File No.109Garage K.Mさん work:IT係

朝の光も、夜の余白も。
街のリズムに合わせて暮らす、二度目のREISM

街に近づいた部屋で、1日の輪郭が変わる

朝、カーテン越しに光が落ちると、部屋の中に静かなざわめきが生まれる。
古着のラック、ミシン台、アウトドアギアの棚。彼の部屋は、都市のワンルームでありながら、どこかガレージのようでもあり、山小屋のようでもある。

以前は、少し離れた街に住んでいた Mさん。

「前の街は、落ち着いてて、住むには最高だったんです。でも、もう少し“街の活気”に触れたくなったんですよね」

以前もREISMの部屋で、自分の“好き”を丁寧に編み上げるように暮らしていた。
今回の引っ越しで、彼は街の中心へと拠点を移した。

周囲にはカフェ、古着屋、ギャラリー、飲食店。夜遅くまで灯りが消えない通り。
都市のリズムが、彼の生活のテンポを少しだけ変えた。

「このエリア、なんでもあるんですよ。前の街に比べると服も、素材も、飲み屋も。歩いて全部揃う感じが、すごくいいんですよね仕事終わりにご飯食べる場所に困らなくなったのが、いちばん大きいかも。前は『もう閉まってるかも』って気にしてたけど、今は『どこ行こうかな』って考える感じが楽しいんです」

静かな街から、都市の鼓動へ。
引っ越しは単なる移動ではなく、生活の設計図を書き換える行為なのだと、彼の部屋は教えてくれる。 昼は穏やかで、夜になると街がゆっくりと目を覚ます。その境界線のような場所に、Mさんの新しい部屋はある。

街の選択肢が増えたことで、Mさんの1日はより立体的になった。

「夜遅くても人がいて、でもうるさすぎなくて。なんか、ちょうどいいんですよね」
そう言って、窓の外をちらりと見た。

部屋を変えることは、生活の舞台装置を変えること。
今回の引っ越しは、彼の時間の流れそのものを更新する出来事だった。

“またここに帰ってきた”という選択

今回の住み替えでも、彼はREISMを選んだ。
その理由を尋ねると、少し照れたように笑う。

「正直、前の部屋がめちゃくちゃ良かったんですよね。だから、次もREISMで探そうって、割とすぐ決めてました」

リノベーションの質感、造作収納、色のトーン。
“暮らすために考えられている”という感覚が、彼の記憶に強く残っていたという。



「デザインだけじゃなくて、“住んでみてどうか”がちゃんと考えられてる感じがして、無理して住んでる感じがしないんですよ」

今回の引っ越しは、転職とも重なった。
職業はIT係。働き方は出社中心から、リモートワーク中心へと変わった。

「昼はほぼ家で仕事ですね。出社は週に1〜2回くらい。夜はジム行って、帰ってきてご飯食べる、みたいなルーティンです。前より家が“拠点”になりました。外に出る場所というより、戻ってくる場所っていう感覚が強くなりましたね」

仕事も、休息も、食事も、部屋の中で完結する時間が増えた。
だからこそ、空間の質が生活の質に直結する。
「部屋が好きじゃないと、ずっとここにいるのしんどいじゃないですか。背景がずっと嫌だと、仕事も気分も全部影響されるなって」

二度目のREISMは、“好き”を再確認する選択でもあった。

朝、思考が立ち上がる場所

部屋を見渡すと——
まず目に入るのは、新たに置かれたデスク。
前の部屋にはなかった、“仕事専用の場所”だ。

「仕事用の机、ちゃんと置きたくて。前は別の場所でやってたんですけど、集中力、全然違いますね。ほんとに」

モニター、キーボード。
仕事に集中できる最低限のアイテムが、整然と並んでいる。

「ここに座ると、スイッチ入るんですよ。逆に、ここから離れると『あ、もう仕事終わり』って気持ちになれるというか」

リモートワークの時間が増えたことで、部屋の中に“境界線”が必要になった。
デスクは、仕事と私生活を分けるための小さな境界だ。

朝はコーヒーを淹れ、パソコンを開く。
外の光を横目に見ながら、静かな時間に仕事を進める。

「朝、意外と静かなんですよ。街にいるのに、ちょっと不思議な感じ。集中できます。昼過ぎになると街の音が増えてきて、それもなんか好きで。“あ、みんな動いてるな”って思いながら仕事してます」

