物件選びでは、防犯性を重視してオートロック物件を選ぶ人も多いだろう。しかし、オートロックにはいくつか種類がある上、オートロック付きなら絶対に安全というわけではない。オートロック物件で失敗しないための選び方も把握しておくことが大切だ。
そこで今回は、オートロックの種類やメリット・デメリットのほか、オートロック物件を選ぶときの注意点などを見ていこう。
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そもそも、オートロックとはどのような設備なのだろうか。国土交通省住宅局の「平成30年 住生活総合調査結果」によると、オートロック物件とは「建物内に共用玄関のドアがあり、外からドアを開けるために鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要がある共同住宅」のことをいう。
住戸の鍵付きドアとは別に施錠されている共用玄関扉が物件内にあり、施錠されていれば居住者以外の侵入を防げる点が特徴だ。
オートロックにはいくつか種類がある。それぞれの特徴を簡単に紹介しよう。
集合キー式とは、住戸の玄関扉と同様に、差し込み型の鍵で開錠するタイプで、最もスタンダードなオートロックだ。合鍵があれば開錠できるため、鍵を複製されるリスクだけではなく、住人が鍵を紛失する危険性もある。
暗証番号式は、テンキーに暗証番号を入力して開錠するオートロック。鍵の紛失や合鍵を複製されるリスクはないが、背後から暗証番号を見られてしまうおそれがある。
カードキー式は、カードで開錠するタイプのオートロックで、複製が難しいためセキュリティ性が高い。一方で、カードキーの破損や紛失のリスクがあるため、カードの取り扱いには注意したい。
ハンズフリーキー(非接触キー)は、住戸の鍵にICチップなどを搭載し、鍵をかざすだけで開錠する。中には、バッグやポケットに鍵を入れたままでも開錠できる物があり、スマートキーとも呼ばれる。こうしたオートロックは鍵の複製が難しく、紛失のリスクも少ないところが利点といえるだろう。
また、高級マンションなどでは、指紋や顔をセンサーにかざして開錠する非接触キーが導入されているところもある。
オートロックの一番のメリットは、その建物の居住者以外が出入りしにくいという点にあるだろう。オートロックのいくつかのメリットについて、詳しく見ていこう。
オートロック物件の住居エリアに入れるのは、原則として居住者だけとなる。無関係者は侵入できないため、安心感につながるだろう。
訪問営業などと顔を合わさずに断れるのもオートロックのメリットだ。しつこい勧誘も、インターフォンを切ってしまえば済む。
オートロック物件は住戸内に侵入するまでに、エントランスと住戸の玄関という2つの鍵を突破しなければならないため、空き巣は避ける傾向がある。また、ストーカー対策ができるのも、一般的な鍵の物件にはないメリットだ。
安全性が高いオートロックだが、メリットもある。オートロックの物件を選ぶ前に、デメリットも確認しておきたい。
居住者がオートロックを開錠したタイミングで、部外者が後ろから侵入できる可能性は十分にある。そのため、オートロックは部外者の侵入を100%防げるわけではない。
鍵を忘れて外出すると、閉め出されてしまう点にも注意したい。部屋に家族などがいれば開錠してもらえるが、一人暮らしの場合は手続きなどが必要になることも。
オートロック物件はマンションタイプに多く、一般的な物件よりも機能性が高いため、どうしても家賃が割高になってしまう。
続いては、オートロック物件の注意点を、主な侵入トラブル別に紹介する。それぞれ、対策すべきポイントも紹介するので、日々の防犯性を高めるためにも確認しておこう。
居住者の後をついて、オートロックが開錠されるのを見計らって関係者以外に侵入されてしまうケースは多い。
対策としては、居住者以外の人と建物内へいっしょに入らないよう注意することや、不審に思ったときはいったん建物の外に出ることなどが挙げられる。
また、侵入者はオートロックの開錠に手間取っている住人を装うケースもあるため、そのような人を追い抜いて開錠しないことも大切だ。
オートロックにわかりやすい暗証番号を設定していると、見抜かれて侵入されてしまう可能性もある。
個別に暗証番号を設定できる場合は、他人にはわかりにくい暗証番号を設定することがポイントだ。居住者の誕生日や電話番号の下4桁などは避けよう。
集合キータイプは作りが簡単な物もあり、鍵を複製して侵入されてしまうケースもある。
個人での対策は難しいが、物件選びの際に不動産会社や貸主側にどのような対策がされているかを確認しておくと安心感を得られるだろう。
ここでは最後に、オートロック物件を選ぶ際に確認すべきポイントを見ていこう。
オートロックにはさまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットがある。オートロック付きの物件を選ぶ際は、こうしたことを踏まえて検討しよう。
また、玄関ドアに隙間はないか、監視カメラの有無やカメラの死角となる場所はないかなど、玄関の構造やオートロック以外の部分も確認したい。
マーキングサインとは空き巣などが使うサインで、表札やポスト、ガスメーター、電気メーター、ドアの目立たないところなどに書かれているケースが多い。
主なマーキングサインごとの意味を参考に、こうしたサインが書かれている部屋がないかも確認しよう。
■主なマーキングサインと意味
オートロック物件の中には、集合ドアや共用の玄関以外に侵入経路が存在するケースも。非常階段の塀や手すりが低く設置されていないか、死角となる部分はないかなども必ず確認しよう。
建物の勝手口や非常口が普段から開け放たれていると、せっかくのオートロックも効果がなくなってしまう。こうした扉がきちんと施錠されているかどうかも、内見時にチェックしよう。
オートロックでも完全に侵入者を防ぐことは難しく、物件選びや日頃の防犯対策でセキュリティ性を高めておく必要がある。
しかし、オートロックがあることで安心感が得られることも確かなため、オートロックを上手に活用しつつ、自身も防犯意識を高めながら生活しよう。
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