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都心へ出やすく、駅からも近い。
けれど少し歩けば、騒がしさはふっと遠のいていく。大通りから一本入った住宅街には、夜になると穏やかな灯りが並び、スーパーには仕事帰りの人たちが静かに集まってくる。

彼がこの街を選んだ理由も、派手なものではなかった。
「駅から近いのはやっぱり便利ですね。前の家が結構歩いたので、今はだいぶ楽になりました」
仕事はテレワークも可能だが、基本は出社派だという。
「家にいると料理したくなるんですよね。仕事との境目がなくなっちゃうので、ちゃんと外に出たほうが切り替わるというか」

そう笑う姿からは、暮らしと仕事、そのどちらも丁寧に扱おうとする人柄が滲む。
朝早く家を出て、少しラッシュを避けながら通勤する。
そして夕方には帰宅し、冷蔵庫を開け、その日の食材を眺めながら夜の献立を考える。
彼にとって、この部屋は“ただ帰る場所”ではない。
好きなものに向き合うための、静かな拠点なのだ。
REISMを知ったきっかけは、デザインでも立地でもなく“キッチン”だった。
彼が求めていたのは、とにかく“料理をしたくなる部屋”だったという。

学生から一人暮らしを続けてきた彼にとって、料理はずっと身近なものだった。最初は節約のため。けれど社会人になり、少しずつ生活に余裕が生まれるにつれて、“食べるための料理”は“楽しむための料理”へ変わっていった。

「社会人になってからですね。ちゃんと食材を選んだり、器を合わせたり、そういうのが楽しくなってきたのは」
そんな中で辿り着いたのが、REISMの“キッチンシリーズ”だった。
「料理をしたくて、ずっとキッチンが広い物件を探してたんです。でも、一人暮らしでここまでちゃんとしたキッチンってなかなかないじゃないですか。結構色々な物件を見ていたんです」
ネットで物件を探し続ける中、辿り着いたのがREISMの“Kitchenシリーズ”。
だが当時は空室がなく、しばらくウェイティング状態が続いていたという。
そんなある日、REISMが開催していたイベントに参加した際、スタッフから「内見可能の部屋があります」と声をかけられた。


「じゃあ内見させてくださいってお願いして。実際に来たら、もう一目惚れでしたね。部屋の雰囲気も去ることながら、充実したキッチンが目に飛び込んできて(笑)。この後にも内見が入ってるって聞いて、“じゃあ決めます”って、その場で即決しました」
写真ではわからない空気感。
部屋に入った瞬間にわかる、“ここで暮らしたい”という感覚。
それは物件探しというより、どこか“出会い”に近かったのかもしれない。

「部屋を見渡すと、やっぱりキッチンが中心なんですよね」
玄関を抜けると、まず目に入るのは大きなキッチンカウンター。
ステンレスの天板は鈍く光り、整然と並ぶ調理器具やグラスたちが、この部屋の空気を形づくっている。

キッチンカウンターのダイニングスペースには、ゆったりと背を預けられる重厚な椅子が置かれ、料理をしたその流れのまま食事ができる。
まるで小さなダイニングバーのような構造だ。
「ここで料理して、そのままここで食べてます。友人が来た時も自然とここに集まりますね」
さらに印象的なのが、部屋の中に置かれたルーバー。
空間を完全に遮断するのではなく、ゆるやかに視線を分ける存在だ。
「最初はそうしようかなとも思ったんですけど、実際暮らしてみると、これがあることで部屋にメリハリが出るんですよね。ちょうどここに棚をおいてお酒を並べて



料理をする場所。
食事を楽しむ場所。
音楽を聴きながらくつろぐ場所。
ひとつの空間の中に、ちゃんと“気分の切り替え”がある。
それは、彼自身が暮らしに求めているものなのかもしれない。
夜になると、この部屋の空気はさらに深くなる。
好きな音楽を流しながら、キッチンに立つ。
冷蔵庫から食材を取り出し、グラスを選び、その日の気分で酒を開ける。
「帰ってきて料理して、美味しいお酒飲んで、音楽聴いて。それが一番好きですね」