部屋の中で、彼の思考はゆっくりと立ち上がっていく。

暮らしが循環し一日の流れを作る、部屋という地図

オンとオフを切り替える境界線



デスク周りは、あくまでシンプルに。
「ごちゃごちゃすると集中できないんですよね」と彼は笑う。

「仕事のものは、ここにだけ置くって決めてます。そうしないと、ずっと仕事してる気分になっちゃうんで。逆に、ソファ側はなるべく仕事感出さないようにしてます」

風が通る、リセットのポイント

仕事の合間、椅子から立ち上がって窓を開ける。
風が入るだけで、思考の温度が変わる。

「ここに立つと、ちょっと外に出た気分になります。散歩行くほどじゃないけど、外の空気吸いたい時にちょうどいいんですよ」

夜のためのキッチン

キッチンでは、夜遅くに簡単な料理をする。
リモートになってから、外食と自炊の選択が増えた。

「夜遅く帰ってきても、自分で簡単に作ることが増えました。外で食べるのもいいんですけど、家で適当に作る方が落ち着く時もあって。料理っていうほどじゃなくて、焼くだけとか、切るだけとかなんですけど」

そう言いながらも、キッチンは整然としている。

本を開く、静かな時間



ソファは読書とスマホ、テレビなどゆったりと過ごす場所。
仕事のあと、静かに本をめくる時間が好きだという。

「ソファで本読んでると、『あ、今日終わったな』って感じがします。仕事と夜の間のクッションみたいな時間ですね」

最後に戻ってくる、テレビの前

そして結局、一日の最後に戻ってくるのは同じくソファ。テレビの前。



「なんだかんだ、ここが一番落ち着きます。ソファに座ってテレビ見るの、好きなんですよね。サブスクの配信やゲームをやったり、この場所は一番のリラックススペースです」

仕事、食事、休息。
部屋の中に、1日のすべての場面が配置されている。
彼の暮らしは、部屋の中を一周することで完結する。

外でも内でもない、ベランダという余白

今回の部屋で、彼がとくに気に入っているのがベランダだ。
前の部屋にはなかった、“外に開いた余白”。



「ベランダがあるの、結構大きかったです。正直、ここが決め手のひとつになったかも」

椅子に座り、スマホを眺める。
風の匂い、遠くの車の音、人の声。
街がすぐそこにあることを、静かに感じられる場所。

「散歩に行かなくても、外にいる感じがするんですよね。人の動きは見られるけど向こうからは見えない。静かでちょうどいい距離感。昼間はここに出てコーヒー飲んだりしてます。なんか、考え事するのにちょうどいいんですよ」

ベランダは“歩かない散歩”のような場所だ。
街と距離を保ちながら、街に触れている。

仕事の一息。ジム帰りの夜。
少しだけ椅子に座って、深呼吸をする。

「ここでぼーっとする時間、けっこう好きです。今日も一日終わったなって思える場所ですね」

外でもなく、内でもない。
そのあいだにある時間が、彼の暮らしにやさしい余白をつくっている。

街に近づき、暮らしが立体になる

街に近づくことで、彼の1日はより自由になった。
仕事も、食事も、運動も、休息も。
すべてが軽やかにつながり、部屋に戻ってくる。

「前より、生活のリズムが整った気がします。部屋が拠点になって、街が延長になった感じですね。街に住んでるというより、街と一緒に暮らしてる感じがして」

そう言って、少し考え込むように笑った。

好きなものに囲まれ、好きな街に近づき、好きな過ごし方を更新していく。
部屋はただの箱ではなく、彼の時間の設計図になっている。

今日も彼は、デスクで仕事を終え、ジムへ行き、夜の街を歩いて帰ってくる。
そしてベランダで風を感じ、テレビの前でくつろぐ。

部屋を変えたことで、1日の輪郭が変わった。
その輪郭の中で、彼はますます自分らしく暮らしている。

Text: Taichi Kodama
Photograph: Hiroshi Yahata