保有資産をいかに運用していくかは、資産形成を成功させられるかどうかに直結する大きな問題。手堅い資産運用先のひとつに預金があるが、預金といっても、定期預金や普通預金など、さまざまな種類がある。
そこで今回は、定期預金に焦点をしぼり、利用するメリットがどこにあるのかを考えてみよう。
定期預金とは、銀行が提供している預金商品のひとつである。原則として一定期間引き出すことができないという特徴を持っていて、預入期間は複数の選択肢の中から選ぶことができる。
そのほか、定期預金には下記のような項目で違いがある。
・預入期間
1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年、2年、3年など、定期預金にはさまざまな預入期間があり、自由に選ぶことができる。最初に決めた預入期間中は原則として解約はできず、中途解約した場合は受け取れる利子が少なくなる。
・預入金額
300万円以上、1,000万円以上など、まとまった金額の資金を預け入れる際に利用できる、「大口定期」という定期預金を取り扱っている銀行もある。大口定期は、通常の定期に比べて金利が高い場合が多い。
・複利か単利か
複利は利子を元金に組み入れて利息計算をする方法で、単利は利子を元金に組み入れない方法だ。同じ金利だったとしても、複利で利息計算をしたほうが受け取れる金額が大きくなる。
・円定期預金と外貨定期預金
銀行の預金には、日本の通貨である「円」で預け入れを行う円預金と、海外の通貨で預け入れを行う外貨預金の2種類があり、定期預金にも円定期と外貨定期がある。
円定期と外貨定期にはそれぞれ異なる特徴があるが、ここでは円定期預金を取り上げて説明する。
・その他
まとまった金額を指定の期間預け入れる通常の定期預金のほか、毎月一定額を積み立てる積立定期預金や、一定期間経過後はいつでも引き出せる自由引き出し型定期預金、情勢によって金利が変わる変動金利定期預金など、金融機関ごとにさまざまな定期預金がある。
資産運用のひとつとして定期預金を選択する、5つのメリットを紹介しよう。
定期預金は、日本国内のほとんどの銀行で取り扱っている預金商品。そのため、定期預金を申し込むために、新たな銀行で口座を開設する必要はない。
普段、使っている銀行の普通預金を定期預金にするだけであれば、インターネットバンキングを利用している場合、ウェブ上で手続きを完結させることも可能だ。
円定期預金は、元本保証の資産運用方法だ。
原則として、最初に決めた預入期間が過ぎるまで引き出すことはできないが、たとえ中途解約したとしても元本は保証される。
円定期預金であれば、預金保険制度の対象になる。
万が一銀行が倒産したとしても、預け入れた資産は定期預金・普通預金等すべてを合算して、合計1,000万円まで保護される。
定期預金を利用するための手数料は無料だ。
「将来、銀行口座を保有しているだけで手数料が取られる時代が来る」などと話題になったが、現在、すでに休眠口座に対する手数料を導入している金融機関でも、対象になるのは普通預金口座だけで、定期預金は対象外となっている。
定期預金の金利は、一般的に普通預金の金利よりも高いことが多くなっている。
ゼロ金利政策がとられて以降、日本の預金金利は、普通預金も定期預金も微々たるものになっているが、少しでも高い利子を得たいのであれば、定期預金を利用するほうがいいかもしれない。
ただし、最近のネット銀行などでは、金利アップキャンペーンなどを利用すると、定期預金と普通預金の金利が逆転する場合がある。そのため、口座開設前に各金融機関の金利一覧をチェックしておくのがおすすめだ。
もっとも、いくら定期預金の金利が高いといっても、30年、40年前の金利とは比べ物にならないほど低い。利子は定期預金のメリットのひとつではあるが、あまり期待しすぎないほうがいいだろう。
金利がさして期待できない以上、定期預金の大きなメリットは元本保証や預金保険制度の対象という確実性だろう。
そこで、このメリットを活かしたおすすめの定期預金の利用方法を2つ紹介しよう。
定期預金は、預け入れるときに期間を選択できるため、使い道の決まっている資金を一定期間キープするのに適している。
使い道が決まっている資金は、元本割れするリスクのある投資に利用することはできない。しかし、普通預金に入れていると、どれが何のための費用なのかわからなくなってしまいがち。そこで、用途別の定期預金が役に立つのだ。
車検、車の買替え、学費、税金、保険の年払いなど、「支払い時期が決まっているまとまった支出」というのは少なくない。ボーナスが出たときなどに、それらの支払いのための金額を取り分けて、該当の時期まで定期預金を組んでおけば、うっかり使ってしまう心配もなくなるというわけだ。
老後資金や病気、リストラといった万が一に備えるための資金を普通預金口座に入れておくと、ついつい使ってしまったり、「こんなに残高があるのか」と気が大きくなってしまったりする。このような資金は定期預金口座に入れて、「パッとは見えないお金」にしてしまうのがおすすめだ。
定期預金であれば、何かあったときは中途解約もできるため、資金がロックされて使えないというリスクもない。
ただし、定期預金は物価の上昇によってお金の価値が下がってしまう「インフレリスク」に弱い。長期間の資産形成をする際は、バランスを考えながら投資と組み合わせて利用するのがいいだろう。
定期預金は、資産を大きく増やしてくれる運用先ではない。しかし、一定期間、確実に資産を守ってくれるという大きな強みを持っている。
利子だけに着目するのではなく、定期預金の特徴を理解して活用していくことで、家計管理に役立ててほしい。
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