棚にはウイスキー、日本酒、ワイン。
どれも“飾るため”ではなく、ちゃんと日々の時間に溶け込んでいる。
「お酒は好きなんですけど。お酒はここに入る分だけって決めてるんです。棚を増やすと、たぶん際限なくなっちゃうので(笑)」
そんな言葉からも、“好きなものをちゃんと選び取っている人”だとわかる。
艶を抑えたステンレス。

マットな質感の家電。
曲線の美しいアンティーク家具。
部屋全体に統一感があるのに、どこか静かで、肩肘張っていない。
「テカテカしたものより、ちょっと落ち着いた質感が好きなんですよね」
好きなものを増やすのではなく、好きなものだけを残していく。
そんな美意識が、この部屋には自然と漂っていた。
REISMで暮らし始めてから、彼の生活には新しいコミュニティも生まれた。
その名も“キッチン会”。

入居者同士のコミュニティが出来上がるのもREISMならでは。同じKitchenシリーズに住む人たちが集まり、それぞれ料理を持ち寄って食卓を囲む会だ。
「キッチン会っていうのがあるんですよ。いろんなキッチンシリーズの部屋を回って、料理を持ち寄って。こういう繋がりができたのは、本当に良かったなって思います」
「料理好きって、“食べるのが好き”とはまたちょっと違うんですよね。作る側の話ができるのが面白いんです」
テーマを決めて開催することも多いという。
和食の日。エスニックの日。鍋の日。
「みんなでそれぞれ持ち寄るんですけど、不思議と料理が被らないんですよ。5〜6人いるのに、“そんなの作ってくるんだ”って毎回驚きがあって。Kitchenシリーズに住んでいるだけあって皆さん料理に詳しくて(笑)。美味しいし楽しいです」

誰かの部屋へ行くたびに、新しい刺激を受ける。
器の使い方。
照明の置き方。
キッチンの工夫。
暮らし方そのものを共有し合える関係性が、そこにはある。
「“こんな使い方あるんだ”とか、“こういう料理もいいな”とか。毎回かなり刺激受けますね」
料理は、一人でも楽しい。
けれど、誰かと持ち寄ることで、暮らしはさらに豊かになっていく。
彼の部屋には、古い家具や器が多い。
1950〜70年代頃のヴィンテージ花瓶。
作家ものの器。就職祝いで買った照明。
どれも、“なんとなく”選ばれたものではない。

「引っ越す前に、かなり物を整理したんです。“いつか使うかも”ってものは全部手放して、“これなら一生使いたい”って思えるものだけ残しました」
器もまた、その一つだ。
展示会へ足を運び、作家本人と言葉を交わしながら買うこともある。
「作家さんから、“好きなように使ってください”って言われた器を、今は鍵置きにしてます」

用途より先に、“愛着”がある。
だからこそ、この部屋には生活感があるのに、美しい。
この部屋には、派手なものはない。

けれど、料理をする時間。音楽を流す夜。お気に入りの器を選ぶ瞬間。お酒を嗜む時間。
そういう“日々の小さな豊かさ”が、丁寧に積み重ねられている。
「食と音楽ですかね、うちはやっぱり。美味しいもの食べて、美味しいお酒飲んで、いい音楽を聴く。それがあれば、もう十分です」



好きなものを、ちゃんと好きでいること。
そして、そのための空間を自分で整えていくこと。
キッチンに灯る柔らかな光は、そんな“大人の暮らし”を静かに照らしていた。
部屋で過ごすことが多いということだが、住んでいるエリアもとても気に入っているという。街散策をすることもよくあるのだとか。
「私が住んでいる場所は静かで過ごしやすいんですけど、駅前はスーパーやドラッグストアなど生活に必要なお店があるし、飲食店も多くて。沿線にもカフェや雑貨屋さんが多いので、美容院に行くついでに寄ることも。最近、美味しい和食を提供してくれる古民家カフェを見つけたので、時間があるときはよく行っています。家だけじゃなく、街も満喫していますね(笑)」
Text: Taichi KodamaPhotograph: Hiroshi Yahata

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