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視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚。五感の中で、匂いだけが感情や本能に関わる“大脳辺縁系”に直接伝達されるという。最も原始的な感覚で本能を刺激し、潜在意識を呼び覚ます。
開放感のある海外の倉庫を彷彿とさせるリノベーションシリーズ「Depot」。躯体を生かしたコンクリートの壁に、天井にはレースウェイとメッシュ棚が貼り巡り、吊るす・引っ掛ける・乗っけるが自由に楽しめる、アイディアの貯蔵庫のような部屋。
このインダストリアルな空間に本能を刺激する香りがプラスされたら、どんな化学反応を起こすのか——。玄関を開けた瞬間、その答えが広がっていた。
「REISMの部屋に住んで1年くらい経つんですけど、まさか取材の連絡が来るとは思わなくて(笑)。びっくりしました」
実はKさんが住む「Depot」の物件、インスタにあげられている部屋の写真があまりにも素敵で、それを見たREISMのスタッフがオファーをしたのだとか。
「goodroom経由でこの部屋を借りたので、REISMの方とは直接会ったことがなかったんです。だからびっくりしましたね。インスタに写真をあげるつもりはなかったんですけど、友だちが絶対あげたほうがいいって。そのインスタを見て声をかけてもらったので、なんか不思議です(笑)」
コンクリート剥き出しのワイルドさに、メタルメッシュの天井が目をひく造り。動もすると無骨さが前面に出そうだが、ナチュラルな木素材の家具で揃え、要所にドライフラワーをあしらい柔らかさも点在。アクセントカラーのオレンジの縁取りや、イエローのメッシュの引き戸とも馴染む小物のチョイスも流石。インダストリアルな空間と見事に共存している。
「参考にした部屋とかはないんですけど、アイテム単体の参考用にルームツアー動画はよく見ましたね。キャビネットやテレビボード、ローテーブルは、フローリングに馴染むと思って動画で紹介されていたMOMO NATURALで買いました。この部屋は天井が高くて気に入ってるんですけど、背の高い家具を置くと圧迫感が出てしまうと思ったので、背の低い家具で揃えたんです」
ダイニングテーブル横に置いてあるキャビネットには、趣味で集めているという香水が並ぶ。数の多さもさることながら、レイアウトセンスの良さに驚かされる。
「香水にハマってお気に入りの香りを集めていったら、いつの間にかこんなに増えてて(笑)。キャビネットの上にそのまま並べるよりも、ショップのレイアウトのように並べたほうが絵になるなと思って、IKEAで買った黒のトレイスタンドの上にいくつか並べました」
香りにハマり、その容器の美しさにも惹かれ、いつしか増えていったという香水。どれもインテリアの一部として馴染むハイセンスなものばかり。
「NOSE SHOPっていう香水のセレクトショップで買うことが多いんですけど、世界中の香水が色々置いていて、香りだけじゃなく見るのも楽しいんです。最近のお気に入りは、LIQUIDES IMAGINAIRES(リキッドイマジネール)のDOM ROSA(ドン ローザ)。ウッディなんですけど、その中に甘い香りがほのかにして癒されるんです」
お気に入りの香水の後ろには、豪奢な箱が並ぶ。それさえもひとつのインテリアとして成り立っている。
「香水の箱って素敵なものが多いので、捨てるのもイヤで。全部は飾れないけど、厳選して並べました」
香りに触発され、元々持っているセンスの良さが覚醒。「Depot」の空間にはKさんのイマジネーションが体現されていた。
「Depot」の物件に越して1年ちょっと経つというKさん。引っ越しを決めたのは、通勤時間を少しでも減らしたかったからだという。
「もともと実家から職場まで通っていたんですけど、使用していた線がよく遅延していて、いい加減イヤになって(笑)。職場まで距離があったので、通勤するだけでほんと疲れるんですよ。通勤時間の軽減ってことを目的に、一人暮らしをしようと決めたんです」
色々と物件を探す中で出会ったのが、この「Depot」だという。どんなところに惹かれたのだろう。
「むき出しのコンクリの感じと、天井が高いところが気に入って。それにキッチンが広くて収納が多いのも決めたポイントです」
「服をたくさん持っているのでクローゼットがあるのもありがたかったし、備え付けの棚も要所にあって使い勝手がいいんです。それにこの部屋、床下収納もついているんですよ。ストック物とかここに入れておけるのでめちゃくちゃ便利で」
