File No.98Teida A.Oさん work:ECマーケター

青空よりも星空を。
心休まる自分だけの小宇宙。

部屋を決める際に、大事なポイントとなる“譲れない条件”。収納が多い、キッチンが広い、駅から近い、立地が良い、2階よりも上……人それぞれ譲れない条件は異なるが、Oさんの条件はかなり変わっていた。

「とにかく陽が入らない部屋が良くて。太陽に当たるのが本当に嫌で、陽当たりが良くない部屋を探していたんです。色々探して見つけたのがこの部屋で。職場からも近くて、すぐに決めました」

都心にほど近く、大通りから一本入った裏通りに位置するREISMの物件Teida。住宅地に建つマンションの一室で、他の物件に比べると陽当たりはやや劣るが、駅近で周囲には公園や飲食店があり、そのうえ静か。Oさんは陽当たりの面が決め手になったというが、実は住みやすさの条件が揃った物件。そんなTeidaの部屋でどんな暮らしをしているのだろう。

「普段からカーテンを閉めて、徹底して陽の当たらない生活をしています(笑)。スーパーインドアで、スーパーテレビっ子。だから、ずっと家にいても飽きないんです。仕事もリモートですることが多いから、本当に家から出なくて。心の衛生環境的には良くないんですよね」



「前に住んでいた部屋も陽当たりが良くなかったんですけど、いわゆる一般的な部屋の造りで。スーパーインドアではあるけど、仕事は基本リモートで家から出ることが本当になくて、心が滅入ってしまったんです。この部屋は、床や天井に木を使っていて温かみを感じるので、ずっと家にいても心が冷たくなることがないんですよね。そんな温かい感じも決め手になったポイントです」

Teidaは沖縄方言で「太陽」を意味する。沖縄伝統の花ブロックをはじめ、表面の凸凹を残した「浮造り仕上げ」の無垢のパイン材フローリング、玄関からのアプローチにはウォルナット材を使用し、やさしい木の風合いが来るものを温かく出迎えてくれる。

太陽を避けるようにして生きるOさんだが、こういった形で太陽と共存することになるとは、なんとも不思議な縁だ。

「この部屋に住んで3年くらい経つんですけど、越してきた当初は部屋に合う家具を持っていなくて。部屋が持つ温かい感じを大事にしたくて、木やアイアンを使った家具を揃えました。アイアンって人の手が入っている感じがして、温かみを感じるんですよね」

「ベッドの横にはサイドテーブルとして使えるDRAW A LINEを置いています。部屋のポイントにもなるし、使い勝手が良いんです。木とアイアンを使ったデスクはanthem(アンセム)で買いました。アンティーク調の椅子は、ゆったり座れるサイズを探していたときにネットで見つけたもの。椅子の上であぐらをかくので、広めじゃないとダメなんです(笑)」

無機質でありながら温かさを持つソフトインダストリアルな家具たち。相反するものだからこそ、お互いの良さを引き出している。相反するものといえば、実はOさん、フットサルが趣味だという。お家好きを公言しているので、ちょっと意外に感じてしまった。

「そうなんです、スーパーインドアなんですけど運動はしているんです(笑)。子どもの頃に地域のクラブに入っていて、サッカー歴でいったら18年くらい。でも明るい時間には絶対やらないです。夜の9時からはじまるから、続けられている感じで。太陽の光は嫌だけど月の光ならいいんです(笑)」

月の光を好む、太陽嫌いの太陽暮らし。なんて不思議な巡りあわせなのだろう。滅多に起こることのない皆既日食くらい、珍しくも貴重な出会いといえそうだ。

(左)「右に飾っているのはぺこの絵師さんが描いた『LEON』のイラスト。繊細なタッチがすごく素敵で買いました。左は、せっかくなら映画つながりで何か飾ろうと思って探していた時に見つけた、『セッション』のポスター。どちらも好きな映画なんです」(右)スーパーインドアであり、スーパーテレビっ子でもあるOさん。ライティングレールにプロジェクターを吊るし、ドラマやバラエティ、アニメ、映画などを堪能しているという。

部屋の中で眺める星に、
癒されながら眠りにつく日々。

太陽の引力のごとく、Teidaの魅力に惹かれ住人となったOさん。この部屋に飾られたあるものを見つけて、この出会いが単なる偶然ではなく必然だったのでは?と思い始めた。

