 2020
ずっと書いてるけど、もっと早く決断してほしかった。悪いニュースほど早い方がいい。https://t.co/4z0hn3lO9e
個人的にはクリスマス緩和がなくなってホッとしました。感染が下がらない状態で世帯ミックスをしたらどうなるか、火を見るよりも明らかだったからです。しかし緩和キャンセルの発表(12/19)が直前すぎ、規制強化が遅すぎたことには怒りを感じています。
でも、籠っているからできることもあります。今回の年末年始は例年以上にたくさん料理をし、美味しく楽しく過ごしました。
個人的なことで恐縮ですが、今回は年末年始を振り返りつつ、“超簡単レシピ”を含めてご紹介したいと思います。
今更…ツリーの話ですみません(涙)。
お正月も終わった現在、「クリスマスなんてすっかり過去のこと」ですよね? ツリーなんで「とっくの昔に片付け完了」していますよね?
しかしイギリスではクリスマスツリーは1月5日の夜まで飾るのが習わしです。
今年も近所の同じツリー露店で買いました。
これは「12夜(Twelveth night)」という伝統によるもので、クリスマスから数えて12日目の夜まではツリーを飾ります。そして翌1月6日に「公現祭(Epiphany)」という、クリスマス時期最後のお祝いの日を迎えます。
「公現祭」とは、イエス・キリストの誕生を祝い、東方の三博士が貢物をもって現れたことを祈念する日です。
フランスではこの「ガレット・デ・ロア(王様のケーキ、の意味)」というケーキを食べて公現祭を祝います。日本でもこの時期、よく見かけますよね。イギリスでも時々見かけるものの「習わし」という程までには浸透していません。
そんなわけで、我が家のツリーはまだ健在です。
生のツリーは今回で4回目。ツリーが来ると気持ちがちょっとあがります。飾りは地味目が好みです。
本来ならば1月6日に片付けるツリーですが、今年、私が住む地区のツリー回収は1月18日からなのです。もう暫くはツリーと共に過ごします。
このように指定の道路にツリーを置いておくと、地区が回収してくれます。
我が家には今回、2つツリーがありました。クリスマスカードを飾るための板製ツリーを友人からいただいたのです。毎年ほとんどのカードを手渡しでもらっているので今年は少な目なのですが、いただいた1つ1つのカードを噛み締めて飾りました。Sさん、ありがとうね。
イギリスのご馳走の定番はロースト料理。クリスマスは大人数でテーブルを囲むことからターキー(七面鳥)が定番です。しかし私はそれほどターキーのファンではないため、ここ数年、クリスマスにローストビーフを焼いています。
いろんな作り方を試しましたが、これ以上簡略化できない&絶対失敗しない、そして必ず美味しくできる作り方を考案しました! オーブンを使わず、鋳物ホーロー鍋を使用します(私はルクルーゼを使用)。本当に本当に簡単なので、ぜひ試してみて下さい。
夜に調理したので暗めの写真でごめんなさい…。
【絶対失敗しないローストビーフの作り方】
材料:
<ロースト本体>
●牛肉:お好みの量をブロック約1kg。我が家はサーロインを使用しましたが、ランプ肉でも美味。
●ニンニク:スライスしたもの、1kgあたり4~5片
●塩、コショウ、オリーブオイル:適宜
●ローズマリー:一枝(乾燥のものでもOK)
<グレイビーソース>
●バター:2片
●赤ワイン:残った肉汁と同量程度
●塩コショウ&醤油:適宜
作り方:
① 肉に塩コショウとオリーブオイルをまぶして手でなでつけ、10分ぐらい置いておく。
実はこの肉片は1.8kgもあります。お肉屋さんの都合でこんな巨大ブロックを買ってしまいましたが(汗)、1kgぐらいが作りやすいです。
② 鍋にオリーブオイル、ニンニク、ローズマリーを入れて火をつける(中火)。香りがでるまでしばし待つ。
③ 火を強火にし、肉を1面ずつ鍋底に押し付け、しっかり焼き色を付ける。
全面焼けるとこんな感じです。
④ 全面焼けたらフタをして火からおろす。鍋をタオルで包み、20分程度そのまま放置する。
⑤ ローストビーフはこれで完成。
⑥ グレービーソースを作る。鍋底に残った肉汁にソースの材料を全部入れ、煮立たせたら完成。
ソースが煮立ったら、少し舐めて味見して下さい(油分がとても熱いの要注意)。塩気が薄かったら醤油やバターを、味が濃かったら水かワインを足してください。
⑦ 好みの厚さに切って盛り付けたらできあがり!
焼き色だけ鍋でつけて、肉の中に火を通すのは鍋の余熱におまかせする方法です。何度も言いますが、失敗のしようがございません!
もし鋳物ホーロー鍋を持っていなくても、フタ付きのフライパンや鍋でも作れます。鍋の余熱を逃がさないよう、④の工程で写真より多めのタオルで鍋を包んで下さい。肉が大きめの場合は、鍋を火から下ろす前にフタをして弱火で5分ほどおいてください(鍋を熱くするため)。それでうまくいきます。
私はレア好きなので、このぐらいの赤さが好みです。
ミディアムがお好みの方は、③でかなりしっかり目に焼き色をつけ、④の時間を長めにしてください。
この時期の付け合わせの定番は芽キャベツです。今回初めて茎付きのものを購入してみました。
クリスマスが近づくころに出始める茎付きの芽キャベツ。見た目も可愛いです。
普通はこのように袋詰めで売られています。
茎付きは1.50ポンド(約210円)、袋詰めは何と14ペンス(約20円)。量はほぼ同じですが、(どちらも安いですが)値段の差は10倍。「茎付きは10倍の美味しさなのかしら?」と試してみたのですが…食べてびっくり。10倍の価値アリアリの美味しさだったのです!
茎があるということは、直前まで芽キャベツが生きているということなのだと分かりました。瑞々しく、まるでジャガイモのようにほっこりと茹で上がります。日本で茎付きはあまり見かけないと思いますが、もし発見したらぜひ試してみて下さい。芽キャベツの概念が変わるかも…です。
「クリスマスディナー」とは、イギリスでは25日の昼食に食べるご馳走を指します。しかし我が家は25日にしっかり寝坊したため、昼食にご馳走を用意するなんて到底無理(笑)。
夕方までのんびりした後、ゆっくり作ったので夕食に食べました(←写真が暗い言い訳です)。
写真には写っていませんが、私はホースラディッシュをべっとり塗って食べるのが大好きです。
今回はテーブルセッティング等も何もせず。このローストビーフ以外は普段の常備菜をテーブルに並べて食べた、普段着クリスマスでした。
ぐうたらな日々は心地よいものですが、太る一方です。この冬は厳しい寒さの日も多いのですが、天気が良い日は散歩やジョギングに出かけています。
運動目的の外出はロックダウン中でも許可されています。マスク着用で散歩している人が多いです。
高いところまで大変だったでしょうw しっかり眺めましたよ。
— ハナコです:イギリスについてつぶやく (@uknews_murmur) December 20, 2020
電飾派手めの家で眺めてると、たま〜に中から人が出てくる時も。「綺麗ね〜」って言うと「thank you 😊!」と言いながらにんまり笑ってくれるのもいいな〜と🎄 pic.twitter.com/ArWht4e0IF
どこにも出かけられない分、家のライトアップを頑張った家庭が多いです。近所もキラキラしています。
イギリスは基本1月2日から平日なので、お正月はあまり重要ではありません。例年であれば、友人とどんちゃん騒ぎする大晦日の方が華やかです。
今年はイギリス的には良いカレンダーで、1月2日&3日が土日だったことから、遅めの仕事始めでした。
そんなちょっとのんびりした気持ちもあり、また自主隔離を続けている高齢の知人やお世話になっている近所の友人(日本人です)にちょっとでもお正月らしさを届けたくて、大晦日の午前中に「なんちゃってお節」を作ってみました。
お節をパック詰めし、掛け紙をかけて仕出し弁当風にしてみました。この掛け紙作りが1番楽しかったです。イラストを描いてスキャンし、ざらっとした手触りのA4のレター用紙に印刷しただけです。
大晦日の午後に3軒に配りに行き、「私の2020年のあれこれ」が終了。
翌朝元旦はまたしても昼まで寝坊し、お雑煮を夜食べた体たらくぶりです。
中身は「仕出し弁当版」とほぼ同じですが、我が家の分は一応重箱に詰めました。黒豆は一昨年の帰国時に持ち帰ったもの、田作りの代わりのいかなごのくぎ煮は夫のヒトの実家から送ってもらったお手製です。あとは近所のスーパーの材料のみで調理。伊達巻代わりのだし巻き卵、タラの南蛮漬け、スモークサーモン、鶏つみれ、ひたし豆、キュウリ&いくら、はんぺんがないので豆腐で作った海老しんじょ等。お煮しめ(里芋がない)代わりの大根の煮物も作りました。詰めやすさと日持ち重視の和洋折衷です。
お雑煮も三つ葉代わりのパクチーをたっぷり。「代わり」だらけのお節です。
日本にいる時はそんなに興味がなかったお節ですが、昨年帰国できなかったこともあったのでしょうか? 日本のお正月独特の雰囲気を思い出しつつ楽しく作りました。同じ気持ちの人は多かったようで、ロンドン在住の日本人の友人たちと「今年はなんちゃってお節やってみた!」という話題で盛り上がりました。
そんな風にあっという間に年末年始のお休みは終了してしまいました。
この記事を書いている1月5日から、イングランドが再びロックダウンになりました。
12月からロンドンは厳しい規制下にあり「事実上のロックダウン」でしたが、今回はイングランド全域が対象です。ウェールズ、北アイルランド、スコットランド(一部の島は除く)は規制強化が先行しており、これでイギリス全土がロックダウンとなったのです。
1/4 20時に、ボリスが 1/5からのイングランド全土の #lockdown を宣言。
— ハナコです:イギリスについてつぶやく (@uknews_murmur) January 5, 2021
ざっと要約を読む限り、Tier4とロックダウンの違いはほぼすべての学校がオンライン授業(一部の子供を除く)と運動が1日1回のみになったこと。後はあまり変わらない。https://t.co/SIgXGgt4Ok
変異種が猛威を振る中、住民は「当然の措置&むしろ遅かった」という受け止め方をしています。イングランドは2月中旬までこのまま厳しい規制が続く予定です。
しかし希望もあります。ワクチンの接種は急ピッチで進んでいます。ワクチン接種の方針や順番は既に決まっており、私の順番もそのうちまわってくるはずです。
今はとにかく籠るとき。家の中で出来ることを楽しみながら、過ごします。
近所の公園で見た夕暮れ。散歩やジョギング途中に見る自然の美しさに癒されています。
日本のニュースも毎日チェックしています。どうか皆さまも気を付けてお過ごしください。
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