造作棚や天井レールがあっても圧迫感なく見えるのは、高さがあるからこそ。日常使いするものはキッチン横の棚に置き、見せたくないものは床下収納にイン。確かに使いやすさも抜群。
「立地や家賃のバランスも良くて、内見に来てすぐに決めました。引っ越してからは、この部屋に合う家具やインテリアをひとつずつ集めていって、完成度としては7割くらい。最近では、ずっと欲しかったイサムノグチのAKARIを買いました。部屋のアクセントになってすごく気に入ってます」
「照明下のベッドは、『建築家二人暮らし』というYou Tuberの建築家夫婦が紹介していたLIVING BEDを参考にして買ったもの。低床なので部屋が広く見えるし、布団を畳むと小上がりとして使えるんです」
畳んだ布団を背もたれに、本を読んだり寛ぐこともあるという。窓から差し込む柔らかな光と畳の温かな雰囲気がマッチしている。
「今年の3月には、 CARL HANSEN & SONのラウンジチェアとダイニングチェアが納品予定で。いつかは欲しいなと思っていたので、ブラックフライデーに思い切って購入しました」
CARL HANSEN & SONのチェアといえば、Yチェアなど数々の名作を生みだした歴史ある家具メーカー。かなり値が張るのでは……。
「ブラックフライデーで安くなっていたとはいえ、結構な値段で……。でも、この部屋に合うと思ったし、一生モノとして使えると思ったのでこの機会に購入しました。キャッシュは減ったけど、資産は増えたと思ってます(笑)」
「Depot」との出会いによって、一生モノの家具を手に入れたKさん。心を満たし、豊かな生活も手に入れた。
価値あるものに囲まれ、「Depot」の生活を満喫するKさん。ローインテリアでまとめた居心地の良い空間には、Louis Poulsenのペンダントライトに、iittalaのペンダント型の美しいガラスのオブジェが存在感を醸し出す。
「せっかく天井レールがついているので、何か吊るしたくて。空間を邪魔せず、でもインパクトがあるものを探していたときに、iittalaのアテネの朝を見つけたんです。これだけだとちょっとさみしく感じたので、ドライフラワーの専門店、土と風の植物園で買ったスワッグを横に吊るしました」
イサムノグチの照明もしかり、空間を活かすことを心得ているよう。これだけのセンスを持っているのだから、その道を究めるということは考えないのだろうか。
「ずっと楽しいって気持ちを持っていたいから、好きなことを仕事にはしたくないんです。あ、今の仕事が好きじゃないってわけではないんですけど(笑)。割り切って仕事をするってことも大事だなと思ってて」
仕事とプライベート。オンオフをきっちり分けるからこそ、好きなものがより際立つ。それを、本能的に感じ取り実践しているのだろう。
「イベント系の仕事をずっとしていて、気づけばフリーでやることになって。しばらくはこの生活が続くと思うんですけど、この先何が起こるか分からない。もしかしたら、気持ちの変化があるかもしれないし」
それは、住んでいるこの部屋にも言えることなのだろうか。
「資産として考えると、賃貸はもったいないなとは思ってて。いつかはマンションを買いたいって気持ちはあります。でもまだ先のことだと思っているので、当分はこの部屋での暮らしを楽しみたいです」
「Depot」には、倉庫や貯蔵庫のほかに、中継所という意味を持つ。つまりこの部屋は、Kさんにとっての中間地点。
CARL HANSEN & SONのラウンジチェアとダイニングチェアが届いたら、また新たな部屋のカタチをつくりだすかもしれない。香りによってさらなる才能が引き出され、アイディアの貯蔵庫はイマジネーションを超えていく。
(上)リビングのインダストリアルな空間とは打って変わって、洗面所は白と木材を使用したナチュラルな造り。壁に取り付けたHerman Millerのハングイット・オールが良いアクセントになっている。「スキンケアアイテムを集めるのも好きなんです。欲しいものはQoo10のメガ割で狙って買うようにしてるんですよ(笑)」(左下)料理も得意だというKさん。カレーはスパイスから作るそう。取り付けたキッチンの棚には数々のスパイスが並ぶ。(右下)「シンプルで上質な素材の服が好きで、よく表参道のAURALEE (オーラリー)で買ってます。良いものだと丁寧に扱うので、長く着られるんです。」
Text: Tomomi Okudaira
Photograph: Hiroshi Yahata
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