リノベーション物件で人気の「躯体現し」の部屋。
躯体現しとは、建物の構造体である天井や梁・柱・壁などにクロスなどの仕上げ材を使わず、あえてコンクリート剥き出しのまま仕上げる手法のことである。
REISMの物件の多くのシリーズがこの躯体現しで、デザイン性が高く部屋の空間を広く使うことができるのが最大のメリットだ。
しかしコンクリートの性質上、どうしても木造の建物などに比べると結露しやすくなってしまうデメリットがある。
今回は、躯体現しやコンクリート打ちっぱなしの物件に住むときに、やっておきたい湿気対策についてお伝えする。
そもそもコンクリートは、セメント・水・骨材(砂・砂利)を混ぜ合わせて作られた建築材料のこと。使用された水の一部はセメントを固めるために使われるが、コンクリート全体が乾燥するまでには一般的に2~3年、場合によっては5年以上かかると言われている。
つまりコンクリートの表面は乾いているように見えても、内部は湿気た状態が数年続くということになる。筆者も新築のマンションに入居して1年経った頃、クローゼットに収納していた服が全部カビてしまった苦い経験がある。
また10年以上経った表面が乾いているコンクリートでも、実は常に表面から水分を取り込んでいるため、部屋の湿度が高いとコンクリートが湿った状態になることもある。
またコンクリートは木よりも熱を伝えやすいため、断熱性が低い素材である。そのため外気の影響を受けやすく、冬場など暖房を使うことで外と部屋の中の寒暖差が生まれるような時期には、部屋の中で結露が発生し、その水分を取り込んでコンクリート部分が湿った状態になりやすい。そうした結露している状態を放置していると、カビが発生する原因となるので注意が必要だ。
総じてもともとコンクリートが持つ特性上、住む人が何の対策もしなければ結露しやすく、カビが発生する確率が高くなってしまうのは仕方ないことなのだ。
それでもやっぱり躯体現しには独特のデザイン性や天井の高さなどメリットが多い。
躯体現しの部屋を選んで住むなら、コンクリートの性質を理解した上で、しっかりと湿気対策を行えばいいわけだ。
まずは1番の大敵である、結露を防ぎたい。
結露の発生する仕組みは、暖かい水蒸気をいっぱい含んだ空気が冷やされ「飽和水蒸気量」を超えると余分な水蒸気が水に変わり、窓や壁などに水滴がつく。グラスに冷えたビールを注いだ時に水滴がつくのと同じとイメージすると分かりやすい。
一般的に温度が低い冬のほうが結露しやすいが、梅雨の多湿の時期など限界量を超えた水蒸気があると夏でも結露は起きる。つまり結露は温度と水蒸気の量のバランスで発生するのだ。
日常生活での結露を防ぐポイントは、部屋の中での寒暖差を作らないこと。 また瞬間的に大量の水蒸気が発生する料理や入浴時、部屋干しの際は特に注意したい。
部屋の中で言うと、浴室や脱衣場はもちろん、クローゼットの中や家具の裏側も空気がこもり結露しやすい場所だ。そういった結露が発生しやすい場所では、わずかな空気の流れをつくるだけでも結露を防ぐ効果がある。
普段から意識して、次の5つの具対策を取り入れてみてほしい。
生活結露が発生しやすいのが家具の裏側。家具と壁がぴったりくっついていると、風通しが悪くなり、寒暖差が発生し、壁が結露しやすくなる。家具を設置する場合には、できれば家具と壁の隙間を5cmくらい開けておくようにしたい。また壁と家具の間に気流をつくることで、カビの発生も抑制します。
わずかな空気の流れでも結露を防ぐ効果があるため、クローゼットや押入れなどの扉は閉め切らず開けておくようにしたい。来客時などは閉めてもらってかまわないが、日常生活では基本的に扉を開けておく習慣をつけたい。また空気がこもりやすいトイレや洗面所も、換気をしつつ扉を少し開けておくとよい。この点でいうと、元々扉のついていないREISMのオープンクローゼットは結露対策の一つとも言える。
シンプルなのに思っているより効果があるのが除湿剤だ。除湿機に比べると除湿効果は低めだが、安価で誰にでもすぐに取り入れられる方法の一つである。除湿剤は置く場所によって形状を選ぶのが賢い。昔ながらの置き型タイプは部屋やクローゼットの床に、引っ掛けタイプは服と服の間に吊るそう。吸い取った水が溜まった状態で放置すると逆効果になるので、水が溜まったらこまめに取り替えることが重要だ。
置き型タイプの除湿剤と併用して使用をおすすめしたいのが、シート状になっているシリカゲルシートだ。シリカゲルは食品の中の乾燥剤として入っているイメージだが、湿気を吸収するだけでなく、消臭効果も抜群で、天日干しすると半永久的に使えると言う優れもの。好きな大きさでカットできるタイプは、靴の中や収納ボックスの中に入れたり、布団や枕の下に敷いたりと活用の仕方もさまざま。
1年中大量に湿気が発生する場所では、ぜひ除湿機の力を借りてほしい。本体価格は3万円〜と少々値がはるが、洗濯物を部屋干しする人にとっては、もはや必須アイテムと言える。除湿機は1年中使うのか、夏または冬だけ使うのかによって選ぶべきタイプが違うので注意したい。また衣類乾燥も目的にしている場合は、除湿能力が8L以上で、ルーバー(羽)つきのものから選ぶとよい。
躯体現しの部屋はデザイン性が高くスタイリッシュだが、コンクリートの性質上湿気対策をした方がよい。快適な暮らしを持続していくために、住む人が少しの工夫と意識を持って、上手に賢くお部屋とつき合っていってほしい。
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