「星にまつわるものが多いですよね。昔から星を見るのが好きで色々集めてて。宇宙の勉強がしたくて天文学を学んでいたんです。父が学校の先生だったこともあって、教員の免許を取って小中の理科の授業を教えていたんですよ」

理科の先生だったとは驚き! でも、穏やかな話し方で説明上手な面を見ると、先生だったというのも頷ける。

「ずっと理科室に籠っていたので、子どもたちからは『理科室の番人』って呼ばれていたんです(笑)。配属された学校に父が教頭でいたので、一緒に登校したこともありました」

宇宙への興味から教師の道へ進み、今の仕事に転職をしたというOさん。今でも星や宇宙にまつわるものが大好きだという。そういえば、壁にかけている絵の横には、星空がプリントされたパズルも飾られていた。

「星を見ることが好きなので、たまに標高の高い山に行って星を見たりするんですけど、家の中でも星を見たくて家庭用のプラネタリウムを買ったんです。真っ暗にすると良く見えるんですよ。映してみますか?」

カーテンをぴっちりと閉めて外からの明りが入らないようにし、部屋は真っ暗に。

「準備はいいですか? 映しますよ~」



見上げると、天井一面に満天の星。幻想的な空間に見惚れ、ここがOさんの部屋だということを忘れてしまいそうになる。

「ベッドの上に横になりながら、ヒーリングミュージックをかけて眺めるんですけど、いつの間にか寝ちゃってて。心地よく眠りにつけるので最高なんです」

快適な部屋で、星に囲まれながら眠りにつく。なんとも幸せな時間。

「部屋にいながら星を見るのもいいんですけど、やっぱり実際に見るのがいいですね(笑)。星を見に色々行った中で一番良かったのは、福岡にある星野村。人工の光が少なくて星が良く見えるし、近くに温泉もあってのんびりできるんです」

少年のように目を輝かせて星の話をするOさん。月は太陽の光を反射して光を放つ。この部屋での暮らすOさんと重なって見えた。



(上)観葉植物を育てるのもお家時間の楽しみだという。棚の上には様々な植物が並ぶ。(左下)リモートでの仕事が終わると、キッチンに立ち料理をするというOさん。「料理は毎日作っています。外に食べに行くのもいいけど、好きな番組を観ながら食べるのが幸せなんです」(右下)毎日料理をするというだけあって、たくさんの調理道具が揃えられている。

新たな地での暮らしも、
自分好みにカスタマイズ。

最大限にお家時間を満喫するOさん。これ以上ないくらいに好きが詰まったこの部屋での暮らし、さらに自分好みにしていきたいなど展望はあるのだろうか。

「色々やりたいことはあるんですけど、転勤が決まって春から福岡に行くことになって。この記事が出るころには福岡で新しい生活をはじめていると思います。ここでの暮らしが本当に楽しかったので、次に住む部屋も自分好みにしたいなって考えているんですよ」

次に住む部屋は、和室がある駅近の3DK。一人暮らしにしては部屋が多く感じるが……。

「転勤が決まったことを彼女に話をしたら、『ついていくぜ!』って言ってくれて。一緒に行くことになったので、部屋数のある家を探したんです。彼女もREISMの物件が好きで、この部屋をすごく気に入ってくれていたので、新しい部屋もおしゃれにしようって話してるんです」

彼女との新しい生活が、今から楽しみでしかたないという。部屋のイメージも色々湧いているそうで……。

「この部屋は自分、こっちの部屋は彼女が担当って決めて、部屋ごとにテーマを変えようと考えているんです。彼女と好きなものが似ているので、変な感じにはならないかなとは思うんですけど(笑)。それと、せっかく和室があるので、和を活かした部屋にできたらいいなと思ってて。大正時代の建具を参考にして、部屋のイメトレをしています」

Teidaに暮らしたことで、心地の良い空間で快適に過ごすことの大事さを知ったOさん。新たな場所でも自分好みに部屋をカスタマイズし、お家時間を満喫することだろう。

これからの暮らしも、綺麗な星のように輝いていくに違いない。



(上)シューズラックの一段には、日常使いするものが綺麗に並べられている。ポイントに黄色をおさえ統一感を持たせているのは、Oさんのセンスのなせる業。(左下)玄関に入ると様々な置物が並ぶ飾り棚がお出迎え。真ん中の段には、精巧な天体望遠鏡のカプセルトイと宇宙にまつわる本が。(右下)「ブロックの棚には、好きなキャラクターのカプセルトイやおもちゃを入れています」ブロックの小さなスペースが、まるでギャラリーのよう。

Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata