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何代にもわたり受け継がれる伝統工芸品。職人の手によって丁寧に作られたものは一つとして同じものがなく、その装飾美と機能美は、日本のみならず世界の人をも魅了する。「Organic」に住むSさんも、伝統工芸品に魅了されたひとり。
「職人が作り出すものは、美しいだけじゃなく使い勝手も素晴らしくて。今では、縁あって伝統工芸品を世に発信する仕事をしているんです」
もともとアパレルで仕事をしていたというSさん。コロナ禍の最中に仕事を辞め、友人のセレクトショップでフリーランスの販売員として働いていたそう。そこで日本の工芸品に触れ、日本の伝統の素晴らしさを再認識したという。
「日本のものづくりの素晴らしさを知ったと同時に、後継者問題や経済的な課題など、抱えている問題を知るきっかけになって。こんなに素敵な物を衰退させちゃいけない……私にできることはないかなと思って、販売の経験やプレスとして得た知識を活用して、フリーで物販のディレクションやコーディネーターとして携わることになったんです。家に置いているほとんどのものが、仕事で出会った職人や作家さんが作ったものなんですよ」
海外のホテルのような上質な雰囲気を醸し出すOrganicの部屋に、存在感を放つ数々の工芸品。ブラウンに染色されたラワン材の壁や天井と同系色のキャビネットの上には、工芸品のほかにアンティークの小物がセンス良く並んでいる。
「キャビネットの右の羊の置物は、岐阜の作家さんがつくったもの。花瓶は行く先々で知り合った作家さんの作品で。仕事柄、国内外どこにでも行くので、そこで見つけた素敵なものを飾っています」
色や形はバラバラ。それをまとまって見せるのは、Sさんの美的センスのなせる業。アイテムも素敵だが、置かれているキャビネットや椅子も、この部屋によく合っている。
「アンティークの家具や雑貨、服も好きなんです。このキャビネットは、手伝っている会社の店舗改装時に貰ったもので。使われていなくてもったいなかったし、なかなか見ないデザインで素敵なので、使ってないならください! ってずっと言ってて。アンティークで結構高いらしいんですけど、ずっと粘って言っていたら貰えました(笑)」
ケラケラと明るく話すSさん。その明るさと仕事に対する熱量の高さを知ると、仕事相手の方も首を縦に振りたくなってしまったのかもしれない。
キッチン横のスペースにもウッディな棚が置かれ、職人や作家の作品が並ぶ。
「棚の左上に置いている南部鉄器は、大谷選手が紹介したことで世界的に有名になったんですけど、もともとは継承問題や発信が上手くできないという悩みを抱えていて。南部鉄器のブランディングを担って、職人さんにインタビューをしたり東京での販売ルートを広げたりと、循環の手伝いをしているんです。この南部鉄器は、職人さんからお礼でいただいたもの。この部屋は床がグレータイルなので、こういった渋いものもマッチするのでいいんですよね」
「ピンクの盆栽はTOUFU TOKYOのドライ盆栽。枯れてしまった盆栽に、プリザーブド仕様の枝葉をつけているんですよ。アートとして飾るものなので、お水をあげる必要がないんです」
陶器のカップやグラスも、仕事を通じて頂いたり購入したものだという。部屋に置いているものは、ほとんど縁で紡がれたもの。
「色んなプロジェクトが並行して進むこともあるので、色々な場所に行くし、たくさんの人に出会うんです。ある時は、福岡出張に行っている間に香港出張があって、そのあとすぐに関西に行って設営の準備から入ったことも。さすがに、自分が今どこにいるのか分からなくなりましたね(笑)。でも、たくさんの人に知ってもらう手伝いができることが嬉しくて。私の部屋は、人とのご縁でできているんです」
人のために全力を尽くし、人とのご縁を大事にする。この部屋は、Sさんの人柄がそのまま表れているようだ。
(左)キッチン横の備え付けの棚下にシルバーのオープンラックを置き、日ごろ使うアクセサリーや時計、化粧品などを置いているそう。「このモナリザが描かれたリップは台湾で買ったもの。デザインが可愛くて一目ぼれでした」(右)棚の上には鏡を置いて、ドレッサーのように使っているという。置き方のセンスも見習いたい。
Organicの部屋に住み始めて1年半経ったというSさん。何がきっかけで、この部屋に住むことになったのだろう。
「今までは都心部に近いエリアに住んでいたんですけど、下町に近いところの方が仕事をするうえでやりやすいなと思って。REISMの物件自体は知っていたので、エリアと自分好みのデザイン、そして広さで探したときに、ちょうどこの部屋の募集が出たのですぐに内覧の申し込みをしたんです。聞いたら予約1番目だって言っていました(笑)。実際に見てみたら、思っていた以上に良くて。内覧後すぐに決めました」
Sさんが住むエリアは、古き良き下町の雰囲気がありながらも、住宅や商業施設の開発が進む、伝統と現代が融合する街。
「家の近くには大きいスーパーや百均もあるし、交通の便もすごく良くて。はじめてのエリアでどうなんだろう……って心配もしていたけど、まったく問題なかったです(笑)」
今では、ホテルライクの部屋をさらに自分好みにアップデートし、お部屋時間を満喫しているそう。中でも目を引くのが、ルーバーでゆったりと仕切られたベッドスペース。鮮やかなロイヤルブルーの絨毯がなんとも印象的。
「海外のホテルのような部屋にしたくて、ネットで海外のホテルの内装を色々見ていたんです。その中に、この部屋と造りが似ていたホテルにブルーの絨毯が敷かれていて、それがすごく素敵で。部屋の区切りにもなると思って、ベッドスペースに絨毯を敷きました」
ロイヤルブルーの絨毯が映えるように、ベッド周りやカーテン、オープンクローゼットの目隠しカーテンは白で統一。部屋が広く見えるようにローベッドにし、アクセントで椅子やラグを置く。ホテルライクでスタイリッシュな中に、Sさんらしい柔らかな雰囲気を醸し出している。
「ベッド周りは必要最低限の物を飾ってホテルのような部屋にしました。花を生けている花瓶や器も、一緒に仕事をした作家さんが作ったものなんですよ」
この部屋のベッドスペースは、もともと木の造り。そこに絨毯を敷くことで、よりホテルライク感が増している。部屋の区切りもより強調され、空間の活用も見事。
「元の造りが好みだったので、そこに自分らしさを足した感じで。この部屋は、場所によって色んな見せ方ができるのですごく楽しいんです」
Organicが持つ上質な雰囲気を、Sさんによってさらに魅力的に。部屋をお洒落に格上げする術が、要所要所に詰まっていた。
(上)「時間がある時は料理をするんですけど、仕事で夜遅くに帰ることが多くてなかなか作れなくて。帰りにスーパーに寄って何食べようかなって考えるのが至福の時間です(笑)」(左下)「背もたれが高い椅子はアンティークのもの。脆くなっているので座ることはできないんですけど、インテリアとして飾っています」横には木枠の姿見を置き、まるでショップのよう。(右下)「これは池尻にあるTHE GLOBEというアンティークショップで買ったタッセル。この大きさのタッセルって珍しいですよね」部屋の雰囲気に合うと、直感で購入を決めたというSさん。木貼りの壁に良いアクセントを与えている。
Organicの部屋での暮らしを満喫し、仕事に勤しむSさん。これから先も、たくさんの人に出会い魅力的な工芸品に出合うのだろう。
日本のみならず世界各地に行くことが多いので、東京だけでなく、地方や海外での暮らしを考えたりはしないのだろうか。
「海外と取引することも多いので、海外移住を考えたことはあります。でも、日本のものを伝えるうえで、やっぱり日本で暮らした方が色々やりやすいんですよね。いずれ海外と日本の二拠点生活ができたらいいなとは思ってます」
「でも、あんまり未来のことは考えないようにしているんです。考えているのは、歳を重ねても楽しいことを続けられたらいいなってことだけで。あとは、人の役に立つことをもっとできたらいいなと。人が喜んでくれるのが嬉しいので、誰かのサポートができたらという想いは常に持っています」
『誰かの幸せのため』これこそ、Sさんを動かす原動力。ぶれない想いは、これから先もきっと素敵なご縁を結ぶだろう。
「そうだといいんですけど(笑)。今は有難いことに、色んな企業からお仕事の依頼をいただいていて、その想いをちゃんとカタチにしていきたくて。悩みの形は様々だけど、困っているってことはみんな一緒で。それを自分なりに改善していきたいですね」
Sさんの言葉に想いが宿る。責任を持って発した言葉は言霊となり、いずれたくさんの人の笑顔に繋がるだろう。
そしてこの部屋に、一つまた一つと、縁を紡ぐ物が増えていくのだ。
(左)玄関スペースに設けられた飾り棚には、アンティーク雑貨のほかに海外のコインと紙幣が。ディスプレイの仕方が秀逸。(右上)玄関横のワイドラックの上にも、センスの良い小物が並ぶ。雑誌の上にアクリルケースに入った眼鏡を置き、取る際に表紙が見えるようになっている。このちょっとしたアイディア、Sさんのクリエイティブな才能が良くわかる。(右下)「『マツコの知らない世界』にも出ていた洗濯ブラザーズと仕事をしていて、週3回お店に手伝いに行っているんです。洗濯ブラザーズが開発した洗剤がすごく良いので、家でも使っているんですよ」
Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata
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